小噺 キララと希望の夜
今回もキラちゃんのお話です。
「演技って……どういう事っ!?」
もしかしてこいつら……私たちのことをっ!?
「ああ、誤解されませんよう。決してあなたたちを傷つけるつもりはありません。そもそも私程度じゃ不可能ですし」
「……?」
「あなたのうちに宿る加護。あぁ、何と優しく、何と力強くあなたを包み込んでいることか……これこそが、愛っ!」
愛……。
うん、愛っ!
「……じゃなくて、話を戻して」
「ああ、失礼しました。さて、何から話せばいいのやら……そうですね、我々の目的、これに嘘偽りはありません」
確か、レイくんの庇護下に入りたいって言ってたっけ。
この執事さんたちは本当に戦いたくないってことなんだ……。
「それを見届けた後、ナイトメアは……『聖夜』は、死ぬつもりです」
「どうして?」
「……彼は『人を殺し過ぎた。私はここで終わるべき存在だ』と……そして最後の使命を果たすつもりなのです」
「……」
過去に何があったかわからないけど……。
「最後の使命、それは――果てしなく強くともまだまだ未熟な我らの王に戦いを教える、というものですよ」
「戦いを……教える?」
レイくんが、王?
だめだ、意味がわからないっ!
「王の力は強い、まさに神仏や神話級の悪魔にも匹敵するものです。しかし、今はその力を使いこなせていない」
「それは……そう、かも?」
わからないけどっ!
「戦う力とは強敵とのそれの中で培われるもの。今までは苦戦という苦戦はしなかったのでは?」
「そう言われてみると……」
大変な除霊もあったけど、それでも戦いって感じじゃなかったかも。
『玲銃ーっ!』ってすぐ倒しちゃってた感じ?
「そう感じたからこそ、『聖夜』は決めたのです。自分の培ってきた戦いを伝え、散ると」
「けど……」
そんなこと、辛過ぎない?
「けどっ! 今まであなたたちを守って来てくれたんでしょっ!? それでいいのっ!?」
「……」
「しかもっ! 本当は優しいその『聖夜』ってやつをレイくんが倒しちゃうんでしょ!?」
そんなの……そんなの絶対ダメっ!
「彼には……『聖夜』には、もう時間がないのですよ……」
「え……」
悲痛な顔持ちで言葉を続ける執事さん。
「彼は長い間、己の本質である『悪夢を見せ、生気を奪う』ことをしてこなかった。少なくとも、私と出会ってから400年近くは……人を殺めることなく生きて来た」
「……」
「……もう、存在の維持が、己の限界が来ているとわかっているのです。いくら伝説の吸血鬼だとしても。まぁ、本当は吸血鬼とインキュバスのハーフらしいですがね」
「そ、んなぁ……」
今までこの人たちを守って……人を傷つけないと誓って……。
正直『聖』なんて変だと思ってたけど……。
祈り、なんだ……。
「彼を……『聖夜』のまま、どうか――」
「……けどっ……」
それでも……。
「キラちゃん……」
「……めぐちゃんも、本当は嫌だよね?」
返事はない。
けど、今にも零れそうな涙が言っているっ!
「悪いけどっ! それでも私は止めに行くっ! レイくんがこのこと知ったら絶対悲しむからっ!」
それに、もしかしてレイくんなら……!
「……お気をつけて……」
「行こう、めぐちゃんっ!」
「……うんっ!」
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「……私にできることは、これで全て。我が主よ、見守っていてください。どうか……この悪夢の夜が終わりますように……」
お読みくださりありがとうございます!
そして駆け出したキラちゃんは――。




