コンビニ面接への道(中編)
腕時計を確認すると8時45分。
面接予約時刻の30分前には到達できた計算だ。約束の9時半まで45分間の猶予がある。
**店舗内部探査**
入店するとドリンクケースの冷気で肌表面の汗が一気に蒸発した感覚に襲われる 。
棚陳列商品の多様性は久々に見る「普通の世界」を感じさせた。
- 最新スナック菓子コーナーで女子高生グループが大声で選定中
- 奥レジでは初老の女性客がレジ打ち店員と親しげに話している。
一瞬、店員と目が合う。
金髪のヤンキー風でこちらを睨んでくるので慌てて目をそらす。
- 複合端末コーナーには若いIT系サラリーマンが一人静かに立っている
(ここが俺の戦場になるかもしれん)
感慨深げに店内を一周していると、厨房エリアから中年の男性店員が現れた。
胸ポケットに「店長 山本」と書かれたネームプレートが光る。
「あ、あなたですか?面接希望の春野さん?」
予想外に早い遭遇に戸惑うヨシオ。
「えぇ……そうです」
返答と同時に出した履歴書(コンビニ袋保管)は少々皺くちゃだ。
「少し早く来ましたね。でも助かります」
店長山本の第一印象は柔和な表情だったが目の奥には冷静な分析眼光が光っていた。
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控室に通され簡素なパイプ椅子に座らされる。
テーブルの上には新品のティッシュペーパーと湯気立つコーヒーカップが置かれていた。
コーヒーの香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
「申し訳ないんですけどね」
山本店長が向かいの椅子に腰掛けながら口火を切った。
ネームプレートを磨きながら続ける。
「うちの規定で職業経験欄に空白がある場合事前に調べさせてもらうんですよ」
ヨシオの全身を舐めるように見回す。
「工場勤務歴20年、失業期間一年以上か……」
履歴書の文字を読みながら鼻を掻く山本。
「ちょっと失礼な質問かもしれませんが……」
咳払い一つ。
「最近どんな仕事をされてたんですか?」




