第25話昭和の下田で “如来と出会った日
〜裕次郎と、なかにし礼のほろ酔いデビュー伝説〜**
新婚旅行で下田の旅館に泊まった“彼”――のちの なかにし礼。
若き作詞家の卵が、ふとラウンジに行くと、そこにはあの 石原裕次郎がドーンと座っていた。
そして裕次郎、突然の 人差し指一本招集。
「おい、そこの君。こっちへ来い。」
彼は思った。
「なんやコイツ、有名人の驕りか? 横柄か?」
……でもミーハーの血は止められない。とりあえず行く(笑)。
ところが会ってみれば、裕次郎は礼儀正しく、しかも気さく。
そのまま訳もわからず一緒に飲むことに。
「何やってる人?」と聞かれ、彼は答える。
「訳詞を……」
「薬師? 如来か?」
――裕次郎、容赦ない(笑)。
「シャンソンの訳詞です」
と説明すると、裕次郎はいきなり喝!
「訳詩なんかで食っていけるのか?
日本の歌を書けよ。流行歌をよ。
ガツンとヒット飛ばしてみなよ。気分いいぜ!」
――この人、言うこともスター級。
そして1年後。
彼は処女作 「涙と雨に濡れて」 を持って、再び裕次郎のもとへ。
〜 涙と雨に濡れて 泣いて別れた二人〜
……なんとも昭和ベタなデビュー曲(笑)。
でも裕次郎の口添えあれば売れる!
売れれば次が来る!
次が来れば腕も上がる!
こうして なかにし礼は大作詞家の道を歩み出した。
最後にひとこと。
彼の名は、なかにし礼。
気をつけ、休め!(笑)




