コンビニ面接への道(前編)
歩き慣れた川の土手沿いを北へ進む。
夏草が足元で柔らかく揺れる感触が妙に心地よかった。
小鳥の囀りが頭上で幾重にも重なり小川のせせらぎとハーモニーを奏でる。
「良い天気だな」
ひとりごちると同時に汗が首筋を伝った。
朝とはいえ既に気温は上がり始めておりTシャツの背中は既に濃い灰色になっている。
それでも不思議と足取りは軽い。
(ここでしっかり稼がないと……)
面接先のコンビニは河川敷から徒歩1時間弱の住宅街に位置していた。
ヨシオにとっては以前から目をつけていた物件だった。
**道中の観察メモ**
- 河川敷利用者の傾向: 朝ランニングしている主婦層が多い
- 信号待ちで気づいたこと: ほとんどの通行人がヨシオを避けて通る
- 自転車の若い女性が突然ブレーキをかけ小銭入れを取り出す動作をした(おそらく施しの意志)
「同情か?施しか?それともただの自己満足……」
内心毒づきながらも足早に通過した。
コンビニ駐車場に差し掛かると自動扉の「OPEN」看板が太陽光に反射して眩しかった。
店内は涼しげな蛍光灯が灯っている。
入口のガラス窓越しに見える客足は平常営業レベル。
「さて……」
正面玄関には「パート募集」の貼り紙があり志望条件が明記されていた。
> 【急募】深夜スタッフ: 年齢不問/週2日から可/研修期間時給¥1150-
(これなら可能性がありそうだ)




