第三章アリエルガ編20話 怪物の名はアリス
アリエルガ編堂々の完結。
チート最強好きの皆様〜こちらに最強の女王がいらっしゃいますよ!
神話×魔法×ファンタジー物語
第20話楽しんでってください。
黄金の炎が天を焦がす。
ゴォォォォォォォォ……
空気が揺れる。
大地が軋む。
まるで太陽が地上へ降り立ったかのようだった。
シン達は言葉を失う。
今まで感じたことのない魔力。
圧倒的。
ただそれだけだった。
ベヘルギガントもまた足を止めていた。
紫色の瞳がアリスを見つめる。
先程までシン達には向けなかった視線。
初めて。
怪物が敵として認識した。
アリスは微笑む。
アリス「安心せい」
アリス「ここから先は1歩も行かせぬ」
ピギャァァァァァァァァ!!!!
国中に響き渡るべヘルギガントの咆哮。
ベヘルギガントがアリスを睨む。
厄災級の魔物
アランやコウでさえ敵わない化け物
それが初めて敵を見る目に変わった。
アリス「うむ。妾を敵と認識したか…」
アリス「じゃがそれはちと傲慢じゃのう…?」
アリスの指先に黄金の魔力が集まる
ニヤリと微笑みベヘルギガントに魔法を放つ
詠唱はない
ただ己の凝縮した魔力を一直線に放つ
ピギャァ…!
余裕だ。こんな魔法受け止めてくれる。
そんな表情でアリスの魔法を防ごうとした
次の瞬間
パァァァァン!!!
大きな破裂音と共にベヘルギガントの腕が吹き飛ぶ。
ピギャァァァァァァァァァァァァ!!!!
大きな叫び声が上がる。
しかしニヤリと笑いだしたベヘルギガント。
腕が一瞬にして生えてきた。
超速再生。
コウの技で傷付けた時もこの再生のせいで1パーセントも削れなかった。
まるでお前の攻撃など無駄だぞと言わんばかりの表情。
アリス「ほう。」
アリス「何度も再生する…ということは…」
アリス「妾も少しは本気でいってよさそうじゃのう!」
次はベヘルギガントが仕掛ける。
ベヘルギガントの口元がゆっくりと開く。
その奥から無数の触鬚が這い出した。
まるで生きた蛇のように蠢く紫色の触手のような器官。
触手の先端が空へ向けられた瞬間――
ドクン。
紫色の液体が脈打つように膨れ上がる。
プシュゥゥゥゥゥぅ!
雨や霧のように毒と酸がばら撒かれる。
コウ「まずいぞ!この毒と酸は…」
アリス「安心せぇ童ども。」
一瞬だった。
全ての毒と酸が黄金の粒子で包まれ破壊された。
ピギャ…?
ピギャァァァァァァァァァァァァ!!
まるでなぜそんな事ができると問いているような表情。
ぐしゃぐしゃの怒りが現れた顔に、アリスは余裕の微笑みを返す。
アリス「ふっ…まるで自分の思い通りにいかぬと暴れる赤ん坊じゃのう…」
アリス「あぁ、つい先程産まれたのなら赤ん坊かのう?」
アリス「だが、残念じゃ」
アリス「妾は子供には優しいが、躾のなっておらぬ子供には…」
アリス「ちと厳しい。」
シュバンッ!!!
アリスがその辺に落ちていた棒を拾って空中を切る。
棒は粉々に砕け散る。
シン「あ、あんな棒切れで大丈夫…なのか」
遠目から見守るシン達。
だが次の瞬間ベヘルギガントの体が半分に裂けはじめる。
ピギャァァァァァァァァァァァァ!!!
だが必死にくっつけようと再生をしだすベヘルギガント。
ヴィーラ「やはり…この再生をなんとかしないと…」
アリス「ふむ。確かに厄災と呼ばれるだけのことはある。」
アリス「じゃがーー」
アリス「妾の国を脅かすにはちと足りぬな。」
アリスが空に手を広げる。
空中に集まる黄金の魔力
それはまるで黄金に燃える炎で太陽のよう。
フワッ
一瞬だった。
その黄金の塊をベヘルギガントへ投げるアリス。
避けれない。
受けきれない。
ベヘルギガントは悟る。
喧嘩を売っては行けない相手だったと。
初めてだった。
冥蟲皇ベヘルギガントとして産まれ落ちて数十分。
恐怖という感情とは無縁だと思っていた。
そう思っていたのに。
黄金の塊が当たる。
ベヘルギガントの全身に黄金が広がりヒビが入り出す。
その瞬間
ベヘルギガントの消滅。
跡形もなく。
黄金の雨がキラキラと王国と森に降り注ぐ。
アリス「惜しいのう。」
アリス「あと百年生きておれば少しは楽しめたかもしれぬ。」
シン達の目に映るアリス女王はまさに怪物だった。
アラン「こりゃぁ女王様には敵わんなぁ…」
コウ「ははっ…まさかあそこまでとはな。」
ヴィーラ「お父様より強い…!」
バウス「……ちっ。遠すぎんだろ。」
ブビィ「いや、あれは……いくらなんでも無理だろ…」
シン「……いや。俺らも強くなるぞ。少なくともベヘルギガントを俺らだけで倒せるくらい。」
拳を握る。
皆は何も言わなかった。
言わなくとも表情を見れば分かる。
誰1人として絶望した者はいない。
ベヘルギガント討伐後、アリスから城に呼ばれたシン達。
アラン「怒られるんちゃうか?」
シン「ベヘルギガント倒せなかったしな…」
コウ「それはないと思うが…魔大陸への許可は貰えないかもな…」
ガチャッ
重い空気の中王座の前へと来たシン達。
アリス女王に敬意をはらうように膝を着き、頭を下げる。
アリス「よいよい。此度の件まことにごくろうじゃった!」
コウ「アリス女王様。我々はベヘルギガントを倒すことはできませんでした…」
悔しそうに唇を噛みながらコウが発言する。
アリス「ふむ。厄災と呼ばれる他国の王に匹敵するほどの魔物じゃ!」
アリス「お主達だけで倒す事ができたら、王と同等じゃぞ?」
アリス「安心せぇ。むしろ妾は六花弁という悪神教を確保出来たこと。これをいちばんの功績と認めたい」
アリス「連れてまいれ。」
ガチャッ…
鎖に繋がれた男と女
六花弁
メリガン
ネモネル
アメリス
エスイ
シュクロ
5人が連れてこられた…
アリス「ふむ。こいつらの処遇じゃが……」
アリス「シン!お主はどう思う?」
メリガンを見つめるシン。
その瞳は優しく揺れていた。
シン「許して…許してやって貰えないですか?!」
コウ「シン!何を…」
コウの口を遮るようにアリスが口を挟む。
アリス「ほう。こやつらはフォルナ大森林を脅かし、生き物を苦しめ、国を揺るがそうとした人物達じゃが…許せ…と?」
アリスの目には静かな圧力があった。
だがシンは続けるー
シン「俺はメリガンってやつと戦ってわかった!こいつらだって好きでこうなったわけじゃない!」
シン「してしまった事は消えないし、償いはしないといけない!」
シン「でも…!許すことも大事だと思うんだ!」
ヒソヒソとアランが呟く
アラン「お前女王様にタメ口になっとるぞ」
アリス「ほう…許す…とな。」
メリガン「シン。ありがとう。僕は君と戦って…過去を見つめ返した。」
メリガン「でもそれは改心したとしても僕の罪が消えることは無い。だからしっかり償うよ」
メリガン「あの世で妹に……今度は胸張ってお兄ちゃんだって名乗れるように。」
アリス「ふむ…ここで処刑の判断を下したら妾は悪者じゃのう…笑」
兵士「女王様!!こやつらは国家転覆を企んだ大罪人ですぞ!!」
アリス「メリガンとやら。」
メリガン「は、はい…」
アリス「幸いお主達は顔が良い。妾の国で働き税を収めよ。それが罰じゃ。」
メリガン「……え。」
アリス「それにもしお主らの親玉が危害を加えようとしても大丈夫じゃ。この国におる限り、妾が守ると約束しよう…」
メリガン達は膝から崩れ落ちる。
涙を流しながら何度も何度もありがとうと呟いていた。
シン「よかったな。メリガン!」
メリガン「シン。色々すまなかった。」
メリガン「もしお前達に助けが必要なら必ず駆けつけると誓う。」
ネモネル「ふふっ!私を倒したブタきゅんは私の彼ピにしてあげるねっ」
ブビィ「え?!ほ、ほんと?」
鼻息が荒くなるブビィ。
ネモネル「嘘よ。」
ブビィ「う、うそかよ!」
その場で泣き崩れる
アランがそっと肩に手をあて
満面の笑みでブビィを見つめる
アラン「まぁ、人生っちゅうのは経験や」
余計に泣き崩れるブビィ
その瞬間
アメリス「あ、あの!」
アラン「ん?」
アメリス「あなたの強さに憧れました!本当に強かった!大好きになったのだ!」
アメリス「なので……お兄ちゃんって呼んでいいですか?!」
アランの顔が少し揺れた
その表情は怒りでも悲しみでもない
ほんの少しの絶望
アラン「……なんや、兄ちゃんが欲しいんか?」
アメリス「い、いや憧れというか…すごくカッコいいと思ったのだ…」
アラン「ほう。そやな…もうちょい強うなったらな笑」
頭をポンポンっと軽くなでるアラン
アリス「アメリス。そなたは妾の従者じゃ。」
アメリス「え…?えぇぇーーー!?」
アリス「そなたの未来魔法は鍛えればより強くなる。赤髪に次会う時までに妾がものにさせてやろう」
アメリス「あ、ありがとうございますっ!」
シュクロ「我…ヴィーラたんのお側に…」
ヴィーラ「本当にやめてください。気持ち悪い。」
アリス「うむ。こやつは思想が危険じゃの、牢屋行きじゃ。」
シュクロ「そ、そんなぁ?!」
アリス「冗談じゃ。キビキビ働くが良い。」
エスイ「……あたしは納得できない。」
一同がエスイに注目する。
エスイ「だってあたし負けてないし!虫さんと遊んでただけだもん!虫さんがいるとこがいい!!」
アリス「ふむ。そなたには元々森の環境維持の仕事をしてもらおうかと考えてた」
エスイ「え!?ほんとですか?!森にいれるのー?!やったぁ!!」
アリス「うむ。精進するがよい。」
アラン「そやな。エスイっちゅうやつはコウに勝っとるもんな……」
コウ「いや…負けては…」
ブビィ「めちゃくちゃ逃げてたしな…」
コウ「そ、それは…」
シン「コウ兄は虫だけはだめだもんなー!」
ヴィーラ「相性もありますよ!仕方ありません!」
コウ「面目ない…」
バウス「あの…」
皆が笑い合う中で
バウスが口を開く。
アリス「なんじゃ?」
バウス「俺と戦ったヤツがいないが…」
アリス「あぁ。そ奴だけは痕跡がまったくなくてのぅ。恐らく逃げられておるな」
バウス「そうか…」
アラン「ほんまに倒したん?」
バウス「…その減らず口を今すぐ凍らしてやろうか?」
笑い合う仲間たち。
そしてーーー
ブビィ「あのさ、俺ほんとはブビィって名前じゃねーんだ」
ブビィ「ホントの名前はネビュラって言うんだ。顔がこんなんだから名乗るの恥ずかしくて…ずっといじめられっ子につけられたアダ名を名乗ってた。」
ブビィ「なぁ!俺もお前達と一緒に行っていいか?!悪神教を…母ちゃんを苦しめたヤツを許せねぇんだ!」
シン「何言ってんだよ!」
ブビィ「え?」
アラン「とっくに仲間やろ?」
コウ「そうだな。笑よろしくなネビュラ!」
ヴィーラ「ネビュラくんね!皆顔で判断する人じゃないよ!だから大丈夫!」
バウス「ふんっ。さっさと行くぞ」
シン「改めて…よろしくな!ネビュラ!」
差し出された手。
幼少期いじめにあい
唯一の味方の両親はいなくなり
ずっとそれから1人で過ごしてきた彼にとって
初めて認めてくれた仲間ができた。
ネビュラ「……うん!皆!よろしくな!」
その顔は涙でグシャグシャだ。
アラン「あ、お前ウンコ踏んづけてたしウンコマンでもええで。」
ネビュラ「それだけは嫌だ!!!」
アリス「ふむ。妾からちといいかの」
全員がアリス女王に向き直る。
アリス「此度は我が国アリエルガの危機を救い、フォルナ大森林の生体を守ったこと。
強く評価する。よってここに魔大陸への通行許可を認めよう」
シン「ええ!?いいんですか?!」
アリス「うむ。それに後10ヶ国集めなければならんしのう?妾が許可したとなれば他の国でも許可はとりやすいというものじゃ」
シン達「ありがとうございます!!」
アリス「次の目的地が決まるまではこの国でゆっくり休み、準備をするがよい」
アリス「六花弁よ」
メリガン達がアリス女王に跪き、頭を下げる。
アリス「許されたとは思うな。命を預けられただけじゃ。なのでお主らはしっかりと罪を償うがよい」
メリガン「…必ず…。もう迷わないとここに誓います。」
メリガンは涙を流し強く、強く決心した。
もう道は間違えない。
せっかくもらえたチャンスを無駄にしない。
そんな表情でアリス女王を見つめる。
アリス「うむ。」
アリス「ではこれにて解散とする。」
王都では人の犠牲はなかった。
しかし森の生命達に危機が及んだ。
その罪をしっかりと償い、メリガン達はきっと新たな人生をあゆむだろう。
そしてシン達は女王に許可を貰い
次の国へと足を進める…
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ここは風の地方の国カストリア
そのカストリアの端にある小さな村。
??「やっほーぃ!!こっちこっち!」
男達「まてぇ!この泥棒むすめ!!」
??「へっへーん!捕まるわけないじゃーん!このアタシ!ラン様にかかれば、お手の物よ!」
男達「まったく……悪さばかりするクソガキが…」
男達「仕方ねぇよ。きっと寂しくて、誰かにかまってほしいんだ」
女達「そうね…少なくともこの村ではあの子の事しっかりみてあげなくちゃね!」
ラン「今日もうまくいったー♫」
ラン「やっぱラン様さいきょうっ!」
20話読んでいただきありがとうございました。
21話へ進む前に、一度振り返りも含めて特別編や、キャラ紹介行わせてください。
次回もお楽しみください。
岡本煌




