運命の邂逅 (後編)
「あの……お邪魔します」
一番小柄な東雲朱里がヨシオの段ボールハウスに近づいてきた。
制服の裾が風に揺れる。
「もし宜しければこれを受け取ってください」
差し出された紙袋には清潔なタオルとインスタント食品が詰まっていた。
「我々も微力ながら支援を……」
北条綾乃の凛とした声が響く。
その言葉尻が突然途切れたのはヨシオの顔にある傷に気づいたからだろう。
「あなたは‥‥‥」
西園寺葵の瞳が大きく見開かれた。
まるで信じられないものを見たかのように。
「もしかして‥‥‥」
「あの時の‥‥‥?」
西園寺葵の声が震えている。
彼女の記憶の底から湧き上がる断片的なシーン―
三年前の豪雨の夜、車道に飛び出した仔猫を庇って事故に遭った若い男性。
病院での治療後行方不明となった恩人の顔が今、ヨシオと重なった。
「‥‥‥覚えていますか?」
ヨシオの問いかけに葵が大きく頷く。
「忘れられません。私の妹の誕生日プレゼントだった仔猫を救ってくれた方でした」
隣で北条綾乃が息を飲む。
「葵さんの恩人‥‥‥でしたか」
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三日後の夕刻。
再び橋の下を訪れた三人の女子高生。
今度は直接ヨシオの段ボールハウスを訪ねてきた。
「こんにちは春野さん」
「実は今日……お父様が新しい仕事をご紹介できることになりました」
「月城商事系列のメンテナンスセンターです。住居も提供可能です」
突然の幸運に目を見開くヨシオ。
しかし胸に宿る不安は消えない‥‥‥。




