そんなつもりじゃなかったのに、曇らせ女子とお出かけした①
思った以上に本作評価頂けたので、予定よりももうちょっと書きます。そんなチョロいい人間です。私は。
「あー……どこか遠くに行きたい」
俺が教室の窓の外を見ながらそうつぶやくと、後ろからバサリと何かが床に落ちる音。
振り向くと朝霞が絶望顔で立ってた。そして、微振動しながら口元に手を当てる。
「こ、こ、小谷君……ご、ごめんなさい……そ、そんなに……わたしのせいで追い詰めてたなんて」
はい、めんどーい! 流石に口には出さないが、俺は心でガンガン言うぜ! 朝霞がこじらせすぎてめんどい! 俺の事を考えてではあるんだろうけど、そこまで思い込んで思いつめるのはいかがなものか。
「あ、あのね、朝霞さんや。違うんだよ。ほ、ほら、俺さ…………その、好きなんだよ!」
「……え?」
「お出かけ!!」
あぶねー! 3か月どこにも行けなかったとか、松葉杖だからあんま遠出できないとか言いそうだった! そんなことを言えば、朝霞が何をしだすかわからん!
お出かけが好きってだけなら、大丈夫だろう。
俺の回答が予想外だったのか、きょとんとした顔の朝霞。はい、かわいい。かわいすぎるね。もう気ぃ遣った暗い顔せずにずっときょとんしていてくれ。流石学校一の美少女である。曇ってもかわいい。
だが、数秒後、再び震えだす朝霞。なんで?
「その、お出かけ好きって知らなくて……ご、ごめんなさい」
なんでそうなるかなああああ!? 外の俺は固まった笑顔、内なる俺は絶叫である。
朝霞は、とにかく俺が元気になれるよう俺の好きなものを調査し準備しようとしてくれた。
そりゃもうすごかった。
『こ、小谷君……小谷君の好きなジュースってこれ、ですよね? よかったらどうぞ』
『あ、ありがと……』
『こ、小谷君……小谷君の好きなVtuberさん見ました。あの、すごくいいですよね』
『あ、ありがと……』
『こ、小谷君……小谷君の好きなちょっとえっちなラブコメ漫画、新刊出たんです。よかったら……』
『あ、あ、ありが……』
『こ、小谷君……小谷君の好きなえっちなシチュエーションって……』
『やめてぇええええええええええ!』
朝霞、俺のベッドの下覗いたってレベルで知り尽くされた上に、曇りまくっていっちゃってる~状態の朝霞なので俺の為フィルターがかかるともう何も気にならないらしくヤバすぎた。ていうか、誰だ俺の性癖開示したバカは。中原か。
とにもかくにも俺の好きなもので俺のご機嫌をとろうとしてくる朝霞。まあ、正直今は痛々しいというよりヤバすぎるが勝って、とにかく朝霞に振り回されている現状なう。なんでだ?
なので、朝霞に好きなものを教えるのは気を付けていたんだけど、今のはやらかしたかもしれない。だって、朝霞が一人闇深くほくそ笑んでいる。こういう時は大体大変。
「こ、小谷君。お出かけしましょう。わたし、どこでもお供しますから」
はい、大変なことになりました。朝霞とお出かけ?
普通なら学校一の美少女とお出かけわっほいだが、今の病み美少女朝霞とどこに行けと。
例えば、何も考えないで言えば、もうほんと朝霞に早いとこ元気になってほしいし正直俺も普通に行きたい夢の国とかになる。なんとかッキーの耳のカチューシャをつけてはしゃぐ朝霞などが見られたら眼福太郎だろう。
だが、現実は恐らく、俺に大量のグッズを買って身につけさせ、俺に思い出を作らせようと写真を撮りながら周りに対し番犬レベルの警戒をする朝霞の姿しか思い浮かばない……!
で、絶対全部が朝霞の奢りになりかねない。それはダメだ。朝霞のお年玉貯金は俺が守る! 知らんけど。
「あ、そうだ……小谷君ってゆめのく……」
「公園」
「え?」
きょとん朝霞美少女かわいいが戸惑う瞬間を見逃さずに俺は追撃の姿勢に出る。攻め立てること火の如しぃいいいい!
「いや、実はさ俺さ、公園さ好きなんだよね。ちょっとさ公園マニアっていうかさ。で、意外とさマニアってさ近場の公園とかさ行ったことないからさ。この辺のさ公園とかさ行ってみたいさーと考えてたんだよね、うん」
俺のアイキュー2000くらいの頭脳がフル回転し、御託を並べ立てる。だが、マジで公園とかでいい。だって、俺本当にちょっとお出かけ出来ればよかっただけだから。まあ、それなりにいい言い訳になったのではないだろうか。
朝霞を見ると、相変わらずきょとん、かわいい。そして、口元に手を当てて……。
「ご、ごめんなさい……わたし、小谷君が公園マニアなんて重要な情報知らなくて……」
はい、めんどぃいいいいい! つべこべ言わずわしは公園行くんじゃおらあああああ!
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