小噺 聖なる騎士団②
「ふ~ん、人間を害さない、ただ静かに在りたいだけ……ねぇ」
聖なる騎士団とやらに勧誘されたおいら――私たち。
そこで出会った面々は――イケメン、おっさん、鎧、女2人と普通っぽい男1人。
訳わからん集団だなっ!
「そうだ。『聖執事』と『聖騎士』はかつて大事な主人を無くしてね」
「左様。そして我が主は死の間際に仰った。『恨むな、憎むな。清く正しく、人に尽くせ』と。いやぁー、これに難儀しておりましてなっ!」
豪快に笑うおっさん――『聖執事』。
っていうかこいつどす黒い感じがする……完全に私と同じ悪霊っしょ!?
「……『聖騎士』は?」
「……我ハ守ル、ノミ」
「『聖騎士』は鎧に憑依したタイプでね、その中身はいろいろなものから守ってくれるよ」
守ってくれる……?
「もしかして、めぐちゃんも守ってくれるのか?」
「オ望ミトアラバ」
聞き取りにくいけど!
確かに聞こえたぞ! 言質は取ったからな!
「……」
「ひぃっ!?」
「ちょっ! お前めぐちゃんに何すんだよっ!」
いかにも幽霊って見た目の女がめぐちゃんを――撫で始めた……?
「……そいつはな、生前子どもを守れなくて自殺した女だ。悔やんで悔やんで……子どもを守りたいと、そのためだけに存在している。ほとんど自我すらないが……時折本質を突くことを呟くんだ。おもしろいだろ?」
「……」
……そっか。
「……くすぐったぃ……」
「……イイコ……イイ……コ……」
やめろよ、めぐちゃんが泣きそうな顔してるだろ……。
おいらも……泣きそうになってきたじゃんか!
「あたしとそこの男はただの幽霊よっ! 幼馴染同士だったんだけど……2人仲良く事故っちゃってね~」
「長年の想いを告白しようと誘ったデートでさ。笑っちまうだろ?」
2人して笑いやがって……笑えねぇよ……。
「人様に迷惑をかける気はない。けど……もう少し、こうしていたいんだよね……」
「……あぁ。時間が許す限り、な」
何だこいつら! 騎士団なんて言ってるくせにっ!
何だよ、何なんだよぉ~!
「さぁ、君たちも一緒に来ておくれ。我々には君たちが必要なんだ!」
「……そんなこと言ったって! おいらは何もできないぞっ! 戦いなんて……さっきも見ただろう!?」
足手まといを増やすんじゃねぇよ!
「そんなことないさ。いてくれるだけでいいんだ」
「はあっ!?」
「君や、めぐちゃんのような子を守れる。それだけで力が湧く。勇気が出る。必要なんだよ」
「それなら……めぐちゃんだけでいいよっ!」
私は別に! 今のままでも困っちゃいない!
「おや『聖母』、どうしたんだ?」
「な、なんだ?」
いかにも幽霊な女がイケメン男……『聖夜』に耳打ちをする。
そして私の顔を見て――。
「――ああ、それはいい。『聖天使』。純粋で気高く、なにより愛らしい。ピッタリじゃあないか」
「ようこそ友よ、歓迎しますぞ!」
「よろしくね!」
「よろしくな」
「……守ル」
あぁ……くそっ……。
▼▼▼
「……2人の……消滅を……確認、しました」
「……そうか」
幼馴染だった2人、その最期は――俺たちを逃がすための囮だった。
「『GAES』の奴らめ……私の力が万全であればこんなことにはっ!」
「……」
悔しさから『聖夜』が周囲の物に八つ当たりをする。
かつて愛する人間を誤って殺してしまった彼は……それ以降人を襲うのをやめたらしい。
私たちはそんな彼に守って貰っているだけ。もう何年も。
「……何かしらの手立てが必要ですな。自衛ができ、害にならない、できれば霊力の補給も――」
「……」
そんな都合のいい話がある訳――。
「『聖母』ガ子ドモヲ見ツケタ」
「ん?」
そんな時、先行していた『聖騎士』が戻ってきた。
「非常ニ強イ……ケド、守リガ必要」
「非常に、強い……?」
その時、なぜかわからないけど……希望が見えた気がした。
「行ってみよう!」
……。
……。
……。
「これは……神の住処? いや、もう何もいないようだが……」
「隠匿された神社……よくもまぁこんなところを見つけましたね」
放置されてしばらくたったであろう神社。
その地下で、私たちは見つけた。
「『聖母』! こんなところに……」
「……オォ……オォ……!」
『聖母』に抱かれた、子どもの魂を。
めぐちゃんや私よりも小さく、だけど誰よりも大きな存在を。
「――何て強い霊力! 神か悪魔か!?」
「よく抱けますね、『聖母』……」
大きすぎて近寄ることさえ躊躇してしまうほどの霊力!
「オォ……オォ……」
「何?」
『聖母』に近づき、耳を傾ける『聖夜』。
「……『王』、この子が……我々の……?」
「……」
『聖母』はこくりと頷き……その後は子どもをあやし始めた。
表情は見えないけど、こちらにまで優しい気持ちが伝わって来る。
「『王』ですか。確かにその力はまさに霊の王と言っても過言ではありませんが……」
「……」
何かを考えろような顔をしている『聖夜』。
そして――。
「彼に、『王』に託してみよう。我々の未来を」
「そんなっ! 彼がどんな存在かもわからないのですぞ!」
「そうだな、もし悪神の類だったら……あきらめようか!」
「お、おいおい……」
思わず呆れてしまったじゃないの!
「見てくれ、『聖母』の様子を。希望を託すのに十分じゃないか」
「……そう、ですな」
優しく子の魂を抱く『聖母』。
だけど――。
「わかったよ!」
そうじゃない、そうじゃないんだよね……。
『聖夜』はもう……限界が近いんだ。
「この子が無事に目を覚ますように見守ろうじゃないか」
「かしこまりました。では早速――」
『聖執事』がテキパキと指示を出す。
そうだ、今度こそ私がっ!
「うん、守るよ! 私の命に代えてもっ!」
お読みくださりありがとうございます!
そして第3話へ……。




