第二章レグルス編 7話 白狼と炎鬼
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
今回は、
城門前での
バウスVSサルコス、
そして
アランVSガトラス
――二つの戦いが描かれます。
これまでどこか他人を寄せ付けず、
冷たい印象もあったバウスですが、
今回かなり彼の内面や“本質”が見えてくる回になっています。
そしてアラン。
普段は豪快で明るく、
ふざけていることも多い彼ですが、
仲間や命を踏みにじる相手には誰より怒る男です。
タイトルにもある
「白狼」と「炎鬼」。
それぞれの力や生き様を、
少しでもカッコいいと思ってもらえたら嬉しいです!
また今回、
敵側であるサルコスやガトラスにも、
ただの“悪”では終わらない過去や感情を書きました。
APOLLOでは、
敵にもそれぞれの理由や孤独があり、
だからこそぶつかり合う物語を描きたいと思っています。
そして次回はいよいよ――
コウVSギュスターヴ。
10年以上背負い続けた復讐と過去が、
真正面から激突します。
ぜひ最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです!
APOLLO 第二章レグルス編
第7話「白狼と炎鬼」
よろしくお願いいたします!
コウとギュスターヴが激闘を広げる中
城門前では静かな戦闘が始まっていた。
サルコス「んっふふふ。私の可愛い屍兵達!いきなさい!あの少年を殺してしまえ!」
バウス「ふん」
まるで動じないバウス
襲い掛かる屍兵士を次々と氷漬けにする
サルコス「いいんですかぁ〜?氷漬けの中に生きている兵士さんもいるかもしれませんよぉ〜?」
バウス「大丈夫だ。お前はそんな優しい男じゃないだろ?」
サルコス「あらあら…初対面なのに私の事をわかってらっしゃる!もしや?!あなたと私。出会ったのは運命では?!」
バウス「そんな訳ねぇだろ。気色悪ぃ」
サルコス「んっふふふ。気色悪いのはあなた方ですよ」
バウス「なにがだ」
サルコス「ガトラス君の相手の赤髪はまぁ合格点。王女と3人で行った黒髪も合格点。」
サルコス「私はハズレを引きました。」
バウス「俺が弱いって言ってんのか」
サルコス「んっふふふ。あなたごときで私の相手がつとまるとでも?」
サルコスが魔力を解放する。
大きく冷たい禍々しい魔力。
気を抜けば氷使いの自分が凍らされてしまいそうな程。
バウス「っち。どいつもこいつも化け物ばっかりで嫌になる。」
サルコス「んっふふふ、実力の差がわかるお利口さんは好きですよぉ!そうだ!あなたも私のお友達に加えてあげましょう!屍魔法、屍縫い!」
レグルスの屍兵達が次々と合わさっていく。
腕が増え顔が増え、異形の化け物は想像を絶する程の気持ち悪さだった。
サルコス「さぁ!少年もこの中にはいりなさい!そうすれば私のお友達としてずぅぅっと幸せに暮らせますよぉ」
バウス「はぁ…。」
深くため息をつく。
そして静かに右手を前へかざした。
バウス「気色悪ぃって言ってんだろ。」
パキッ
足元から氷が走る。
一瞬で地面が白く染まり、
異形の屍へ向かって巨大な氷柱が突き上がった。
バウス「氷牙。」(ひょうが)
ズドドドドッ!!
牙のような氷柱が屍を貫く。
しかし──
グチャッ
貫かれた肉塊が蠢く。
無数の腕が氷柱に絡みつき、
無理矢理へし折った。
バウス「……なに?」
サルコス「んふふふ。言ったでしょう?この子達は死んでるんですよぉ」
異形の屍が咆哮をあげる。
幾つもの顔が同時に笑い、
泣き、
叫ぶ。
『タスケテ』
『クルシイ』
『ヒメサマ』
バウス「……。」
サルコス「素敵でしょう?皆仲良しなんですぅ」
ドゴォッ!!
異形の屍が突進。
バウスは後方へ飛ぶ。
だが速い。
巨大な腕が振り下ろされる。
バウス「氷壁!」(ひょうへき)
ガギィィン!!
氷の壁が出現。
だが。
ミシッ
バウス「っ……!」
一撃で亀裂が入る。
次の瞬間──
ドゴォォン!!
氷の壁ごと吹き飛ばされた。
バウス「がっ……!」
地面を転がる。
サルコス「ほぉら!やっぱり弱いじゃないですかぁ」
異形の屍が再び迫る。
バウスは舌打ちした。
バウス(硬ぇ……それに力も馬鹿みたいに強い。)
立ち上がる。
しかし呼吸が乱れていた。
サルコスは笑う。
サルコス「あなた氷の質は悪くないんですよぉ?でも経験不足ですねぇ♪︎」
サルコス「“強者との戦い方”を知らない。」
その瞬間。
異形の屍の腹が裂けた。
中から大量の屍兵が飛び出す。
バウス「なっ……!」
サルコス「んふふふ!分裂式ですよぉ!」
四方から襲い来る屍兵。
バウス「チッ!」
氷の槍を放つ。
ズガガガッ!!
数体を貫く。
だが止まらない。
兵士「あ”ぁぁ!!」
背後から掴まれる。
バウス「っ!!」
その隙を異形の屍は見逃さなかった。
巨大な拳が迫る。
避けられない。
そう思った瞬間──
ゾワッ
空気が凍った。
サルコス「……?」
バウスの周囲に白い冷気が渦巻く。
鼓動が速くなる。
身体の奥から何かが溢れてくる感覚。
──ウォォォ……
獣の唸り声のような音。
バウス「……なんだ……?」
次の瞬間。
ドゴォォッ!!
冷気が爆発した。
掴んでいた屍兵達がまとめて吹き飛ぶ。
サルコス「なっ……!?」
バウスの右腕が白く凍りついていた。
いや違う。
まるで白銀の獣の毛皮のようにも見える。
だが一瞬で元に戻る。
バウス「……。」
サルコスが目を細めた。
サルコス(今の魔力……なんですかぁ……?)
バウス自身も理解できていなかった。
だが。
身体の奥が熱い。
そして今だけは、
負ける気がしなかった。
サルコスは笑みを浮かべたまま、
ゆっくりと後退した。
だがその目からは先程までの余裕が少し消えていた。
サルコス「んふふふ……今のはなんですかぁ?」
バウス「知らねぇよ。」
サルコス「知らないぃ?」
バウス「……俺が聞きたいくらいだ。」
バウス自身、困惑していた。
あの瞬間。
身体の奥から溢れた冷気。
まるで別の生き物が目を覚ましたような感覚。
だが今は考えている暇はない。
異形の屍が再び動き出す。
ググググ……
折れた腕を無理矢理繋ぎ合わせ、
肉を蠢かせながら立ち上がった。
サルコス「行きなさい!」
ドゴォッ!!
異形の屍が突進する。
先程より速い。
バウス「……!」
地面を蹴る。
ギリギリで回避。
その直後。
巨大な拳が地面を砕いた。
バゴォォン!!
瓦礫が吹き飛ぶ。
サルコス「逃げるだけですかぁ?」
バウス「うるせぇ。」
バウスは右手を振り上げる。
バウス「氷槍。」(ひょうそう)
ズドドドドッ!!
無数の氷の槍が異形の屍へ突き刺さる。
だが。
グチャッ
肉が槍ごと飲み込んだ。
バウス「っ……!」
サルコス「だから無意味だって言ってるでしょう!」
次の瞬間。
異形の屍の背中から新たな腕が生えた。
数十本の腕が一斉に伸びる。
バウス「なっ……!」
ガシィッ!!
腕を掴まれる。
脚を掴まれる。
動けない。
サルコス「終わりですねぇ!」
異形の屍の口が開く。
中には無数の歯。
バウスを丸呑みしようと迫る。
バウス「チッ……!」
冷気を放つ。
だが拘束が強い。
サルコス「あなた、魔力の使い方が雑なんですよぉ!」
サルコス「力任せに凍らせるだけ。」
サルコス「だから弱い。」
バウスの目が鋭くなる。
その言葉が妙に腹立たしかった。
だが。
否定できない。
バウス(……確かに俺は。)
その瞬間。
脳裏に浮かぶ。
アランの言葉。
『お前の氷は強い。だが荒いんや。』
『凍らせることばかり考えとったらアカン。“止める場所”を見極めろや。』
バウス「……止める場所……?」
迫る異形の口。
その時。
バウスの視線が、
異形の屍の胸部へ向く。
そこだけ。
魔力の流れが集中していた。
バウス「……そこか。」
サルコス「……?」
バウスが静かに息を吐く。
右手に冷気を集中。
今までより遥かに小さい氷。
だが密度が違う。
バウス「──氷牙。」(ひょうが)
パキッ
放たれた氷の杭は、
一直線に異形の胸を貫いた。
次の瞬間。
異形の屍の動きが止まる。
サルコス「……え?」
ミシッ
ミシミシッ
巨大な身体に亀裂が走る。
そして──
バキィィン!!
異形の屍が崩壊した。
無数の氷片となって砕け散る。
静寂。
サルコスの笑みが初めて消えた。
サルコス「……今の一撃で……核を……?」
静寂。
砕け散った氷片が、
雪のように舞い落ちる。
サルコスは凍りついた地面を見つめながら、
ゆっくりと口角を吊り上げた。
サルコス「……なるほどぉ。」
サルコス「ただの少年じゃないってことですか」
バウス「……。」
呼吸は荒い。
魔力消費も激しい。
さっきの一撃は偶然に近かった。
次同じことができる保証はない。
だが。
サルコスの目から余裕が消えたのはわかった。
サルコス「でも残念です。」
バウス「……?」
サルコスが両手を広げる。
すると。
グチャ……
グチャグチャ……
周囲に転がっていた屍兵達の肉片が動き始めた。
バウス「まだかよ……!」
サルコス「んふふふ!屍魔法を舐めないでくださいよぉ!」
肉が集まり、
骨が繋がり、
再び巨大な異形になっていく。
しかも今度は先程より大きい。
サルコス「さぁ第二ラウンドです」
異形の屍が咆哮を上げる。
その瞬間。
バウスの身体が僅かによろめいた。
サルコスは見逃さない。
サルコス「魔力切れですかぁ?」
バウス「チッ……。」
限界は近い。
だが。
ここで負ければ、
シン達の元へ敵が向かう。
それだけは駄目だ。
サルコス「もう終わりですよぉ」
巨大な屍が腕を振り上げる。
バウスは静かに目を閉じた。
そして。
小さく息を吐く。
バウス「……うるせぇ。」
ゾワッ
空気が震えた。
サルコス「……?」
再び。
あの冷気。
白銀の魔力が、
バウスの周囲を包み込む。
──ウォォォォォ……
獣の遠吠え。
今度はサルコスにもハッキリ聞こえた。
バウスの背後。
一瞬だけ。
巨大な白銀の狼の影が現れる。
サルコス「なっ……!?」
次の瞬間。
バウスの瞳が鋭く細まった。
ドンッ!!
地面が砕ける。
バウスの姿が消えた。
サルコス「速っ──」
ズバァッ!!
異形の屍の腕が宙を舞う。
さらに。
ズガガガガッ!!
一瞬で全身に氷の斬撃が走る。
サルコス「な、なんですその速さぁ!?」
バウス「終わりだ。」
右手を突き出す。
冷気が一点へ収束。
バウス「──氷牙。」(ひょうが)
パキッ
異形の屍の中心から凍結が広がる。
腕。
胴体。
顔。
全てが白銀に染まっていく。
サルコス「まず──」
バキィィィン!!!
巨大な屍が完全に砕け散った。
静寂。
サルコスの頬を冷や汗が流れる。
バウスは静かに息を吐いた。
だが次の瞬間。
膝が崩れる。
バウス「……っ。」
限界だった。
サルコスはそれを見ると、
ゆっくり笑みを浮かべる。
サルコス「んふふふ」
サルコス「やっぱり未熟ですねぇ」
サルコスの指先に、
新たな黒い魔力が集まり始める。
サルコス「今ので終わりだと思いましたぁ?」
バウス「……はぁ?」
サルコス「楽しくなってきましたよぉ」
白銀の冷気と、
禍々しい屍の魔力。
二つの力が、
静かに激突しようとしていた。
白銀の冷気が漂う。
砕けた屍の残骸。
荒れる城門前。
バウスは膝をつきながらサルコスを睨んでいた。
呼吸は荒い。
魔力ももうほとんど残っていない。
対するサルコスは、
口元を歪めながら笑っている。
サルコス「んふふふ!限界ですねぇ」
サルコスの周囲に黒い魔力が集まる。
地面に転がる死体達が再び震え始めた。
バウス「……何回やれば気が済む。」
サルコス「死者は無限ですからぁ」
兵士達がゆっくり立ち上がる。
腕のない者。
顔が潰れた者。
足を失った者。
それでもなお、
王女を守ろうとしていた兵士達。
バウスの目が僅かに揺れる。
兵士「ひ……め……さ……」
サルコス「んふふふ!いいでしょう?死んでもなお王女を想う忠誠心」
バウス「違う。」
サルコス「……?」
バウスはゆっくり立ち上がった。
バウス「そいつらはもう休みたいはずだ。」
サルコスの笑みが消える。
サルコス「……は?」
バウス「お前が無理矢理動かしてるだけだろ。」
サルコス「死体に意思なんてありませんよぉ!」
バウス「ある。」
静かな声だった。
だがその声には、
妙な重みがあった。
バウス「少なくとも……お前よりは人間らしい。」
サルコス「……。」
ピクッ
サルコスのこめかみが動く。
初めてだった。
サルコスが感情を露わにしたのは。
サルコス「……気に入りませんねぇ。」
ドゴォッ!!
無数の屍兵が一斉に襲いかかる。
バウスは目を閉じた。
そして小さく息を吐く。
冷気が静かに収束していく。
バウス(凍らせるんじゃない。)
脳裏に浮かぶアランの言葉。
“止める場所を見極めろや。”
バウス(止めるのは──)
目を開く。
その視線は、
真っ直ぐサルコスだけを見ていた。
バウス「お前だ。」
サルコス「……!」
次の瞬間。
ドンッ!!
地面が砕ける。
バウスが一直線に突っ込んだ。
サルコス「速っ──!」
屍兵が前に出る。
だが。
バウス「邪魔だ。」
パキッ
触れた瞬間。
屍兵達の脚だけが凍る。
動きが止まる。
バウスはその隙間を駆け抜けた。
サルコス「っち……!」
黒い糸の魔力を放つ。
だが。
バウス「見えてる。」
氷の剣で切断。
一気に間合いへ入る。
サルコス「このガキぃ!!」
屍の腕が地面から飛び出す。
バウスの脚を掴む。
その瞬間。
──ウォォォォ……
再び遠吠え。
白銀の冷気が脚へ走る。
屍の腕が凍り砕けた。
サルコス「またその力……!」
バウス「……知らねぇよ。」
だが今はわかる。
この力は、
自分を前へ進ませてくれる。
右手に冷気を集中。
白銀の氷が収束する。
サルコス「や、やめ──」
バウス「絶対氷撃。白夜。」(びゃくや)
ズバァッ!!
放たれた氷が、
サルコスの胸を貫いた。
サルコス「がっ……!?」
黒い魔力が霧散する。
同時に。
周囲の屍兵達が動きを止めた。
兵士「……」
兵士達はその場に崩れ落ちる。
静寂。
サルコスは胸を押さえながら、
フラついた。
サルコス「なん……で……」
バウス「お前が核なんだろ。」
サルコス「……。」
バウス「ならお前を止めれば全部終わる。」
サルコスは震えながら笑った。
サルコスは昔を思い出していた。
15歳の時唯一の家族の母を失った
悲しみにくれる中自分の魔法属性が
屍魔法だとわかった時
神様がくれたギフトだと思った
これで母を蘇らす事ができる
だが蘇った母は生きていた頃の母ではなかった。
周りはサルコスを軽蔑し、非難した。
サルコスはいつも独りだった。
誰かに認めて欲しかった。
そんな時ギュスターヴに出会った。
ギュスターヴ「君の魔法はすごいよ♩外道なんかじゃない♩」
ギュスターヴ「僕と一緒においでよ♩」
初めて母以外の誰かに認められた瞬間だった。
サルコスにとってのギュスターヴは理解者であり、友であり、彼と一緒ならどんな非道も心が痛まなかった。
サルコス「私は…まだ…」
サルコス「んふ……ふふ……」
サルコス「ギュスターヴ……様……」
ドサッ
サルコスが崩れ落ちる。
静寂。
冷たい風だけが吹き抜ける。
バウスは空を見上げた。
白い息が漏れる。
そして小さく呟く。
バウス「……疲れた。」
ーーーー
ガトラス「ガハハ!お前は案外面白そうだ!」
アラン「体に叩き込んだる…かかってこんかいデカブツ。」
アランは肩に担いでいた巨大な斧をゆっくり握り直した。
刃は黒く焼け焦げたような色。
そこから僅かに炎が漏れている。
ガトラス「そのちっこい身体で俺とやる気か?」
アラン「ちっこい相手にしかイキれへんお前には丁度ええやろ。」
ガトラス「ガハハ!!気に入った!!」
ドゴォォン!!
ガトラスが地面を砕きながら突っ込む。
巨体とは思えない速度。
振り下ろされる拳。
アラン「おっそ。」
ガギィィン!!
アランは片手で斧を振り上げ、
真正面から受け止めた。
ガトラス「……あ?」
止められた。
自分の拳が。
アラン「重いだけやな。」
次の瞬間。
ゴォッ!!
斧から炎が噴き出す。
アラン「焔斧。」
ドゴッ!!
振り抜かれた斧の腹がガトラスの顔面へ直撃。
ガトラス「ぐぁっ!?」
巨体が吹き飛ぶ。
城壁へ激突。
轟音。
瓦礫が崩れ落ちる。
ガトラス「……ガハハ。」
だがガトラスは笑っていた。
口から血を流しながら立ち上がる。
ガトラス「最高だぁ!!」
全身の筋肉が膨れ上がる。
剛魔法。
腕が岩のように硬化していく。
ガトラス「剛魔法──砕山。」(さいざん)
振り下ろされる拳。
空気が唸る。
アラン「ほぉ。」
ドゴォォォン!!!
大地が割れる。
だが。
煙の中。
アランは無傷で立っていた。
斧で受け止めている。
ガトラス「なんで耐えれる!?」
アラン「お前が弱いからや。」
ガトラスの額に汗が流れる。
その瞬間。
アランの姿が消えた。
ガトラス「っ!?」
ズバァッ!!
斬撃。
ガトラスの胸から血が噴き出す。
ガトラス「ぐっ……!」
アラン「鈍い。」
ズバッ!!
ズガッ!!
次々と斧が叩き込まれる。
巨体が一方的に刻まれていく。
ガトラスは拳を振るう。
だが当たらない。
速さが違いすぎる。
ガトラス(なんなんだコイツ……!!)
アランは怒っていた。
兵士達の姿。
泣きながら襲いかかってきた屍。
あの光景が頭から離れない。
アラン「命をなんや思っとる。」
炎が斧へ集まっていく。
ゴォォォォ……
周囲の温度が上がる。
ガトラスが本能で理解した。
危険。
アラン「死んだやつ踏みつけて笑うとか。」
アラン「ほんま胸糞悪いんじゃ。」
アランは斧を振りかぶる。
その姿はまるで炎鬼。
アラン「──焔鬼斬。」(えんきざん)
ドゴォォォォォォン!!!!
巨大な炎の斬撃がガトラスを飲み込む。
爆炎。
衝撃。
周囲の建物すら揺れる。
ガトラス「がぁぁぁぁぁっ!!!」
絶叫。
炎が晴れる。
そこには。
全身を焼かれ、
地面へ沈むガトラスの姿。
持ち前の巨体も、
今は動かない。
アランは斧を肩に担ぐ。
ガトラス「……おまえ…なんなん…だ…化け物…」
アラン「悪いな。外道には手加減せんって決めとるんや。」
アランは倒れた兵士達へ目を向ける。
そして静かに言った。
アラン「もう大丈夫や。安心して眠り。王女さんらはコウとシンが必ず助ける。」
ガトラス「サル…コス…助け…」
向こうでは氷の刃に貫かれたサルコスが倒れていた。
ガトラス「そん…な…あんなガキに…サルコスが…」
ガトラスは見た目のせいで友達がいなかった。
そんなガトラスに真正面からいつもぶつかってきたのはサルコスとギュスターヴだけだった。
3人で一緒ならどんな事も怖くなかったし、どんな悪事も楽しかった。
彼等には彼等の友情があった。
ねじ曲がった友情は他人を傷付けた。
それでも彼等は孤独じゃないことが何より嬉しかった。
ガトラスは静かに涙を流した
ガトラス「サル…コス…!ギュスターヴ…!」
ゆっくりと涙を流しながら眠るように逝った。
その姿は巨体に似合わずどこか儚げで、美しかった。
アラン「その涙や想う気持ちをほんの少しでええ。他のやつに向けることができてたら、こうはならんかったやろな。」
バウス「アラン…」
アラン「なんやお前!ボロボロやんけ!笑」
バウス「っち…うるせぇ。」
アラン「まだまだ修行が足りんなぁ!笑」
アラン「まぁでも少しは成長できたみたいやな。俺が言ってた意味もわかったやろ?」
バウス「少し疲れた…」
アラン「俺は疲れとらんけど、休んどこーや。王女さんらはコウとシンがなんとかするやろ」
バウス「助けに、いかねーのかよ…」
アラン「アホやろ笑 俺に助けられるほどコウは弱ない。こーゆう信頼の仕方もダチとしての在り方や」
アラン「ギュスターヴ…か。父ちゃん達の仇。とったれよ。コウ。」
第7話「白狼と炎鬼」
読んでいただきありがとうございました!
今回は、
バウスとアランの戦いがメインの回でした。
個人的に、
バウスが初めて“仲間を守るために戦う”姿を書けたのがかなり大きかったです。
最初は誰にも興味がなく、
人助けも否定していた彼が、
「そいつらはもう休みたいはずだ」
と言うシーンは、
自分でもかなり好きな場面になりました。
そしてアラン。
普段ふざけているキャラほど、
怒った時に怖い。
そんなイメージで書いています。
「焔鬼斬」は、
今後もアランの代表技の1つとして描いていく予定です!
また今回は、
サルコスやガトラスにも
“友情”や“孤独”を書きました。
どれだけ間違った道を進んでいても、
誰かに認めてほしかった気持ちや、
独りじゃないことへの救いは本物だった。
だからこそ、
少し切ない最後になったと思っています。
そして次回――
ついに、
コウとギュスターヴの因縁が本格決着へ向かいます。
父を奪われた少年。
復讐を否定された少年。
コウが何を選び、
何を越えるのか。
ぜひ楽しみにしていてください!
もし少しでも
「面白い!」
「続きが気になる!」
と思っていただけたら、
応援・コメント・フォローしていただけると本当に励みになります!
本当にいつもありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!
――岡本 煌




