そんなつもりじゃなかった、とお前らは言う。①
今週末本編完結に向けて、本日三話更新。朝と昼に更新してまあす!
「どういうつもりなんだ、お前らは!」
校長室で生徒指導の怒声が響き渡る。
怒られているのは俺達。意味不明である。
そして、怒られている俺達、怒っている生徒指導の向こうで泣いている雨野。その雨野がすがりついているのが例の何かの議員である親父だろうか。いかついおっさんが俺を睨みつけている。
「先生、なんで俺達が怒られているんですか。悪いのは雨野さんだと思いますけど」
「今はその話をしているんじゃない。おれはお前らのやり方に怒っているんだ。なぜこんな陰湿なやり方で雨野を追い詰めたんだ。もっと方法があったはずだろう?」
やり方が問題?
俺達のやり方は、雨野の悪行を世の中に見せつけただけ。
本当に大量の証拠を。それが問題らしい。だが、それしか方法が思いつかなかったんだもん。
学校はあてにならない。教育委員会もあてにならない。警察もあてにならない。地元メディアも。多分、裁判所とかも。
なら、もう自分たちでやるしかないじゃん。
そうなるのが何故分からないのかが俺には分からない。逆に。
大人が信用できなくなれば、子どもは子どもに出来る方法で。
大人のルールに従わずに戦うようになってしまう。
なんでそれが分からない?
ニュースでもよく見る。証拠不十分、不起訴、気づけば曖昧に。
じゃあ、もう大人の力はいらない。
そうなるに決まってんじゃん!
だけど、何故か分からない大人たちは俺達をしかっている。
「方法ってどんな方法ですか?」
「もっと俺達を頼ってくれ!」
は?
雨野が別クラスにうつしただけで問題対応しましたーってなって、また雨野が朝霞をいじめてた証拠が出たのに頼れ? 意味不明すぎるよね?
「頼った結果、朝霞がまたいじめられましたけど?」
「それはまた対応するに決まってるじゃないか」
は?
いじめをゲームのミスかなんかと思ってんのか? いじめられた時、朝霞にどんな傷が残るか分かってないのか? 先生はいじめとか経験したことないのか。そうだよな、いじめを知っている奴で学校に関わりたいなんて思う奴なんていないよな。……は、流石にいきすぎか。腹が立ちすぎて、ヤバい方向に考えてしまっていた。とにかく落ち着かせようと深呼吸。
俺達は、潰しに来たんだ。潰すためには冷静さも必要だ。
「まあまあ、先生。まだ彼は若いんだしさあ、落ち着け。」
出た。雨野議員。偉そうに椅子にふんぞり返って俺達を見ている。何も怖くない、そんな感じ。俺はもう内心バクバクだ、震えまくっている。それを察してか泣いていたはずの雨野がじっとこっちを見て小さくほくそえんでいる。やっぱ泣き真似かよ。だけど、俺は引くわけにはいかない。
「まあ、ウチの娘も悪かった。というか、やっていいこととわるいことの判別がつかなかったんだ。そして、それは君たちも同じ。あのやり方はよくない。それは分かるね?」
「わかりません」
雨野議員のにやにやが止まる。真っすぐから抵抗されて腹が立ったか。だが、すぐに体勢を変えて、両手を組んで俺達の方に身体を乗り出しもう一度わらう。今度は圧がこもってる。
「そうか。分からないか。なら、勉強すべきだな、ちゃんと。ルールを守れない人間がどうなるか」
マジブーメラン。お前らがルール守れない人間だよね。だから、あんたらがどうなるか俺達は見せつけなきゃいけない。もう覚悟は決めたはずだ。俺は朝霞と目を合わせもう一度雨野の親父を見る。じっと。
「な、なんだ君たちは!」
外で教頭の声がする。
到着だ。
「ど、どうされました、教頭先生!」
生徒指導が慌ててドアを開くと、そこにはクラスメイト達……だけじゃない、それ以上の生徒たちが集まってきていた。本当にたくさんの子どもが。
さあ、大人の本気と子どもの本気どっちが勝つか見ものですなあああああああ!
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