第70話 少年と夜明け
「――そ、んな……!?」
「がぼっ……」
<豚バラ炒飯:きらリン!?>
<紳士的なお兄さん:うそだろ>
<闇より井出氏:嘘だと言ってくれ……>
2人を貫いた禍断天剣――。
そこに――。
「はぁぁっ!!!」
ありったけの! 霊力を込めるっ!!!
「――っ!? ぐあぁぁぁぁぁっ!!!」
「――っ!?」
<イマスグモドレーヌ:やめてレイきゅん! キラちゃんよ!>
<怖い話スキー:こんな……こんなことってねぇよ……>
やめない! ありったけを!
<うみんちゅうさぎ:レイくん! やめて>
<豚バラ炒飯:レイくん……>
『禍断天剣』!
「悪い心を……悪い力を断ち切れ!」
「がぁぁぁぁぁっ!?」
「……」
<闇より井出氏:ああ……>
<イマスグモドレーヌ:キラちゃん……>
「がぁぁっ!!!」
「はぁ……はぁ……」
「くっ……」
つばきちゃんが膝をつく。
僕も……疲れた。
ナイトメアは……。
「……」
良かった、動かない。
<紳士的なお兄さん:やったか!?>
<8月32日:これ、不吉なことを言うでない>
<闇より井出氏:いや、しかし……>
「……キラ、ちゃん――」
倒れてる女の子の方を見る。
「――に化けた幽霊、でしたー!」
<豚バラ炒飯:えっ!?>
<紳士的なお兄さん:本当に!?>
そう、こいつはえんじぇるさんのえっちゃん。
存在が全然違うって言ったでしょ!
でも姿はめぐちゃんだから罪悪感が!
<イマスグモドレーヌ:良かった……良かったよぉぉぉ~>
<闇より井出氏:ほんと、よかったよ……>
「仲間だったんだろうね。僕たちの大切な人に化けて……でも、全然似てないからバレバレだったけどね!」
<紳士的なお兄さん:けど、思いっきり幼女じゃん!>
<ラッセルラピュセル:ほ、本当に幽霊? ヤバい瞬間を見ちゃったんじゃ……ないよね?>
<豚バラ炒飯:幽霊だからね、やばいことには変わりないよ>
「ふぅ。さて、異常事態の元凶を倒せたことで夜も明けたようですね」
「……うん」
上を見ると、眩しい太陽が!
「正直私たちも疲れましたので……配信はここで終了したいと思います。さようなら」
<怖い話スキー:そこは『キラッ☆』でしょ!」>
<イマスグモドレーヌ:救世主レイきゅん! ありがとう!>
<豚バラ炒飯:後は他の人に任せて、ゆっくりしてね>
<紳士的なお兄さん:キラッ☆>
……。
……。
……配信、終わった?
「……」
「……起きなさい。2人とも」
倒れた2人、えっちゃんとナイトメアに声をかける。
「……何を、した?」
「お前の力を、悪い力を断ち切った」
『禍断天剣』。
できると思ったからやってみたら、本当にできた!
ありがとね、みこちゃん!
「何を言って……いや、空腹感が……消えた?」
「そりゃ、霊力をたんまりあげたからね! それに、自分の姿見てごらんよ」
鏡はないので、スマホのカメラでナイトメアの顔を映してあげる。
「これは――私か?」
「そだよ!」
髪の毛が白く、赤い目が金色に。顔はやっぱりちょっとだけかっこいい。
ちょっとだけね。
「――存在が……変わったとでも……?」
「多分ね! 悪い力を断ち切る……君はもともと悪い奴じゃないみたいだったからできたんだと思う」
だって、長い間みんなを守ってきたんでしょ?
だったらそのくらいの奇跡は起きるよ!
「何でこんなことを……」
「私の仲間が教えてくれた」
そう言ってつばきちゃんのスマホを出して見せる。
それはキラちゃんのおさがりじゃない、IPONXXⅤ!
画面には『LAY-NE』、キラちゃんからのメッセージ!
『ナイトメアは本当は『聖夜』でありたいと願ってる』だって。
「そんな……そんな短い文章1つで……?」
「十分よ」
キラちゃんだもんね!
「私は――」
「ナイトメア様、人々が起き出しました」
ナイトメアの力で眠らされていた人々が目を覚まし始めたよ!
よかった……はやくキラちゃんに会いたいな!
「さすがにこの状況を見られる訳にはいかないわ。例の工場跡地で会いましょう」
「……わかった」
ナイトメアの姿が薄くなる。
姿を消せるなんて……かっこいい!
「……では私も――」
「糞天使、お前は絶対に許さないから」
お読みくださりありがとうございます!
大事な人に化けたえっちゃんだけは許されませんでした。




