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第三章アリエルガ編 11話森の叫び

アリス女王の依頼を受けフォルナ大森林の奥地へ進むシン達……

そこには見覚えのある少年、そして新たな敵の影。


神話×魔法×ファンタジー物語


第11話楽しんでってください。

フォルナ大森林。


ノムア大陸最大級の森林。


巨大な樹木が空を覆い、

昼だというのに薄暗い。


獣の鳴き声。


虫の羽音。


湿った土の匂い。


まるで森そのものが生きているかのようだった。


シン「森の奥ってこんな薄暗いんだな…」


コウ「どうした?怖いのか?笑」


シン「ちげーよ!でもなんかでかい虫とか出てきそうだな…」


コウ「その振りだけはやめてくれ。いや、ほんとに。」


アラン「ぎゃーーあそこにでかい虫の魔物がおる!」


その瞬間咄嗟に木の上に登るコウ。


アラン「冗談や。笑」


コウ「お前…いつか絶対潰す。」


アランは大笑いしながらコウをからかう。


バウス「しかし、まだ夏前だってのに蒸し暑いな…」


ヴィーラ「確かに…この暑さなんとかならないかな?」


シン「俺の雪魔法で冷やせたらいいけど…そんな雪魔法覚えてないんだよな…」


バウス「俺の氷魔法で涼むか?」


シン「お!いいのか?」


バウス「あぁ。調節できずに氷漬けにしちまったらすまない。」


シン「遠慮しておくわ…」


湿った暑さに耐えながら森深くに進むシン達。


その瞬間


ガサッ


シン「なんだ?!」


アラン「なんや!魔物か?!」


コウ「気を付けろよ!」


バウス「氷漬けにしてやる。」


突然の物音に緊張が走る。


草むらから現れた謎の影。


変な仮面。


短い足。


沈黙。


ヴィーラ「ぶたさん…?」


ブビィ「おい!誰がブタだコノヤロウ!」


コウ「なんだまたお前か…」


シン「おぉ!山賊のぶひぃじゃないか!」


ブビィ「ぶひぃじゃねぇ!ブビィだ!ブビィ!」


アラン「なんや知り合いか?」


バキッ

バウスが氷を放つ


ブビィ「ぐわぁぁー!つめてぇ!!」


バウス「魔物じゃないのか…?」


ブビィ「いやお前話聞いてた?!どうみても喋ってるだろ俺!いきなり氷ぶっぱなすとか頭イカれてんな!!」


バウス「豚の魔物のコスプレなんかしてるほうが悪い。」


ブビィ「コスプレじゃねぇ!これは大山賊の象徴としてだな…」


コウ「すまん。遊んでやる時間はないんだ、みんな先を急ごう」


ブビィ「ちょ!待てよ!」


コウ「なんだまた山賊ごっこか?」


ブビィ「ちげーよ!!お前らが森の奥にはいってったから忠告してやろうと思ってだな…」


コウ「忠告?」


ブビィ「森は今大変なことになってる。わりぃことはいわねぇ。引き返すぞ。」


シン「実はアリス女王から直々に森の調査を頼まれてきたんだよ!」


ブビィ「女王から?!お前ら一体なにもんだよ…」


アラン「もし森に異変がおこっとるちゅうんならどんな異変か教えてくれんか?」


ブビィ「森の魔物が大量発生してる!そん中でも激ヤバなやつが3体!」


コウ「どんな奴だ?」


ブビィ「大きい花の化け物フロル=モルテ。こいつの花粉を吸い込んだら最後…幻覚で倒れて死ぬまで養分にされる」


ヴィーラ「養分…恐ろしいですね」


ブビィ「狼型の魔物フェンリオス。森の王と呼ばれるこいつはあんまり凶暴な性格じゃないはずなんだが…なぜか暴れだしてる。」


バウス「森の王か…強そうだな」


ブビィ「そしてこいつは1番やべぇ。地中を移動する巨大な虫型の魔物で俺も名前は知らねぇ。この森にそんな巨大な虫いなかったはずなんだが…」


コウ「…地中にいるでかい虫はやだな…」


アラン「なにいうてんねん!女王の依頼や!苦手やっちゅうて達成できんかったら魔大陸に行かれへんぞ?」


コウ「そうだが…まぁ虫のやつはアラン達に任せることにしよう。」


ブビィ「お前ら!ほんとにあいつらはやべーんだぞ!」


ブビィ「まず花の魔物だが…」


アラン「燃やしたらええやろ」


ブビィ「なっ!?まぁ確かに…」


ブビィ「次に狼の魔物はフォルナ大森林の獣たちの王だ!群れで行動していて狙った獲物は逃がさねぇ!」


バウス「凍らす。」


ブビィ「お前ら……恐怖とかねーのかよ…」


シン「恐怖はあるよ、でも…」


シン「怖くても進むのか。怖いから逃げるのか」


シン「最後に決めるのは、自分自身だ!」


ブビィ「……勇気あるんだな。」


ブビィ「俺もお前らみたいに強かったら…」


ブビィ「あ、でも虫型の魔物は俺も詳しくわからねぇ。大量の卵産んでるのはみたことあるけど…」


コウ「…よし。帰ろう。」


シン「コウ兄?!だめだよ!ちゃんと依頼こなさないと!」


コウ「増殖する虫だけは絶対無理だ。ほんとに。」


アラン「情けない兄ちゃんやのぅ…虫は俺が相手したるわ!安心せぇ!」


コウ「ほんとに虫だけは頼むぞ…」


ブビィ「お前ら俺の話聞いてもまだ戦う気なんだな…」


ヴィーラ「私たちは魔大陸へ行きそれぞれの成し遂げなければならないといけないことがあります!」


ヴィーラ「なのでここで逃げる訳にはいかないんです!」


バウス「女王もここで死ぬようなら魔大陸なぞいけないとか言ってたしな」


シン「そうだ!ブビィも色々教えてくれてありがとな!危ねぇからお前は帰っても大丈夫だぞ!」


ブビィ「…俺も行っていいか?。」


シン「え?お前戦えるのか?」


ブビィ「お前にはコテンパンにされてるから俺が戦力にはならねぇのはわかってるけどよ…」


ブビィ「この森は俺の家みてぇなもんだ。だからほっとけねぇんだ!」


ブビィ「それに……俺も知りてぇんだ」


ブビィ「お前らみたいに強くなるにはどうしたらいいのか…」


ブビィ「怖ぇけど……逃げたくねぇんだ」


シン「やっぱお前おもしれぇな!一緒に連れてってもいいだろ?みんな!」


アラン「シンがちゃんと守ってやるんやで!」


バウス「足手まといはいらねぇ。」


コウ「まぁ森の地理に詳しいやつがいた方が進みやすい。頼むよ。」


コウ「虫がいないルートで頼むぞ。」


ヴィーラ「コウさん…ほんとに虫嫌いなんですね…」


ブビィ「おう!道案内は任せろ!それと青い髪!俺は役に立つ男だからな!」


バウス「勝手にしろ。」


ブビィの案内を元に森の探索を進めるシン達。


道中様々なモンスターに襲われながらも、


アランの火魔法、バウスの氷魔法、ヴィーラの光支援魔法、シンの雷魔法、コウの嵐魔法で魔物達をなぎ倒し、


森の奥まで進んで行った。


ブビィ「ここら辺が魔物が活性化してるとこだ!」


目の前には

灰色になった木々

紫色の湖

様々な魔物の死骸が散乱していた


コウ「これは…森が一部死に絶えてる」


バウスが奇妙な石を見つけ破壊する。


バウス「この石…魔物石だ。」


シン「魔物石?」


ヴィーラ「魔物石は魔物を凶暴にしたり魔物自体を生み出してしまう恐ろしい石です…」


コウ「十中八九誰かが裏で糸引いてるとは思ってたが…」


アラン「おそらくやが第三者が絡んどるのは間違いあらへんな」


ヴィーラ「悪神教でしょうか…」


コウ「断言はできないが…可能性は高いだろうな…」


ブビィ「悪神教だと?!」


アラン「なんやブタくんは悪神教知っとるんか?」


ブビィ「ブタじゃねぇ!ブビィだ!」


ブビィ「いや悪神教は…俺の母ちゃんが入ってたんだ…」


シン「なに?!じゃぁブビィの母ちゃんも悪いやつなのか!?」


ブビィ「いや俺の母ちゃんはな。父ちゃんが死んでから少しおかしくなっちまって。それで死んだ人間を生き返らせる事ができるっていう悪神教に入ったんだ…」


シン「人間を生き返らせる…」


バウス「一般の教徒のほとんどは家族や、恋人。大切な人を失ったやつばかりだ。」


バウス「その弱みに奴らは漬け込んでる」


ブビィ「俺の母ちゃんは悪神教に入って、金も家も全部奪われた。最後には、もう人として扱われなかった」


ブビィ「次の日…川で見つかったんだ。」


アラン「心の弱った人間に漬け込んで、絞るだけ絞ったら川に捨てるっちゅうんか。外道やな。」


ブビィ「でも悪神教の奴らが絶対やったのに。誰も信じてくれなくて…」


ヴィーラ「大丈夫です。ブビィさん。私の国も悪神教に乗っ取られそうになりました。」


ヴィーラは自分の国で起こったことを話した。


悲しそうな表情で話すヴィーラ。


途中途中唇を噛み締め悔しそうな表情をしていた。


ヴィーラの話を聞いたブビィは突然近くにあった木を殴った。


ブビィ「悪神教め許せねぇ…!」


その表情は自分の母親に起こったことと連想してしまったのだろう。


握られた拳は血が滲んでいた。


コウ「……だいぶ奥まで進んだしな。今日はここで休もう。」


コウ「もしよかったらブビィの事も俺達に教えてくれないか?」


ブビィ「え、俺も一緒に休んでもいいのか?」


シン「もちろんだよ!お前いくつなんだ?」


ブビィ「15だけど…」


シン「じゃぁ俺とバウスとヴィーラと同い年じゃねーか!」


シン「仲良くしようぜ!」


ヴィーラ「ブビィさんよろしくお願いしますね!」


バウス「弱いやつには興味がねぇ。」


ブビィ「おう!よろしく頼む!」


ブビィ「てか青い髪!お前さっきからなんなんだよ!」


バウス「…なんだ?やるか?」


氷の魔法を見せつけるバウス。


ブビィ「い…いや…やめとく。ごめんなさい…」


ブビィのビビった姿に笑い合いながらシン達は野営することにした。


________


夜、フォルナ大森林では苦しそうな獣の鳴き声が響き渡っていた。


シン達はそれぞれブビィに自己紹介をし、旅の経緯を話した。


パチパチと焚き火の音が響く。


シン「ところでブビィはなんでこの森に住んでんだ?」


ブビィ「もう帰る場所がねぇんだ…」


コウ「帰る場所がない…か」


アラン「今まで山賊として色んなやつ襲ったんか?」


ブビィ「いや…俺がこの森に来たのも最近なんだ。」


ブビィ「食料もこの森は多いし、俺は人付き合い苦手だし、一人でここに住もうって決めて…」


ブビィ「でも人も結構きたりするからこの辺は山賊がいるぞって思わせれば誰も近付かないと思ったんだけど…」


ブビィ「1番最初の相手がシン達だった…」


アラン「そりゃ…災難やな…笑」


ブビィ「だから山賊なんか辞めてひっそり暮らそうと思ったんだけど…森の様子がおかしくなっちまって…」


コウ「そこへ顔を知ってる俺達が来たってわけか。」


ブビィ「そうなんだ。なぁ!教えてくれよ!どうやったらそんな強くなれるんだ?」


シン「気持ちだろ」


ブビィ「気持ち?」


シン「誰でも恐怖はするし、逃げたいと思う時はある。そしていつの間にか立ち向かう理由じゃなく、立ち向かわなくてもいい理由を探し出す」


シン「そんな時にどれだけ食いしばって、耐えて、前に進もうと思えるかどうかじゃねーか?」


バウス「お前…」


シン「なんだよ!バウス!」


バウス「真面目な話もできるんだな…俺はシンはバカだと思ってた」


シン「うるせい!笑」


焚き火を囲んで笑い合う仲間達。


その姿がブビィは羨ましく思えた。


ブビィ「仲間っていいな…」


シン「じゃぁ一緒に来るか?」


ブビィ「…え?」


シン「悪神教に恨みあるんだろ?なら目的も似てるし」


コウ「いいんじゃないか?お前逃げ足速いし、いざとなったら自力で逃げれそうだしな」


アラン「行くとこないんやったら一緒に来たらええ!」


ブビィ「ほんとかよ…」


バウス「俺は反対だ。」


ヴィーラ「バウスくん…」


バウス「こいつには魔力も感じない。なんの才能も感じない。魔大陸へ行くのが目的なら尚更足手まといだ。」


ヴィーラ「そ、そんな言い方しなくても…汗」


焦った様子で場を和ませようとするヴィーラ


アラン「まぁバウスの言う事も一理あるっちゃあるわな。」


ブビィ「……」

(やっぱり俺なんか…)


アラン「ただこの旅で同行する以上今は仲間や!俺はお前に才能がないとは思わん!」


アラン「だからこの森で成長してみろや!」


コウ「そうだな。」


ブビィ「みんな…」


ブビィはいつの間にかシン達に憧れを抱いていた。


アランとコウが交代しながら見張りをし、各々眠りに着く。


夜の森はいつもどこか不安だったのに、ブビィはぐっすり眠れた。

今日は皆が傍にいるから。


___________


次の日の朝


ウォォォォォーーーーン


激しい獣の鳴き声で起こされる。


ブビィ「な、なんだ?!」


コウ「みんな起きろ!」


アラン「昨日ブビィが言うとった狼の魔物やな…」


目の前に現れた狼の魔物。


その姿ーー


まるで漆黒の山だった。


肩までの高さだけで五メートルはある。


全身を覆う黒銀の毛並み。


額には王冠のように捻じれた巨大な角。


赤く輝く瞳は獲物を見下ろす王そのものだった。


口を開けば鋭い牙が幾重にも並び、


吐き出す息だけで周囲の草木が揺れる。


そして何より異様だったのはーー


その背後。


数十体にも及ぶ狼達が整列していた。


まるで王に従う兵士のように。


シン「でっけぇ…!」


ヴィーラ「でもなんだか、すごく苦しそう…」


ブビィ「フェンリオスだ…」


フェンリオス「ウォォォォォォォン!!!」


大気を震わせる咆哮。


その瞬間。


周囲の狼達が一斉に飛び出した。


アラン「来るでぇ!!」


ドゴォォ!!


炎が炸裂する。


数体の狼が吹き飛ぶ。


だがーー


次々と襲い掛かってくる。


バウス「邪魔だ。」


バキィィィン!!


氷柱が地面から突き出し、

狼達を足止めした。


シン「ヴィーラ!」


ヴィーラ「はい!」


ヴィーラの光が仲間達を包む。


身体能力が上昇する。


シン「よっしゃぁ!!」


雷を纏いながら突撃。


一直線にフェンリオスへ向かう。


だが。


フェンリオスの赤い瞳が光った。


ドンッ!!


巨大な前脚。


シン「なっ!?」


まるで城壁。


シンは咄嗟に防御する。


だが吹き飛ばされた。


シン「ぐぁっ!!」


木々を数本なぎ倒す。


コウ「シン!」


フェンリオスは咆哮する。


だが。


その目から一筋の涙が零れていた。


ヴィーラ「……!」


ヴィーラ「やっぱりです!」


ヴィーラ「この子も苦しんでる!」


フェンリオスの身体を見る。


胸元。


黒紫色の結晶。


魔物石が肉体に食い込んでいた。


コウ「なるほどな。」


コウ「こいつを狂わせてた原因はあれか。」


アラン「壊せばええんやな!」


フェンリオスが跳躍。


巨大な影が空を覆う。


ブビィ「うわぁぁぁぁ!!」


シン「ブビィ!!」


ドゴォォォン!!!


フェンリオスの爪が地面を砕く。


寸前でシンが救出。


ブビィ「た、助かった…」


シン「下がってろ!」


コウ「シン!」


シン「おう!」


コウ「正面は任せろ!」


シン「了解!」


黒い嵐が吹き荒れる。


コウ「黒嵐(コクラン)!!」


ズバァァァァン!!


フェンリオスの視界を奪う。


その隙。


シンが雷を纏う。


バチバチバチバチ!!


シン「うぉぉぉぉぉ!!!」


加速。


フェンリオスの懐へ潜り込む。


狙うのは胸。


魔物石。


フェンリオス「ガァァァァァ!!!」


巨大な牙。


シンへ迫る。


だが。


ヴィーラ「神速典(シンソテン)!!」


シン「見えてるッ!!」


紙一重で回避。


シン「頼むぜ俺の拳!」


拳に雷が集まる。


ドクン。


ドクン。


心臓が脈打つ。


シン「雷光波(ライコウハ)ッ!!!」


ドォォォォォォン!!!!


雷撃が魔物石へ直撃。


結晶に亀裂が走る。


パキッ。


パキパキパキッーー


フェンリオス「……ッ!!」


苦しそうな咆哮。


そして。


砕け散る魔物石。


赤かった瞳が元の金色へ戻る。


暴れていた身体が静かになる。


フェンリオスはゆっくりとシン達を見た。


そこに敵意はなかった。


ヴィーラ「治った……」


ブビィ「ま、マジかよ……」


フェンリオスは空へ向かって吠える。


ウォォォォォォォォンーー


その声はさっきまでの怒りではなく、


森の王の遠吠えだった。


すると周囲の狼達も一斉に吠える。


まるで王の帰還を祝福するように。


シン「へへっ。」


シン「よかったな。」


フェンリオスは静かに頭を下げる。


獣王からの感謝だった。


ブビィ「やっぱりお前ら強ぇな!」


シン「めちゃくちゃ修行したからな!」


ブビィ「お前みたいなやつが勇者とかそんな風に言われるんだろうな…」


聞こえるか分からない程の声でつぶやくブビィ

被り物の中でしか見えないその表情はどこか悲しげで辛そうだった。


シン「どうした?」


ブビィ「なんでもねぇよ。」


シン「嘘つけ」


豚の被り物の中で唇を噛み締めるブビィ


ブビィ「俺はさ」


ブビィ「お前みたいに強くねぇ…」


ブビィ「母ちゃん守れなかった」


シン「俺にだって守れなかった奴はいる」


シンのその言葉は太陽としての言葉だった。

守れなかった大切な人。

ミクを思い出していた。


フェンリオスが突然唸る。


全身の毛を逆立てる。


アラン「なんや?どないしたんや?」


ヴィーラ「奥の方を見てるみたい…」


バウス「シンだけにいい格好はさせねぇ。次は俺がやる」


シン達はフェンリオスの唸る方向に進む。


ブビィ「あいつは…!?」


森の奥。


巨大な花が開く。


ズルリ


ズルリ


その根元には。


数百体の白骨。


ブビィ「白骨の花園…」


ブビィ「フロル=モルテだ…!」


巨大な花弁がゆっくりと開く。


甘い香りが森に広がった。


ヴィーラ「この匂い……眠く……」


コウ「吸うな!!」


その瞬間。


森のさらに奥。


高い木の枝の上から、

二つの影がシン達を見下ろしていた。


??「へぇ。フェンリオスを元に戻しちゃったんだ」


??「面白いな。ギュスターヴ様を倒した連中というのも、あながち噂だけではなさそうだ」


??「でも、あの花はどうかな?」


??「フロル=モルテは、人の弱さに根を張る魔物だ」


??「あの豚の子、いい餌になりそうじゃない?」


仮面の奥で、女が妖しく笑った。


??「悪神教、六花弁が一人」


ネモネル「“愛花”のネモネル」


そして隣の男が、静かに呟く。


ヒヤニス「同じく六花弁が一人、“追花”のヒヤニス」


男は掌の上で黒紫の魔物石を転がした。


ヒヤニス「さぁ、見せてもらおうか」


ヒヤニス「英雄ごっこの続きを」


巨大な花が、ゆっくりとシン達へ向かって首をもたげる。


ブビィは気付かなかった。


フロル=モルテの花弁が、


まるで自分だけを見つめていることに。


森が、叫んだ。

11話読んでいただきありがとうございました。


12話ではフロル・モルテの脅威

そして新たな敵六花弁?!

次回もお楽しみください。


岡本煌(オカモトコウ)

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