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そんなつもりじゃなかった、けど大声を出してしまった。②

一位になれました!評価ありがとうございます!うれしくて更新しました!

 日野寅司。


 隣のクラスのモテ男であり、クソイケメンスポーツマンであり、俺の幼馴染の一人。同じ床屋なのになんでかコイツの短髪の方がかっこいいのはなんでだ。なんでだ、店長? そんな短い髪をくしゃくしゃと撫でながらさわやかスマイルを見せるトラ。


「バカトラよ、何しに来た?」

「何しにって、だからぁ、八雲迎えに来たんだってぇ。松葉杖しんどいだろうしぃ」


 俺より高い朝霞より高い赤城より高い180以上ある長身をかがめて俺ににやっと笑いかけるトラはくやしいがかっこいい。きゅん。

 そんなトラと俺の間に入ってきたのは朝霞。え? なんで?


 じっとトラを見上げる朝霞。どした? なんで?


「日野君、ごくろうさま。でも、小谷君は私が連れてくから大丈夫」


 そう言う朝霞。どした? なんで?

 そんな朝霞を見て笑うトラ。


「おぉ、ありがとうな。朝霞、でも、男子の方がいいだろうし。オレも八雲と話したいし」


 闇圧放つ朝霞を華麗にスルー。これが日野寅司という男。さわやかスマイルで済ませてしまう。相手の悪意も闇もぴかーっと照らして一掃してしまう学校の太陽男子版。だが、俺は忘れない。コイツへの恨みがあることを。


「見舞いにも来なかった幼馴染のくせに」

「幼馴染だからだろ? オレと八雲は言葉を交わさなくても心でつながってるって信じてたから」


 コレである。俺の幼馴染どもは都合いい事ばっかり言いやがる。コイツといい、あの男らしい女と爽やかさで誤魔化してんじゃねえぞ。ノットさわやかの気持ちを考えろ。


 俺がトラにツッコもうとすると、それより早く突っ込んでくるのが元・太陽で見た目爽やか中身曇り女子の朝霞さん。


「か、勝手に繋がってるとか、こ、小谷君に迷惑でしょ」


 いや、別に迷惑ではない。ていうか繋がってても別にメンタル的なアレなので邪魔じゃないし、そもそも繋がってるかどうかも定かではない。だが、何故かトラに絡む朝霞。元・太陽女子としては現・太陽男子が気になるのだろうか。まあ、それは別にいいんだけど。


「お前らな、出入り口の前でたまってんじゃないよ。みんな困ってんだろ」

「ああ、そうそう。困ってるといえば、さっきの声、隣の教室にも聞こえてきたけど、八雲困ってんじゃないのかぁ? 赤城とかとモメてんじゃないのぉ?」


 そう言いながら赤城達を見るトラ。ピリと空気がひりつく。笑っているトラだがやはり背が高い奴が見下ろしていると迫力がある。赤城達が固まっている。


「……ちょっとお仕置きが必要かなぁ?」


 声は穏やかだがペロと舌なめずりをするトラ。虎に寄せる必要はないだろ。だが、そんなトラの発言で気をよくしたのは先ほどまでバチバチしてた朝霞である。


「ちょっとじゃなくていいから、日野君。たっぷり、お願い。ね、や、小谷君」


 闇と笑みが深い。


「オッケェ~」


 光と圧が強い。


 そして、体育の時間。

 今日はサッカーで、サッカー部赤城達にとっては隣のグラウンドの女子への絶好のアピールタイムだっただろう。……トラがいなければ。


「いよっしゃあぁあああ!」


 体育でハットトリックぶちかまし大活躍しているのはトラだった。


 お前野球部だよな? ウチの男子太陽であり、ウチの大谷翔〇と呼ばれているトラが爆発している。女子がキャーキャー言ってる。体育しろ。


 トラの野郎……全然息切れせずにずっと走り回ってやがる。一方、赤城達は膝に手をついてゼエゼエしてる。あー、よかった。俺、見学で。


 それにしても、野球部のエースとはいえ、自分のフィールドでやられているのは屈辱以外なんでもないだろう。その証拠に教室ではあれだけビビってたのにかなりキレてる目をしている。


「……く、そ! どいつもこいつも小谷小谷……!」


 赤城が目をギラつかせながら、青野達に耳打ちをしている。どうやらよろしくない企みをしているようだ。3人がかりで反則攻撃ってところだろう。


 トラの周りをつかず離れず絶妙な距離で囲んで、試合の展開そっちのけ状態の赤城達。


 しかし暫くして、奴らの待ちに待ったトラのトラップ。駄洒落じゃねーぞ。とにかくボールを受けたトラ目掛けて、体当たりとかスライディングタックルとかやりにいく赤城。女子がキャーと叫ぶ。体育しろ。心配なんて必要ない。


「……あん? なんかしたぁ?」


 爽やかだけど、実は超絶武闘派だから。目をギラつかせ笑うトラ。体当たりしてきた青野と木山を逆に吹っ飛ばし、スライディングしてきた赤城の足に向かってトラのぶっとい足を突き出しやがった。


「い、いだあああああ!」


 地面を転がる赤城。挫いたのかなんなのか相当痛そうだ。だが、そんなことしてる場合じゃねーぞ。俺の幼馴染なら……。


「おおっとぉ」


 赤城の顔付近に足をおろすトラ。目を見開き固まる赤城のスレスレ横を踏みつける。


 緊張させた身体を一気に弛緩させる赤城。漏らしてないよな?


 そんな赤城を一瞥すると俺を見て笑顔で手を振ってくるトラ。クソ爽やか野郎め。

 だけど、ちょっとスッキリしたわ。ありがとな。


 でもな。お前分かってやってるよな。向こうのグラウンドのキャーキャー女子の間から朝霞がすごい目でお前を睨んでるよ。あ、目で煽るな煽るな。なんなんだ、俺の幼馴染って。

お読みくださりありがとうございます。

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