小噺 聖なる騎士団①
今回と次回はえっちゃんこと、えんじぇるさまで呼び出された下級霊視点の、聖なる騎士団との出会いのお話です。
「ったく! 何でついてくんだよっ!」
「だってぇ~……」
やれやれ、めんどくさい。
こいつに『えんじぇるさま』で呼び出された後、こいつの生気を根こそぎ食ってやったまではよかったのに……。
「……また食っちまうぞっ!」
「うぅ……」
「ほれ、あっち行けっ!」
別に食ってやってもいいんだが……幽霊の時に食われたらヤバいって話を聞いたことがあるしな。
「……やさしく……たべてね……」
「……」
あかん。
「はぁ~……」
どうしてこうなっちまったんだろうか……。
確かにこいつの生前には同情した。
親には殴られ飯も食えねぇで、学校でも殴られたり悪口言われたり……。
いっそのこと食ってやった方が幸せだとも思った。
けど、なぁ……。
「……はやく成仏しろよ」
「……えっちゃんも、いっしょ?」
おいらは別に……今のままで困ってねぇからよぉ。
「……いっしょ」
「……」
……だぁーっ!!!
「ナラ、オジサンガタベチャウヨォォ……!」
「ひっ!?」
「――あん? やべっ!」
変なおっさんの幽霊だ!
今のおいらはしがない……『えんじぇるさん』による霊力上昇効果もないただのヒトダマみたいなもんだっつーの!
「逃げるぞっ!」
「ふぇぇぇっ!?」
もう捕まってやがる!
どんくさいったらありゃしねぇ!
「くらえっ!」
「イタッ……クナイ……」
思いっきり体当たりしてみたけど……おいらは所詮最下級の浮遊霊、人間の霊には敵わねぇ!
だけどびっくりしたおっさんがめぐちゃんを放したぜ!
「おいっ! 逃げろって!」
「でもぉ……」
「お前がいると全力出せねぇんだっつーの!」
「あっ……が、がんばって!」
……よし、行ったな。
「よぉおっさん、おいらで我慢しとけよ」
「……ヨウジョノホウガイインダナ……」
っち! こいつ、噂で聞くロリコンってやつか!
「……アァソウダ! オマエモアノコモタベチャエバイインダァ……」
「……」
それは……だめだ!
「ふざけんな! さっさと消えろ!」
「イタッ……クナイ……」
殺したおいらが言うのも何だけど……!
「あの子のことはほっといてくれ!」
「……ウルサィナァ……」
何度も何度でも!
おいらの切り札、『全力の体当たり』を喰らえっ!
「……モゥイイヤ」
「なっ!」
……捕まっちまった。
ここまでか。
まぁいい。めぐちゃんも行っただろうしな。
「おい、やさしくたべてくれよな!」
「……オェェ……ヤッパイラネ」
あっ! 投げるな――じゃなくって!
「オーイ、オジサントアソボー……」
「待て!」
やっぱりめぐちゃんの方に行きやがった!
どうする!?
どうすればいい!?
「待てっ! 待ってくれ! 食うならおいらだけにしてくれって!」
「……オーイ……」
「頼むっ! やめてくれっ!」
めぐちゃんはおいらの――!
「ア……ミツケタァァ……」
「きゃっ!」
おいらの初めての友達なんだよっ!
「ツカマエタァァ……! ヨウジョツカマエタァァアッ! アッハァ~!」
「たす、たすけ……」
どうする!? どうすればめぐちゃんを助けられる!?
やつの狙いをおいらに向けられる!?
「めぐちゃああああん! ――あれ?」
「……えっちゃん?」
右を見る。
人間の手の形が見える。
下を見る。
人間の足の形が見える。
もしかして、おいら――!
「……おいっ! おいらの――私の方がおいしいよっ!」
「ンア……? ヨウジョッ! ヨウジョダァァッ!」
何でかわからないけど!
めぐちゃんになれたんだ!
「こっちまでおいで!」
「アァァ……ウッヒョォォォぉぉぉ~!」
よしっ! よしっ!
めぐちゃんは守れる!
後は逃げるだけ――!
「2人! 幼女ガ! 2人モ!」
「――は?」
速いっ!
ってかおっさんも変化しやがった!
餌が増えて、そのせいで!?
「待テ待テ待テ待テェェっ!」
「しまっ――」
捕まるっ!
「『漆黒の夜』!」
「……ンギャァァァッ!? 幼女ォォォ……」
おっさんが……消えた!?
いや、闇に飲まれた!?
「一体何が……?」
次から次へと……何なんだ!?
「ふぅ……無事か?」
「……今のはあんたか? まさかと思うけど……助けてくれたのかい?」
「あぁ。君の高貴な振る舞いを見て思わずね」
……ハンサムイケメン野郎が笑いながら言ってくる。
何だか、イラつくぜぇ~~~ッ!!
「見てたんならよぉ、最初から助けやがれ!」
そしたらめぐちゃんも怖がらずに済んだだろうが!
「すまない。見えはしたが距離が遠くてね」
「……そっか」
目がいいんだね。
「私たちは『聖なる騎士団』。君のような霊体の集まりだ。誇り高き魂を持つ君よ……我々の仲間にならないか?」
「へっ?」
お読みくださりありがとうございます!
ハンサムイケメン野郎……私も何だか、イラつくぜぇ~~~~ッ!!




