第60話 少年と庇護
「ぐすっ……ふぅ~……」
あの後――つばきちゃんを見つけ出した後、3人で抱き合って泣いてたら通りすがった先生に怒られて……今は校庭の端っこにいる。
「レイくん、本当にごめんなさい。もし過去に戻れるなら……私自身を八つ裂きにするわ」
「私も、ごめんなさいっ。レイくんを傷つけるようなことをしちゃって……全部知ってたのに……」
そう、そういう事だった。
つまり――。
「とある事情により、この鎧が今回の騒動を提案。椿様が承諾し、お嬢様と私がさりげなくフォローに回る。という事だったのですが――」
あ、うん。
「純粋無垢なレイたんを謀ってしまったこと……本当に痛恨の極みでございます。何度も途中で、中止するよう言ったのですが……」
……そう言われれば、そんな気も?
っていうか!
「やっぱり! 捕まったのわざとだったんだっ!」
「うん……本当にごめんなさい」
「もぅっ! すっごく……すっっっごく心配したんだから!」
危うく蛇が出てくるとこだったよ……蛇?
「本当に見てられなかった……私も、改めてごめんなさいっ」
「キラちゃん……」
何だかみんなに謝られると困っちゃうな……。
「あの~……そろそろいいでしょうか?」
あ、そういえばいたね。
鎧の中にいた女の子、僕よりほんのちょっとだけ大きいくらいでちんちくりんな女の子。
キラちゃんよりは暗めの茶色い髪をポニポニヘアーにしてる。
とてもちんちくりんだ。
「まずはレイさんを試すようなことをして本当にごめんなさい」
「……何でこんなことをしたの?」
つばきちゃんもわかってたって言うんなら、それなりの理由があると思う。
「はい、簡単に言えば……私たちを守って欲しいからです」
「嫌だけど……」
何で? さすがにこんなことしといてさ。
ちなみに、何から守るのだろうか。興味ないけど。
「そう言わないでください……つばきさんも了承済みですので」
「じゃあいいよ」
それを早く言ってよ!
「いいんだ……」
「ちょっと待ってっ! 私は納得できてないよっ! もっとちゃんと説明してっ!」
キラちゃんはあまり詳しくは知らなかったってことかな?
「はい、もちろんです。まず基本的な事ですが、私たち霊は常に除霊師たちに狙われる存在ですよね?」
「……」
改めて言われると、そうなのかも?
「僕は狙われたことない……と思う」
「そりゃそうですよっ! 理由もなく一般村人が魔王を倒そうとするわけないじゃないですか!」
ま、魔王……? 僕?
「おい、言葉に気を付けろ」
「す、すみませんつばきさん。わかりやすい例えを言ったつもりでして……要は、それだけレイさんの存在がヤバいという事です。パないんです」
パないん……?
「そう、レイくんは存在が天使過ぎて祓うと考えることすらおこがましいという事」
「えと、どうヤバいのっ? 確かにレイくんがすごいのはわかるけどさっ」
「ですから魔――じゃなくて、霊力の強さや質、量……それらすべてが我々と一線を画すとでも言いましょうか……」
ほーん。
「霊力の扱いに心得のある存在なら、一目で見抜くでしょう。それこそ、神と崇めてもおかしくありません」
「か、神ぃ~?」
意味わかんないんだけど!
あれ、でもさ――。
「その割には霊は逃げないね。人間の霊能力者は逃げてるって言ってるけど」
「基本的に霊という存在は、生前の強い意思に基づいて存在してますから。逃げるよりも思いを叶えたい、もしくはその霊力を喰らいたい的な」
なるほど?
わかるようなわからないような……。
「という訳なので、我々はあなたに庇護を求めてる次第です!」
「ん~……何となく言いたいことはわかったけどさ、何で見ず知らずの君たちを守らなきゃいけないの?」
僕はつばきちゃんやキラちゃん、家族のみんなや友達で手いっぱいです!
「……会って欲しい子がいます。さぁ、出ておいで」
ちんちくりんが鎧に向かって呼びかける。
「……」
「……」
まだ?
「あの……」
「おーい、出ておいで!」
「……ゃ」
あ、何か聞こえた。
「いいからっ! 約束したでしょ! 出て来ないと……食べちゃうぞーっ!」
「……」
お? 何だか頭がひょっこり見え隠れ……っていうか、あの鎧何人入るの?
「……」
「え?」
「ど、どういうこと? 同じ顔じゃないっ!」
鎧の中から出てきたのは……目の前のちんちくりんそっくりの女の子!?
「どうです? 天使みたいにかわいいでしょう?」
「……」
あらら、鎧の後ろに隠れちゃったよ……。
「こ、こんにちは~」
「……」
じっと見つめられちゃった。
「どうか、この子を守るためにも……我々をあなたの庇護下において欲しいのです。何卒、よろしくお願いします」
「……」
ちんちくりんと鎧が頭を下げる。
「……」
「……」
ど、どうしよう……。
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天使みたいにかわいいでしょう?(意味深)




