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第31話*――関西漫才神話、崩壊す――**
漫才は関西のもの。
そう、信じていた。
エンタツ・アチャコに始まり、
「ダイラケ」、
「いとこい」、
「やすきよ」――
それが正解だと、
疑いもしなかった。
ところが、だ。
それが、それが、
かっけにとられた。
かっけ?
病気か!!
なんかおかしい。
ちゃうちゃう、犬か!!
……ちゃうがな。
あっけや(笑)
そう、
あっけにとられたのだ。
70年代後半、
テレビの向こうで、
そいつを見た瞬間から――。
「ジジイ!」
「ババア!」
「ブス!」
今なら一発レッドカード。
即・退場。
放送事故。
でも、あの頃は
セーフ。
よよいのよい(笑)
差別用語、
放送禁止用語、
何でもありの毒舌漫才。
笑っていいのか、
叱られるのか、
判断不能のまま、
腹だけがよじれる。
その瞬間、
僕の中の
関西漫才神話は、
音を立てて崩れた。
その男の名は――
ツービート。
たけし。
昭和は、
ときどき
とんでもない怪物を
平気でテレビに映していた。




