特別編六花弁の日常
特別編六花弁の日常
その後です
神話×魔法×ファンタジー物語
特別編六花弁の日常楽しんでってください。
ここはアリエルガ王国首都ラグノリア
そしてアリス女王がいる城の中では…
アメリス「はわわわ〜!!」
アリス「仕事が遅いぞ!アメリス!」
アメリス「ごめんなさいなのだ!」
アリス「次は修行じゃ!魔力を込めろ。」
アメリス「はいっ!」
手に大きく魔力を込めていくアメリス
手の中には紫色の魔力が集まり出す…
だが一向に大きくならない…
アリス「小さい。」
アメリス「えっ?」
アリス「もっと本気をださんか!!」
アメリス「もう嫌だ〜!怖いのだ〜!」
アリス「なんじゃ!最強の女になりたいのであろう?」
グスッ…
アメリス「なりたいのだ…」
頭を優しく撫でるアリス
アリス「妾もそなたと同じ歳の頃は周りと比べいちばん弱かった…」
アメリス「え?!そうなのだ!?」
アリス「あぁ…妾は才能もなかったしのう」
アリス「だが努力をした。そして妾を下に見ていた者共を全て黙らせた。」
アメリス「……カッコイイのだ!」
アリス「そなたは才能がある。妾の元でしっかり鍛錬を積めばより強くなれるぞ」
アメリス「わかったのだ!頑張るのだ!」
アリス「うむ。精進するがよい。」
_______________
ラグノリア首都夜の街
華やかなネオンの光が昼の街とは違う風景を作り出す。
客引きの男「お兄さん!ちょっと飲んでいってよ!」
シュクロ「我か…?」
客引きの男「お兄さんだよ!男前だね〜!可愛い子揃ってるよ?」
シュクロ「なに!?ヴィーラたんのような?!」
客引きの男「ヴィーラたん?が誰かわからないけど、最近入った可愛い子がいるのよ〜!もう一気にNo入りしそうなんだから!」
シュクロ「ヴィーラたんのような麗しき女性が我に……ぬうぉぉお!こうしてはおれぬ!ゆくぞ!」
客引きの男「そうこなくっちゃ!」
シュクロと男はネオンの看板の下にある淡い灯りの階段を降りていく。
カランカランッ
客引きの男「1名様ご来店でーす!ありがとうございまぁーす!」
店員達「いらっしゃいませ!ありがとうございまーす!」
店長に案内されながらフワフワのソファの席に座るシュクロ。
店長「こちらの席でお待ちください。順番に女の子が回ってきますので気に入った子がいれば指名してあげてください。」
シュクロ「うむ!早くヴィーラたんのような姫を我に……!!」
ネモネル「初めまして〜♡最近入りましたネモです……」
シュクロ「ネモネル……」
ネモネル「シュクロじゃない、なにしてんのよこんなとこで」
シュクロ「わ、我はヴィーラたんのような姫に出会えると聞いて……」
ネモネル「はぁ?未成年が働いてるわけないでしょ。ほんっと気持ち悪いくらいロリコンね」
シュクロ「そ、そんな……!詐欺だ!我は金など払わぬぞ!」
ネモネル「店長〜!ご指名いただきました〜!」
シュクロ「な、なにを!」
店長「ご指名いただきありがとうございます。ほかの女の子もいますがネモさんでお間違えないですか?」
シュクロ「わ、我は」
ネモネル「はぁーい♡大丈夫ですよ♡」
ネモネル「ねっ?♡」
シュクロ「は、はい…」
ネモネル「あ!店長!黒お願いしまーす♡」
シュクロ「く、くろ…?」
店長「ありがとうございます。」
店長「こちらのお客様よりドンペリブラックいただきましたぁ!ありがとうございまぁす!」
店員達「ありがとうございまぁす!」
シュクロ「我は頼んでなど…」
ネモネル「大丈夫♡大丈夫♡仲間でしょ〜?売上貢献してよ〜♡」
胸をおしつけてくるネモネル
シュクロ「……いや我の恋愛対象は清純な若い子と決めて…」
ネモネル「ほら♡」
3枚の画像を取り出す。
そこには金髪で麗しい少女の姿…
シュクロ「なっ!!!これは!!」
ネモネル「魔力映写機で撮っておいたの♡役立つと思って♡」
画像に手を伸ばすシュクロ
しかし…
ネモネル「後黒2本くれるならいいよ♡」
シュクロ「なっ!」
ネモネル「後ゴールドも欲しいなぁ♡」
シュクロ「我は、ばばぁに貢ぐ趣味は…」
ネモネル「あ?」
シュクロ「……でもその画像は価値があるものだ。いいだろう。喜んで払う。」
ネモネル「ありがと〜♡」
ネモネル「店長〜!黒2本、ゴールド追加でーす♡」
店長「こちらのお客様からドンペリブラック2本、ゴールド1本いただきましたぁ!ありがとうございまぁす!」
店員達「ありがとうございまぁす!」
シュクロ「……我、払えるかな…」
___________
ネオン街の夜の街とは全く違う風景
ラグノリアの出店街では…
女性「わぁ!この花綺麗〜!」
メリガン「そちらの花はカンナという花です。オレンジや赤色のこの花弁が素敵でしょう?」
女性「うんうん!それに香りもいい匂い!」
メリガン「花言葉は情熱、尊敬が多く使われます…あなたみたいな元気な女性にはピッタリの花ですよ」
女性「お兄さんイケメンだし、話もうまいんだから〜!じゃぁこの花ください!」
メリガン「ありがとうございます。」
静まり返る店内。
花の香りで満たされた店の中は少し蒸し暑い
でも花達に囲まれた生活。
これが自分が本当に送りたかった生活だとメリガンは実感していた。
店長「メリガンくん〜!お疲れ様!休憩したら?」
声を掛けてきたのはこの花屋の店長。
メガネを掛け、少しふくよかでポニーテールの笑顔が素敵な女性。
花への愛は自分と同じくらい強いひとだった。
メリガン「店長!お疲れ様です!僕はまだ大丈夫ですよ」
店長「それにしても君はよく働くね〜!店長大助かりよ〜!」
メリガン「いえいえ…今までたくさん迷惑をかけたから…今度は…もう迷わないって決めたんです!」
店長「おお!なんだいなんだい!そんな爽やかな顔して元々ヤンチャだった感じ〜?」
メリガン「ははは…どうですかね汗」
メリガン「でも昔は死んだ妹に胸を張れる兄ちゃんだとは言えませんでした。今は胸を張ってお兄ちゃんここまで来たぞって言えます!」
店長「いいじゃない!亡くなった妹ちゃんもきっと見てるよ。」
メリガン「そうですね…きっと側で笑って見てると思います!」
________________
フォルナ大森林森の管理局
暖かな日差しが木漏れ日となり森を照らす。
鳥のさえずり。
川のせせらぎ。
そんな穏やかな森の中を、小さな少女が鼻歌を歌いながら歩いていた。
エスイ「ふんふふ〜ん♪」
頭や肩には色とりどりの虫が止まっている。
蝶、カブトムシ、クワガタ、てんとう虫。
エスイ「今日はみんな元気かな〜?」
ガサガサッ
茂みから一匹の大きなクロウジャが現れる。
エスイ「あっ!クロちゃん!」
クロウジャはエスイの肩へ飛び乗る。
エスイ「えへへ〜♡今日もかっこいいねぇ〜♡」
頭を撫でながら幸せそうに笑う。
その時だった。
パチンッ!!
エスイ「!!!」
一匹の蚊が誰かに叩き潰された。
エスイ「…………。」
エスイの笑顔が消える。
そこには暇そうに歩いていたネモネルがいた。
ネモネル「あ、ごめーん♡刺されそうだったから♡」
エスイ「…………。」
ネモネル「?」
エスイ「…………虫さん。」
ネモネル「え?」
エスイ「虫さんを……。」
ぶわっ……
森中から羽音が響く。
ブゥゥゥゥゥゥ……
ネモネル「……え?」
空が黒く染まる。
大量の虫。
蜂。
蝶。
蛾。
クロウジャ。
ゼミローチ。
メダマバチ。
フォレストワーム。
数え切れないほどの虫達がネモネルを囲む。
ネモネル「ちょっ!?待って!?」
エスイ「虫さんを意味もなく殺す人は……」
ニコッ
エスイ「嫌い。」
ネモネル「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
数分後。
全身虫だらけになったネモネルが地面に転がっていた。
ネモネル「虫……嫌い……。」
エスイ「虫さん達は悪くないもん。」
エスイ「虫さん達〜!今日はおしまい!」
ぶわっ
一斉に森へ帰っていく虫達。
エスイ「また遊ぼうね〜♡」
蝶が一匹エスイの指先に止まる。
エスイは満面の笑みで蝶を見つめていた。
管理人の男「いやあんた仕事してよ…」
____________
元六花弁のメンバーがそれぞれの道を歩き出してから数ヶ月
季節は紅葉が色付く秋へ移り変わろうとしていた。
そして今日は元六花弁が集まって久々の食事会。
ラグノリアの中心地にある人気料理店。
六足亭。
メリガン「皆久しぶり…元気そうだね」
ネモネル「私は元気〜♡今No.1になったんだよ〜♡お店で!」
メリガン「そりゃすごいな!」
シュクロ「ほとんど我からむしりとっていった金じゃないか……」
メリガン「シュクロはネモネルの店に通ってるのかい?」
シュクロ「無理やり…ヴィーラたんの画像のために通っている…」
メリガン「そ、そうか…」
アメリス「エスイ!グラスを右にずらすのだ!」
エスイ「え!わかった!」
エスイがグラスをずらしてから10秒後…
ボトン…
上からゴミが落ちてきた。
アメリス「危なかったのだ!グラスにゴミが入るとこだったのだ!」
エスイ「すごい!そんな先まで未来みれるの?!」
アメリス「女王様に特訓してもらってるからね!集中すればもっと先も視えるのだ!」
メリガン「皆元気そうでなによりだよ」
メリガン「ヒヤニスは…元気かな…」
ネモネル「あいつは死なないよ〜そんな簡単に♡」
シュクロ「奴は……我々よりも深い悲しみに囚われていたからな…」
エスイ「ヒヤニスは虫さんに優しかったから好きだったんだけどなぁ」
アメリス「ヒヤニスはきっと大丈夫なのだ」
メリガン「そうだな…いつかまた会ったら今度は皆でこうやってご飯食べたいな!」
メリガン「ところでこの店ってどんな料理が…」
店員「お待たせしましたー!!フォレストワームの蒲焼、クロウジャの蒸し焼き、ゼミローチの天ぷら!デザートにメダマバチゼリーでぇーす!」
エスイを除く全員「………………。」
エスイ「おいしそぉぉぉ!!」
ネモネル「あんた虫好きなんじゃないの…これはいいの…?」
エスイ「意味もなく虫殺すのはだめ!でも食べるためならそれは仕方ないよ!世の中弱肉強食なんだし!」
シュクロ「……うぷっ。吐きそう…」
アメリス「この店予約したのって…」
メリガン「エスイだ……店名からして嫌な予感はしてたが…」
湯気を立てるクロウジャの殻にエスイがナイフを入れる。
「パキッ」
心地よい音と共に殻が割れ、中から真っ白な身が顔を覗かせた。
香草と焦がしバターの香りが鼻をくすぐり、噛むたびにぷりっとした弾力と濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。
まるで海老と鶏肉を合わせたような上品な味わいだった。
エスイ「このクロウジャの蒸し焼き味付けがぜつみょ〜!スパイスの香草と岩塩。ガーリックバターがとろけて最高!肉厚だし!このソースも美味い!柑橘系の果汁と蜂蜜を混ぜた甘めのソースがまた合う〜!」
シュクロ「…………すごい食レポですな…」
炭火の上でじっくり焼かれたフォレストワーム。
甘辛い特製ダレが何度も塗られ、照りのある黄金色に焼き上がりはとても虫とは思えない。
滴った脂が炭に落ち、香ばしい煙がふわりと立ち上った時には店の全員を釘付けにしていた。
醤油と果実酒を合わせた甘い香りが食欲を刺激し、焼き目のついた表面は見るだけで腹が鳴りそうになる。
エスイが一口頬張る。
外側は香ばしく、中は驚くほどふっくら柔らかい。
噛むたびに濃厚な旨味と甘い脂が口いっぱいに溢れ、炭火の香りが後味を引き締める。
まるで脂の乗った鰻と、とろける豚の角煮を合わせたような贅沢な味わいだった。
エスイ「さいこぉぉぉぉ!!!!」
ネモネル「ちょっと美味そう…私も!」
パクッ
食べた瞬間口の中に広がる旨味。
ネモネル「……うっま。何これ。めっちゃうまい♡!!」
エスイがゼミローチの天ぷらをギョロリと見つめる。
薄衣をまとった黄金色の天ぷらから、香ばしい湯気が立ち上る。
熱々のうちに岩塩をひとつまみ。
衣は軽く、箸で持ち上げるだけで「サクッ」と心地よい音を立てた。
一口かじれば、まず衣の香ばしさが広がる。
そのすぐ後に現れるのは、驚くほど甘く濃厚な旨味。
中の身はしっとりと柔らかく、それでいてほどよい弾力があり、噛むほどに上品な甘みが口いっぱいに溶け出していく。
後味には森の香草の爽やかな香りがふわりと抜け、思わず次の一口へ手が伸びてしまう。
まるで川海老と白身魚を合わせたような、上品で奥深い味わいだった。
エスイ「幸せ……」
アメリス「ほんとに美味しい…」
メリガン「最近は虫の魔物の料理も流行ってて需要が増えているとは聞いていたけど…」
エスイ「私今度本だすよ!」
全員「えっ!?」
エスイ「虫との共存。美味しい料理の作り方ってやつ!」
メリガン「楽しみにしておくよ…」
ネモネル「どの料理も美味いけどさ〜。さすがにこれは無理でしょ」
ネモネルが視線を向ける料理はメダマバチのゼリー。
皿の上には拳ほどもある巨大な蜂。
羽は透き通り、黒と黄色の縞模様。
そして何より目を引くのは――
頭のほとんどを埋め尽くす巨大な複眼。
無数の小さな瞳が光を反射し、こちらを見つめているようだった。
脚は関節を曲げたまま固まり、鋭い針は腹の先から突き出たまま。
その下には青色のプルプルとした液体がある。
エスイ「ここの店の自慢のデザートなんだよ!食べて食べて!」
ネモネル「……メリガン、食いなさいよ」
シュクロ「メリガンの強さを我に見せてくれ」
アメリス「……これはさすがに私無理」
メリガン「……わかった。」
1口。そう思いスプーンを入れる。
だが次の瞬間。
スルッ
驚くほどに軽いメダマバチの体。
まるでケーキのよう。
ゼリーと一緒にすくいながら口に運ぶ。
ジュワッ…
広がる甘い蜂蜜。森の香り。そして炭酸ジュースのようなゼリー。口の中でとろけてあっという間になくなる。
メリガン「……うまい。」
エスイ「でしょーーー!!ここアランくんに教えてもらった1押しの店なんだよ!」
アメリス「アランお兄ちゃんが?!」
ネモネル「変な店だけど味は美味いね♡」
シュクロ「我…満足。」
メリガン「皆でこんな風にご飯食べるって楽しいな…」
全員が少し悲しげな、嬉しそうな表情で頷く。
メリガン(ヒヤニス……また……会えるよな?)
特別編六花弁の日常読んでいただきありがとうございました。
お待たせしました。
以上で特別編終了となります。
次回はいよいよ新章突入!
ご期待ください!
岡本煌




