ホームレスと団子
「わたくしも貴方とご一緒します」
紫苑の突然の宣言にヨシオが目を見開く。
彼女は既にレジへと向かっていた。
(冗談だろ……)
残りのカップ麺を慌てて飲み干し立ち上がる。
テーブルに散らばったカップ麺の包装フィルムを丸めながら背後に目をやると、紫苑が商品を手にレジへと並んでいる姿が見えた。
その佇まいは完璧な淑女そのものだ。
「みたらし団子とほーい茶ですね」
店員の明るい声が妙に場違いに響く。
会計を済ませた紫苑が戻ってくると、迷うことなくヨシオの隣に腰掛けた。
「どうぞ」
香ばしい焼き目とトロリとした甘辛のタレががかった団子を差し出す。
「わたくしに三串は多すぎます。貴方も一緒に食べましょう」
「結構です」
ヨシオが断ろうとするが、紫苑は有無を言わさぬ口調で返す。
「毒など入っていませんよ。ただの団子です」
その言葉に従うように口をつけたヨシオは意外な発見をした。
ほーいお茶特有の香ばしさとみたらし団子の甘じょっぱさが絶妙に絡み合う。
「美味しいでしょう?」
満足げに紫苑が微笑む。
しかしその表情はすぐに消え去り
「さて」と本題に入る。
テーブルの上に両肘をつき顎を乗せる動作は普段の彼女からは想像できない砕けた態度だった。
「わたくし本当に貴方に興味がありますの」
彼女の紫色の瞳が再び輝き始めた。




