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昭和に出会った人たち  作者: 妻戸裕次


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31/43

第31話*――関西漫才神話、崩壊す――**

漫才は関西のもの。

そう、信じていた。

エンタツ・アチャコに始まり、

「ダイラケ」、

「いとこい」、

「やすきよ」――


それが正解だと、

疑いもしなかった。


ところが、だ。


それが、それが、

かっけにとられた。


かっけ?

病気か!!


なんかおかしい。


ちゃうちゃう、犬か!!


……ちゃうがな。

あっけや(笑)


そう、

あっけにとられたのだ。


70年代後半、

テレビの向こうで、

そいつを見た瞬間から――。


「ジジイ!」

「ババア!」

「ブス!」


今なら一発レッドカード。

即・退場。

放送事故。


でも、あの頃は

セーフ。

よよいのよい(笑)


差別用語、

放送禁止用語、

何でもありの毒舌漫才。


笑っていいのか、

叱られるのか、

判断不能のまま、

腹だけがよじれる。


その瞬間、

僕の中の

関西漫才神話は、

音を立てて崩れた。


その男の名は――


ツービート。

たけし。


昭和は、

ときどき

とんでもない怪物を

平気でテレビに映していた。

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