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日課と再生
駅前の歩道橋まで来たとき、ヨシオの手が止まった。
(ここは……)
欄干に寄りかかり眼下を見下ろす。
朝の通勤ラッシュ前で人影は少ない。
それでもスーツ姿のビジネスマンや自転車に乗った学生たちがちらほらと見える。
「柚希と再会した場所だ」
もうずいぶん昔に感じる。
あの日も朝霧が立ち込めていた。
記憶が鮮明に蘇る。
困惑した少女の顔。
驚愕と拒絶。
「嘘つき!」と叫んだ声。
その後の出来事……。
欄干に手をかけながら行き交う車の列を見つめる。
赤いテールランプが信号機に応じて明滅する様は巨大な生命体のようにも見えた。
「忙しそうだな……」
無意識に呟く声は朝霧に溶けていく。
通り過ぎるビジネスマンの鞄が肩に食い込んでいる。
イヤホンをした学生たちが早足で歩道を行く。
(それに引き換え俺は……)
ビニール袋から漏れる缶の擦れる音が耳障りだった。
埃まみれの靴先を見つめる。
爪先はすり減り穴が開きかけている。
「何も変わっていない」
かつては自分が彼らと同じ立場だったはずなのに
なぜ、自分だけ落ちぶれてホームレスをしているのかと思うと
自然と涙が溢れてくる……。




