第四章カストリア編22話 リアの村と謎の少女
動き出す悪神教
月の器、そして現れる謎の少女…
神話×魔法×ファンタジー物語
第22話楽しんでってください。
ガタガタッ
小石を踏むたび、馬車は大きく揺れる。
夏が近いというのに、吹き抜ける風は春のように心地よかった。
シン「おおー!見えてきたぞ!ここからもうカストリア王国なのか?!」
コウ「そうだな!ここからカストリア王国に入る。あそこに見える村がリアの村だ。」
ガタガタッ
村に差し掛かるところで大きな門が見えてきた
だがそこに人はいない。
馬車で誰もいない門を通り過ぎると馬車の速度が少しずつゆるくなっていく。
バウス「12ヶ国平和協定が結ばれてから検問所もなくなり通りやすくなったな」
アラン「そやな。だがいいことばかりじゃあらへん」
コウ「そうだな。一般の人が通りやすくなればそれと同じく悪党も堂々と入れる」
唇を噛みしめるヴィーラ。
澄み渡る青空へ視線を向け、小さく呟いた。
ヴィーラ「私の国…レグルスも…」
シン「ヴィーラ…」
突然立ち上がるネビュラ。
馬車の壁を叩きながら声を荒らげた。
ネビュラ「ヴィーラの国みたいな被害者がでる位ならもう一度検問所を作ったらいいんじゃないのか?!」
アラン「まぁそれで国交が豊かになって経済が発展したっちゅうのも事実やしな」
アラン「それに悪党っちゅうのは結局検問所がある、ないはあんま関係あらへん。」
ネビュラ「なんでだよ!」
アラン「例えばやが、検問所があったとしてヴィーラの国乗っ取ろうとした奴らが、検問所あるから国入れません。諦めます。になると思うか?」
ネビュラ「それは…」
アラン「結局検問所がある、ないは対して関係あらへん。」
ネビュラは拳を握り締めたまま悔しそうに席に腰掛ける。
シン「検問所を無くそうって行った人は誰なんだ?」
コウ「12ヶ国平和協定の席で、最初に検問所廃止を提案したのがゲメイ王だったな」
シン「ゲメイ王?」
バウス「今から行くカストリア王国の王様だ」
アラン「なんや怪しい噂が絶えん奴やけど…」
ヴィーラ「私の父のレオジュライ王も苦手なヤツだと言ってました…」
シン「大丈夫なのか?許可くれんのか?そいつ」
コウ「許可はくれると思うぞ。なんなら12ヶ国の中で1番緩いとは思う」
シン「そうなのか?!」
コウ「まぁ会ってみればわかるさ。」
馬車の御者「お客さん。着きましたよ。」
コウ「リアの村についたか。今日はここで休んで、明日首都のゼフィリアに向かおう。」
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リアの村。
カストリア王国の端にある緑豊かな小さな村。
村とは名ばかりで文明の発展度はラグノリアと変わらぬ程である。
シン「おお…ほんとにここ村なのか?」
綺麗に整備された道。
ラグノリアと変わらぬ賑やかな出店の数々。
建物と一体化した大自然の建物にシン達は目を丸くする。
バウス「ラグノリアと…変わらないくらい賑やかだな…」
ヴィーラ「見て!あちこちに木やツタがたくさん!」
ネビュラ「自然と共に発展したって感じだな!」
アラン「ここはええで〜!自然と共にある村やからな!食べもんがうまいんや!」
店主「いらっしゃい〜いらっしゃい!」
店主「お兄ちゃん達!旅の人?!うちの店の商品食べてってよ!とれたてで美味しいよ〜!」
店の前に並ぶのは…
・焼きフォレストワーム
・クロウジャの唐揚げ
・巨大果実ジュース
・花蜜パン
・虫せんべい
・目玉バチプリン
様々な商品が並ぶ中シン達は興味津々だった。
シン「虫料理が普通に売ってる?!」
バウス「虫なんか食うのアランだけだと思ってた…」
ヴィーラ「意外ですが、虫料理は一般的だったりしますよ?私は見た目が苦手ですが…」
アラン「俺もラグノリアにある六足亭っちゅう料理屋が美味くてよう行きよったで!」
コウ「.........。」
ネビュラ「コウの兄貴!どうしたんだよ!食べろよ、ほら」
ネビュラが悪気も無くフォレストワームの串焼きを差し出す。
コウの額に青筋が浮かぶ。
ネビュラは思わず一歩後ずさった。
ネビュラ「な、なんだよ怖ぇよ…」
シン「コウ兄は虫嫌いだから…」
ネビュラ「あ!そういえばそうだった…」
「うますぎ!」
モグモグ、モグモグ、モグモグ。
聞き覚えのない少女の声が響く。
ラン「こんな美味しいのに食わないとかヤバ!」
全員が振り向く。
そこには虫串を幸せそうに頬張る一人の少女がいた。
アラン「お!嬢ちゃんわかっとるやんけ!」
ラン「赤いおっさんも好きなの?めっちゃ美味いよね!」
アラン「おっさん?!笑 おっさんやない!まだ20や!笑」
ラン「えぇー!?その顔で?!笑」
急いで口のなかに残りの串焼きを頬張ると果実のドリンクで流し込む。
ラン「ごちそうさま!じゃ、おっさんお願いねー!」
アラン「なんや変わった嬢ちゃんやなぁ…」
トントンと肩を叩かれアランが振り返る
店主「はい。会計二人分。」
アラン「え?!何で俺が払わな…」
店主「あの子、いつもツケなんだよ!頼むよ兄ちゃん!」
アラン「わ、わかった!払ったるわ!」
渋々と財布から金を差し出すアラン
横から先程の少女が財布を覗き込んでいた
ラン「うわ!おっさん結構もってるじゃん!」
アラン「あ!こいつ!」
ヒュオオオッ!!
突風が吹き抜ける。
木々の葉が舞い上がる。
風が止んだ時には、
ランは屋根の上に立っていた。
ニッと笑う。
ラン
「またねー!」
トンッ!!
ヒュンッ!!
風をまとい、
少女は兎のように軽やかに屋根から屋根へ飛び移る。
一瞬で姿は見えなくなった。
シン「はやっ?!」
ネビュラ「消えた?!」
少し遅れて木の上から声が響く。
ラン「赤いおっさん、ごちそーさま!」
アラン「誰がおっさんやぁぁぁ!!!」
アラン「アイツなんやねん!」
店主「あの子はランちゃん」
ヴィーラ「ランちゃん?」
店主「いつも悪さばかりして迷惑ばかりかけられているよ…」
店主「…マーコム夫妻の一人娘なんだ。」
コウ「マーコム夫妻だと!?」
アラン「な、なんや!有名なんか?」
コウ「五年前、カストリア王国を襲った厄災級魔物――天災鳥ヴェルフェザー」
「マーコム夫妻は、その化け物を命と引き換えに討ち取った英雄だ。」
アラン「なるほどな。そやから1人でおるんか」
シン「なんか……無理して笑ってるように見えた。」
ネビュラ「そうか?満面の笑みだったけどなアイツ!」
バウス「まぁ俺らには関係ない。余計な事に首は突っ込まず、宿屋で休んだら明日首都ゼフィリアに行くぞ。」
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一方その頃
屋根の上。
ランは最後尾を歩くシンを静かに見つめていた。
ラン「……あいつ。女神憑きじゃん。」
ニヤリと笑う。
ラン「うける。」
そう呟くと、風に乗るように再び姿を消した。
22話読んでいただきありがとうございました。
23話では少女の謎が少しづつ説き明かされる…
次回もお楽しみください。
岡本煌




