19/43
冷たいコンクリート
**川沿いの橋下**
雨は容赦なく降り続けていた。
ヨシオの肩に弾ける水滴が痛いほどだ。
行き場もなく歩き続けた末、いつの間にか慣れ親しんだ橋の下に辿り着いていた。
「ハッ……」
自嘲気味に笑う。
無意識とはいえ体は本能的に「帰巣本能」を発揮したらしい。
冷えたコンクリートに腰掛けた瞬間、全身の力が抜けた。
「結局ここしかないのかよ」
泥水がコンクリートに跳ねる音だけが響く。
遠くで救急車のサイレンが通り過ぎていく。この街は今日も眠らない。
---
**回想**
〈「俺は大丈夫だ」〉
あの時の言葉を思い出す。
〈「心配ない」〉
柚希の泣き顔が瞼に焼きついて離れない。
(ウソだろ……全部)
大丈夫なわけがない。
心配ないわけがない。あの温かい家を追い出された喪失感。何よりも─
「クソッ」
拳が地面を打つ。鈍い音だけが湿った空間に吸い込まれた。




