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昭和に出会った人たち  作者: 妻戸裕次


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第26話昭和に出会った男 〜寡黙という名の勘違い〜

その男は、背筋をピンと伸ばし、寡黙(かもく)であった。


――火木の男か?

月・水・金・土・日は何してんねん。


ちゃうがな。

男は黙ってサッポロビール。

寡黙や、寡黙。


またその男は、不条理な仕打ちに耐え、

言い分けせずに寿司を食べた。


……えっ?

 寿司?

 黙ってマグロ?


ちゃうちゃう。

言い分けせずに、寿司ちゃう、筋を通したっちゅう話や(笑)


さらにその男、

霧(キリ)よりも霞(カスミを、霞よりも義理(ギリ)を重んじた。


……もう何のこっちゃや(笑)


僕が高校生の頃、

その男が演じる主人公は、

サラリーマンであったり、

学生運動に身を投じる学生であったり。


とにかく当時の男たちの

ハートを根こそぎ持っていった。


その男の名は――

高倉 健。


高校の連れは、感極まって歌いだした。


〜 義理と人情をトイレで秤りゃ

 義理が重たい〜


……どんな秤やねん。


ちゃうやろ。

秤ちゃう、厠(はばかり)や!(笑)


昭和とは、

勘違いとツッコミと、

そして義理人情が渋滞していた時代だったのだ。

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