第61話 少年と天使
「さすがにかわいいだけじゃだめだよ」
ひごかにおいて欲しいとか言ってたけど……。
そもそもひごかってどういう意味?
「それにお前の本当の姿、女の子じゃないだろ? 化けてるだけでしょ!」
2人を見てはっきり分かった。
こいつは女の子に化けているナニカ。存在が全然違う!
「おぉ、よくわかりましたね! その通りなんです。実はこれには聞くも涙、語るも涙なお話があるのです」
「……」
あまり……興味ない、かも?
「実は私、ただの低級霊だったんです。この子が……本物のこの子が呼び出した――」
「この子が呼び出した? そんなことできるの?」
やばっ、思わず聞いちゃった。
「えんじぇるさん、ってご存知ですか? 子どもに人気の肝試しのような……実際は立派な降霊術の1つです」
「……それは知ってる。てか、多分ほとんどの人は知ってるんじゃないかなっ?」
「『はい』か『いいえ』で答えられる質問をすると、何者かが答えてくれるって言うあれね。私でも知ってるわ」
キラちゃんとつばきちゃんがそういうけど……僕知らないよ?
あ、知る前に死んじゃったんだっけ。
「もう何年も前のことです。その降霊術を用いて、この子は問いました。『一緒に遊んでくれる?』と。それで私が呼ばれた訳です」
「ほーん」
こんな子どもが幽霊を呼び出せるなんて……結構簡単なんだね。
「……誰もいなかったのです、遊ぶ友達も信頼できる大人も。親からは虐待され、学校ではいじめられ……そんな状況で、わらにもすがる思いだったのでしょう」
「それは……辛いわね……」
そうだったんだ……。
じゃあこのちんちくりんの方も悪い奴じゃないってことかな?
「願いを叶えるため少しだけ遊んでやり、その後私は容赦なく彼女の生気を――まぁ、殺しました」
「よし、お前を除霊する」
思いっきり悪い奴じゃないか!
「は、話を最後まで聞いてからにしてください! ……で、それまではよくある話なのですが……」
「よくあってたまるか!」
「私に殺されたこの子、何と幽霊になって私にくっついてきたんです」
……えーと?
殺された恨みを晴らすため、とかではなさそうだ。
「それだけ一緒に遊んだことが嬉しかったんでしょうね。自身を殺した相手にもかかわらず、いつまでもついて回ってきたました」
「……」
「何度も逃げようとしたり、追い返そうとしたのですが、それでもしつこく付きまとわれ……しまいには私までこんな姿になってしまった」
それはなんでだ?
「後は先ほどお話しした通りです。私たちは幽霊、敵も多く……せめてこの子だけでも守って欲しいのです」
「それは……」
ゴーのお父さんの所に連れて行った方がいいんじゃない?
優しく成仏させて貰えると思う。
「それで、そこの鎧も同じような理由なのかしら?」
「あっ」
鎧、いたね!
もしかしてこいつも同じ理由なの?
「彼も……いえ、我々全員似たようなものです」
全員ってことは、他にもいるのかな?
「その鎧……『聖騎士』は、かつて自分より先に守るべき主君を殺されてしまい……その無念が鎧となって生まれました。主君より先に死すべき、そう願っていた彼は死後、その鎧の中に特殊な空間を持ち、鎧が砕けるまで全ての害から守るという能力を手にしました」
な、何それ! かっこいい!
「私も実際に体験したわ。その女の子も一緒にね」
「あ、なるほど!」
だから2人で入れたんだ!
どのくらい広い空間何だろう……!
「他にも仲間がいます。私たちは、その誰もが人に害を与えないと言うことを固く決意し、ただ存在することを願っている集まりなのです」
鎧とちんちくりんたち。
どこでどんな出会い方をしたらこの組み合わせになるんだろうか。
「善き霊であろうという戒めと励ましの意味をこめ、お互いに『聖』の付く名前で呼び合い助け合う。我々の名は――」
「……」
「『聖なる騎士団』」
聖なる、騎士団……?
うっ……何だろう、右目がうずく……!
「『聖騎士』は絶対守護領域、この子、『聖天使』はかわいい。それと……いえ、他のメンバーは実際に会って頂きたい」
「……」
え、会う流れになってる……?
「我々はあなたに庇護を求め、その代わりに有事の際に配下として働く。そういう関係を望んでいます」
「えっと――」
「わかったわ。あなたたちの責任者にあわせなさい」
うん、わかったよ!
「幽霊の騎士団……何だかバズる予感……っ!」
「そ、そうかな……?」
怖がられる気もするよ……!
ところでさ、ひごかってどういう意味?




