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因果の糸(後編)
「俺に構うなと言ってるだろ」
ヨシオの拒絶の言葉は虚空に溶けた。
光圀の完璧な給仕により紅茶の香気が漂い始める。
「貴方、まずは座って頂けませんか?」
紫苑の瞳が揺れた。
「柚希さんは貴方の帰りをずっと待っています」
「……どうしてそんなことを」
「それと、今日のお品は山形県産の限定栽培された桃をふんだんに使用した桃タルトを用意しました」
紫苑は満足気に告げる。
「もちろん出来立てです。あと、紅茶はマダガスカル産のバニラフレーバーの茶葉です」
紫苑の説明に場が凍りつく。
光圀が運んできた陶器皿には煌めく果肉を纏ったタルトが鎮座していた。
表面には蜜蝋のように艶めく薄いゼラチン膜。カット面から溢れる果汁が皿に溜まり、黄金色の海を作っている。
「ところで、西園寺さん、北条さん、東雲さん、三人は何故ヨシオさんの所にいるのですか?」
紫苑の問いかけに三人の女子高生が固まる。
三人の視線が紫苑からヨシオへと移る。
「それは……」
東雲朱里が口を開こうとした瞬間――




