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全力松葉杖疾走DK

 その後も色々あった。ウチの両親はもちろん来てくれたが、その時に教えてくれた。朝霞とその両親が会いたがっていると。

 だが、俺は断った。そこまで責任を感じなくてもいいと思ってたから。

 なんか話を聞いたら、朝霞はいじめられてたらしい。同じクラスの雨野に。それで追い詰められて……って話なんだけど、正直俺にはそんな風に見えてなかったしなんのフォローも出来なかった。だから、全然いいから来なくていいですって親伝いに言ってもらった。


 そして、のんびりさみしい入院生活を終えて、今に至る。


「あ、あの……こ、小谷君? 何かしてほしいことは……?」


 気づけば朝霞の顔が目の前。こわ! 美少女な分なんかこわい! 目が完全によどんでいる。朝霞に何か頼むなんて俺にはできない! だって、


「なあ、朝霞、さん」

「!!! ……はい、なんでしょうか?」


 からだをびくりを震わせる朝霞。完全に俺にビビッてる。これはあれだ。罪の意識で、俺に何か償わなきゃとでも思っているのだろう。俺には微笑むが頑張っている感がヤバい。はかない微笑み過ぎてヤバい。

 なんとかしないとクラスの空気がヤバい。このクラスは朝霞という太陽で照らされて光合成しまくっていた。だが、今、この光を失った太陽によりしおれかけている。ていうか、何があった!? 俺のいない間に。俺の言葉に反応する朝霞に反応するクラスメイト達も何かにおびえている!?


 となると、なんとかできるのが、俺なんだろうなあ。


「あの、ちょっと……ついてきてもらっていい?」

「は、はい……! いきます、どこへでも」


 なんだかなあ。俺が悪者みたいじゃない? そんなことを思いながら俺は昼休みに朝霞を連れ出す。辿り着いたのは、誰もいないであろう校庭の隅。そこで、じいっと俺の言葉を待つ朝霞に告げる。


「朝霞……さん、あの、本当にもういいから。全然気にしなくていいから」

「え……?」


 なんか衝撃を受けている朝霞の顔を見て衝撃を受ける俺。なんか俺いけないこと言ったあ!?


「な、なんでですか? わたし……こ、小谷君の為ならなんでもします! だから……!」


 やめてやめてやめて! 本当に俺が脅しているみたいじゃない?! なんでこんな風になってんのよ!? だが、朝霞は身体を震わせながらも引くつもりはないらしく俺は最終手段をとることにした。


「……じゃあ、朝霞。お前、俺がえっちなことさせろって言ったらさせるんだな」


 はい、クズ―! マジクズの発言の極み! なんかもう本当に俺がクズみたいになっちゃうんだけど、なにこれ? だが、ここで少しでも言い淀めば、それを一気について論破するのみ! さあ、朝霞、言い淀め! いや、断れ!


「もちろんです。じゃあ、今からしますか? 脱いだ方がいいですか?」


 言い淀んでよぉおおおおおおおお! なんかちょっとえっちなことしたいかしたくないかで言えばそりゃあ健全な男子だからしたいけどさあ、こういうのは違うじゃん! キモすぎるだろ! それを受け入れないでしょマジで! 制服に手をかけようとする朝霞を慌てて止める、俺。というか、マジで一回怒る。


「朝霞、ごめん。今のは俺が悪い。だけどな、お前もお前だよ。そんな簡単に自分の身体差し出すな、マジで」

「は、はい……でも、わたしを助けてくれた小谷君だから……いえ、ごめんなさい」


 なんなのおお!? これ! どんな発言してもいい感じにならないんですけどお!

 しょんぼりする朝霞を見て、俺はなんとかせねばとポケットを漁る。


「じゃ、じゃあ、朝霞さんさあ、購買で一個だけでいいからパンを買ってきてくれない? 俺が好きそうなのを。頼める? あ、朝霞さんの好きなパンも買ってもらっていいから」

「は、はい! 行ってきます!」


 少しだけ表情が明るくなる朝霞。だけど、口角は歪んで上がってるし、目は濁っていて怖すぎる。パシリみたいなことをして本当に申し訳ないが、今はこの選択肢しかない。


「ごめんねー、ゆっくりでいいから。あと、絶対廊下は走らないでねー。ゆっくりねー…………しゃおらああああああああああああああああああ!」


 朝霞が見えなくなったところで俺は松葉杖をガコガコ言わせながら全力疾走。マジ腕いてえ! 必死にクラスへ戻る。そして、俺の悪友を見つけ出す。


「おい! 中原! マジこの状況どうなってんだよ!」

「こ、こだに……? あ、朝霞さんは?」


 ずれ落ちそうな眼鏡を直しながらほっそい体のせいで椅子と机の間に本人はズレ落ちちゃった中原はちょっとおびえた目で周りを見渡す。


「今、購買に行ってる。5分くらいなら大丈夫なはず! マジで俺がいない間に何があったんか巻きで教えろ!」


 中原は2回キョロキョロと周りを見渡し、声を潜める。


「朝霞さんが、おかしくなっちゃったのはバカなお前でも気づいてるよな」

「バカは余計だろ。気づくわ。ていうか、クラスの空気が淀みすぎ」


 中原はもう一度周りを確認してから、さらに声を落とした。中原慎重すぎと笑えない空気があって俺は唾をのむ。


「お前が入院してすぐなんだけど、朝霞さんがな、3日休んだ」

「ほう」


 まあ、飛び降りしようとしたくらいだし、3日くらい休むことはあるだろう、と思いたい。


「それでそのあと、なんか色々やったらしいんだよ」

「色々ってなんだよ?」

「わからん。だが、マジでおっと誰かきたようだ案件みたいでみんな触れられないんだよ。具体的に言えば、雨野がおびえだした」

「雨野って、あの雨野?」

「そう。で、なんか大川も怯えだした」

「大川って、あの大川?」


 同じ返しをしてしまう俺。いや、でも、マジで朝霞さんが何かやったんだろうけど。何やったんだ。ていうか、二人は何やったんだ? 俺が疑問をぶつけると中原は俺の耳元でささやく。いやなASMR!


「朝霞さんが飛び降りようとしたの雨野が絡んでて、なんか大川もかかわっていたらしい」

「……マジか」


 中原情報によると、雨野のグループがモテ女子朝霞さんを妬んでチクチクやってたらしい。大川については何がどうなってか分からんが絡んでるっぽいくらいの情報。


「で、朝霞さんがさ、お前一週間入院したころに言ったんだよ。『小谷君の平穏を邪魔するものは許さないから』って」

「ほ、ほう」


 もしかして、会いに来なくていいをそう解釈しちゃった? それでみんな来なかったし、連絡しなかったのか。まあ、あの状態の朝霞さんに睨まれたらバレた時が怖いよなあ。


「で、その時にクラスで浮き始めてた雨野がいきなり『あんたのせいじゃないの?』とか言っちゃったらさ、朝霞さんスゲー目で睨んで『一番はわたしのせい。だから、わたしはわたしを許さないし、小谷君を守る義務がある』とか言い出して。もうそっからお前の話題を自分から出すのがマジ怖くなって」

「あちゃー」

「で、そのあとお前のこと滅茶苦茶調べ始めて」

「怖すぎんだろ!」


 恐らくだが、俺に償うために準備をしていたのだろう。だって……


「こ、小谷君! 小谷君の好きそうなパン5個買ってきたから……! す、好きなの食べて……!」


 目がいっちゃってるー朝霞が腕いっぱいにパンを抱えて帰ってきた。走ってはないが、競歩で帰ってきたのだろう。めっちゃ息切れしてる。

お読みくださりありがとうございます。

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