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涙の雨
突然、柚希が床に崩れ落ちた。嗚咽が喉を震わせる。
「ごめん……」
ヨシオは膝をつき、その肩を支える。
「泣かないでくれ」
指先が彼女の頬を拭うが、涙は尽きることがない。
一瞬のためらいのあと─
唇が彼女の右頬に触れた。
柚希が息を詰める。
その柔らかな接触は、痛みと安堵がないまぜになった電流となって体を駆け巡った。
「っ……」
短い吐息。それでも涙は止まらない。
「……おじさん」
震える声で呼びかける。
ヨシオの腕が彼女の小さな体を包み込んだ。
その胸板は暖かく、安心感を与えた。
「心配ない」
耳元で囁かれる声。
「俺は大丈夫だ」
その言葉とは裏腹に、彼の手は微かに震えていた。
「必ず戻ってくる」
柚希の耳朶に熱い息がかかる。
「約束だ」
その夜、雨は一段と激しさを増した。




