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嵐の前の静けさ(続き)
**夜・リビングルーム**
「ちょっと出てくる」
夕食後、ヨシオは玄関でコートを引っかける。柚希が慌てて追ってきた。
「どこ行くの?」
「散歩だ」
「パパが言ってたわよ。外出るときは必ず報告しろって」
「へいへい」
振り返ったヨシオの視線が柚希のネイルに止まる。派手な青いラインストーン。
「おい柚希」
「なに?」
「その爪、明日学校大丈夫か?」
「別にこれくらいいいでしょ、いちいち煩いんだから……」
文句を言う柚希を振り返りもせずヨシオは足早に出かけていく―――
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
**ショッピングモールの屋上**
冷たい夜風に吹かれながら夜景を見下ろす。無数の灯りが宝石のように瞬いている。
時々左肩の傷跡が疼く。
(国立競技場……あれから一年か)
銃創の痕を指でなぞる。
今でも夜中に痛みで目覚めることがある。
ふと思い出すのは花音の屈託のない笑顔と紗月の複雑な表情。
(あいつらどうしてるかな)
携帯が震えた。雅也からLINE通知だ。
《外出時は報告しろと言ったはずだ》
舌打ちしながら返信。
《すぐ戻ります》




