第四章カストリア編 21話運命の歯車
新章突入!カストリア編!
この章からは4000〜6000字以内を意識して書いていきます!
神話×魔法×ファンタジー物語
第21話楽しんでってください。
シン達はアリエルガ王国首都ラグノリアで心が温まるような日々を過ごした。
もっと強くなりたい。そんな想いを抱えたシン達はまた新たな冒険の舞台へと進み出す。
ラグノリアの宿前ではシンが先頭を切り次の目的地へ向かおうとしていた。
シン「よし!じゃぁ行こう!」
身支度を整えたヴィーラは、くるりとその場で一回転する。
ヴィーラ「準備バッチリ!」
ネビュラは仮面を背中のリュックに引っ掛け、背負い直した。
ネビュラ「おっしゃぁぁ!気合いいれてくぞ!」
バウスは欠伸を噛み殺しながら髪を掻いた。
寝癖はそのまま。
目の下には薄くクマが浮かんでいる。
バウス「うるさい奴らだ…」
パンッ!
コウが手を叩く。
コウ「よし!」
その一言で、皆の視線がコウへ集まった。
コウ「ラグノリアでは結構休んだな。次の国はどうするか…」
アラン「火の地方を全部行くなら次はケイロスやな。」
コウ「ケイロスか…あそこは……」
コウが言葉を飲み込むように口を閉ざす。
シン「どうした?」
コウ「いやなんでもない。ケイロスじゃなく、風の地方に行ってみないか?」
コウの指が地図の「ケイロス王国」をなぞる。
その文字を見た瞬間、アランの表情が曇った。
アラン「そやな。ケイロスは俺もあんまり行きたくはないしな……」
バウスは腕を組みながら地図へ目を落とした。
バウス「そういえば…アランの出身国だったな。」
ネビュラ「え!なんだよ!アランもケイロスなのか?!俺もだよ!リヴァ村出身なんだ!」
アランはネビュラの方に向き直ると、
フッと口元を緩める。
アラン「あ〜通りで。リヴァ村やつは皆頭お花畑やもんな…」
手を振りあげるネビュラ
ネビュラ「なんだよそれ!そんなことないだろ!」
シン「ケイロスはなんでだめなんだ?悪い国とか?」
ネビュラの目が丸くなる。
ネビュラ「そんなことねぇよ!いい国だぞー?!」
いい国だ。そう言った瞬間
ネビュラの笑顔が、少しだけ消えた。
ネビュラは罰が悪そうに呟いた。
ネビュラ「あ…でも。国の南側は…結構治安悪い…」
少しの沈黙の後、
アランがネビュラの肩を叩きながら答える。
アラン「そやな。南は人の住む所じゃあらへん。」
何かを察したようにシン達は口を閉ざし、ヴィーラもまた深く聞かなかった。
ヴィーラ「そうなんですか…」
大袈裟に笑いながら場を和まそうとするアランに皆が笑顔を取り戻す。
アラン「まぁケイロスは今はまだええやろ!ほんで風の地方のどこ行くんや?」
コウ「ここからいちばん近いのはカストリアだな!」
シン「てか風の地方ってどんな所なんだ?」
シンの頭には、風車が並ぶ草原や、空高く舞う鳥、嵐に包まれた山々が次々と浮かんでいく。
コウ「風の地方は文明や知識が発達してる所が多いな。近未来的な感じの国だ。」
コウのその言葉を聞いた瞬間。
シンの頭には巨大な鉄の人形が街を守る姿が浮かぶ。
五つの機体が光に包まれ、
一人の巨大な戦士が剣を掲げた。
シン「近未来かぁ!!合体ロボとかもいるんだろうなぁ」
聞いた事のない言葉に戸惑うコウ。
コウ「がったいろぼ…?」
アラン「なんやそれ?」
シンは両手を振る。
シン「あ!いやいや!なんでもないよ!」
(合体ロボとかはこの世界ではあるわけないか…)
ネビュラは目を輝かせながらシンを見つめた。
ネビュラ「響きはカッコイイな!ガッタイロボ!」
バウスは小さくため息をつき、ネビュラを横目で見る。
バウス「ガキが好きそうな言葉だな。お前みたいに。」
ネビュラは勢いよく腕を振り上げた。
ネビュラ「なんだとー!!」
バウスの手のひらに氷の魔力が集まる。
パキッ……
足元から白い霜が広がり、石畳が次々と凍りついていく。
バウス「やるか?」
ネビュラは一歩、また一歩と後ずさる。
ネビュラ「い、いや……やめとく……」
ヴィーラ「……合体ロボ...」
小さく誰にも聞こえないような声でヴィーラが繰り返す。
シン「ヴィーラ?大丈夫?」
ヴィーラ「な、なに?!大丈夫!なんでもないよ!」
コウ「よし。目指すはカストリアだ!行くぞ!」
ネビュラ「もちろん馬車だよな?」
アラン「歩きや。」
ネビュラ「嘘だろ?!」
アラン「…………嘘や。」
笑い声を乗せた風が、街道を吹き抜ける。
まだ誰も知らない。
この旅路が、彼らの運命を大きく狂わせることを。
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魔大陸
ディコルプヌス「ビプル。月の器の場所がわかった。」
ディコルプヌス「探せ。必ず見つけて連れてくるのだ。」
玉座の間に重苦しい沈黙が流れる。
ビプル「月の器なぁ……」
ビプル「それ見つけたらなんかくれはるん?」
堅物な男「き、きさまぁ!ディコルプヌス様になんて口の利き方を!!」
妖艶な女「ちょっとー♡少し躾が必要なんじゃな……」
ダンッ
壁に突き刺さるナイフ。
妖艶な女の頬が切れ、額に汗が滲む。
ビプル「……そういうんは、立場と実力をよう考えてから言わなあかんやろ?」
黒い魔力が床を這う。
空気が重く沈む。
妖艶な女の足が震えた。
ビプルはゆっくりとナイフを引き抜く。
カラン……
床へ落ちた血が静かに広がる。
ビプル「ほんまもんの恐怖……僕が教えてあげよか?」
妖艶な女「……申し訳ございませんでした…」
ディコルプヌス「まぁそういじめてやるな。ビプル。お前には期待している。私の最高傑作なのだから。」
ビプル「別にあんたの傀儡になったつもりはないんよ」
ビプル「ただ他に生き方がわからないだけや。」
ディコルプヌス「それでいいのだ。ビプル。これがお前の運命なのだから……」
静まり返る玉座。
ビプルは何も答えない。
ゆっくりとナイフについた血を指で拭う。
その瞳には怒りも憎しみもない。
ただ、自らの運命を受け入れた者だけが持つ静かな諦めだけが宿っていた。
その横顔は、どこか寂しそうだった。
21話読んでいただきありがとうございました。
22話ではカストリアの地へ降り立つシン達。そこには活発で元気な女の子が……
次回もお楽しみください。
岡本煌




