第67話 少年と夜中
「暗いね。まるで本当の夜だ」
黒い壁の中を進み始めた僕ら。その中はまるで夜みたいに真っ暗だった。
そして道のそこかしこで……人が倒れている。
「……どうやら、本当に寝ているだけのようね」
つばきちゃんが寝ている女の人を観察しながら、執事の言っていたことを確かめる。
<イマスグモドレーヌ:レイきゅん! つーちゃん! 良かった、無事だったんだ……本当に私心配で……>
「モドレーヌちゃん……心配してくれてありがとう!」
真っ先に配信に来てくれたのはモドレーヌちゃん。
いつもありがとうね。
<イマスグモドレーヌ:ところできらリンは?>
<豚バラ炒飯:まさかと思うけど……>
「きらリンは無事を確認できているけれど、その他の人はご覧の通りね」
本当はまだ連絡が取れていない。
無事だといいんだけど……。
<怖い話スキー:今SNSですごいことになってるよ>
<闇より井出氏:闇が顕現したとでもいうのか……いや、ふざけて言ってる訳ではないが……>
いつも見てくれてる人たちが集まってきている。
それだけじゃない、視聴者数がどんどん……!
「……見てくれてる方にもう1度説明するわね。私たちは突如現れた謎の黒い空間を調査しに来ました」
<社畜王:まじか>
<プリンディモールト:今すぐ中止して。原因がわかるまで勝手なことをしない方がいい、被害が拡大する>
<(^q^)プッ:そーだそーだ!>
あ、顔文字の人も来てる!
「原因には心当たりがあります。それはとある霊の仕業――」
<ソシャゲの闇:霊!? 何言ってんだwww>
<ラッセルラピュセル:清楚系美少女かと思ったのに……残念>
むむ。
本当のことなのに!
<怖い話スキー:霊の仕業だとしたらとんでもなく強力なやつだろうね>
<イマスグモドレーヌ:レイきゅん……>
<(^q^)プッ:つーちゃんは清楚系じゃないぞ?>
おい顔文字の人! いい加減に――!
<(^q^)プッ:レイくん大好き系だから……そういう目的の人はブラバしとけ>
許す!
「あら、顔文字の人よくわかってるじゃない。伊達に最初の方から見てくれてないわね」
<(^q^)プッ:うせっ通報すんぞ!>
<aaaa:照れててくさwww>
なんか、あれだね。
みんなが見守っててくれると思うと心強い!
「ふぅ……なんだか怖い気持ちがなくなってきたよ!」
「ふふ、そうね。さっさとこの夜を終わらせましょう」
<8月32日:無理だけはするんじゃないぞ……>
<紳士的なお兄さん:本当に気を付けて……>
……。
……。
……。
「……みんな寝てるね」
「そうね」
<ラッセルラピュセル:死んでるの?>
<うみんちゅうさぎ:寝てるだけっぽいよ>
「中には頭を打って怪我したり、車で事故を起こしてる人もいます」
「まだ生きてはいたけど……」
<闇より井出氏:この闇の中では人間は強制的に眠らされるということか?>
<ぬ。:人命救助優先しろよ>
「そのようね。申し訳ないけど、先に元凶を叩くわ」
<つーちゃん推し:かっこよw>
<社畜王:さっきテレビ局の人間が入ろうとしたけど、すぐに眠っちまったっぽい>
<プリンディモールト:どうしてこの人は平気なの? まさか元凶なんてことないよね?>
「それは僕のおかげだよ!」
「私は世界で1番素敵な方に守られてるから……詳しくは過去の動画を見てね」
<イマスグモドレーヌ:最初の学校の話を見たら概ねわかりますよ! かわいいレイきゅんが頑張ってる姿も見れますし!>
<プリンディモールト:意味が分からない……そもそもレイくんって誰よ>
<霊感少女型おいたん:あっ(察し)>
「……さて、それでは改めて注意事項。当配信は時折画面が激しく揺れます。お気を付けくださいね」
<社畜王:どうした突然>
<ソシャゲの闇:今も走ってて結構揺れてるけどな>
そう、走るのは終わり。
ここからは――。
<イマスグモドレーヌ:2人とも、どうか無事で……>
<闇より井出氏:祈ろう。俺たちにできる唯一にして最良のことだ>
「――いたよ」
「ここからは、除霊の時間です」
目の前には、この夜よりももっと暗い――!
「くっくっく……来たか」
――吸血鬼、ナイトメア!
お読みくださりありがとうございます!
吸血鬼を退治することは除霊というのでしょうか……?




