第53話 少年と蘭
「お前の強い霊力っ! 間違えるはずがない! みっくんの仇だっ!」
見えないけどめちゃくちゃ怒ってそう……。
どうしよう、気付かないうちにやっちゃったのかも……?
「……その子が払われたはいつのこと?」
「1週間前よっ! そしてようやくお前を見つけて――」
1週間前と言えば、恭子さんたちと例の場所にいたはず。
その子もそこにいたとは……考えずらい。
「そう。その子は誰かに憑りついていたのかしら?」
「そうだっ! 女の人を妊娠させて逃げた男に……だから生まれることができなかったろぉくんのことだ!」
ろぉくん、か。
「やっぱりその話、豪のお寺で聞いた話だよねっ!?」
「そうね。そしてその時、ろぉくんのことは払わなかった」
「……いい加減に……」
「うん、住職さんがゆっくり成仏させてあげた方がいいって! かわいそうな子たちだから、優しくしてあげなきゃって!」
今でも覚えてるよ!
だから今日も傷つけないようにしてたんだから!
「……そんなこと言ったって……ろぉくんはっ!」
「……ランラン、僕じゃないよ」
言いながら、壁から僕だけ出る。
「……ヤッチャエー!」
「クラエー!」
「……」
小さな子どもたちが僕の霊体を叩いたりかじったり……。
けど、全然痛くない。
「みんな、優しいんだね」
「……」
だって、友達のために戦ってるんだもの。
「クラワナイヨォ……!」
「……コワイヨォ……」
「ニゲチャダメ! ガンバレー!」
僕なんて、本当は怖いはずなのに。
「ウゥ……ドウスレバイイノォ……」
「よしよし」
思わず泣きだしちゃった子の頭をなでちゃった。
「……ウゥ?」
「友達いなくなって、悲しかったんだよね」
きっと……友達思いのいい子たちになったんだろう。
みんな叩くのをやめて泣き出しちゃった。
「ロォクン……」
「ウワァァン……」
大変だっ!
手が2つじゃ足りないっ!
こうなったら必殺っ! 高速なでなでっ!
「……みんな、おいで」
壁を囲んでいた子たちも、僕の周りにいた子たちも、みんなランランの方に戻っていく。
「ランラン……」
「……私は信じた訳じゃない」
あ、あれぇ?
「けど――この子たちに免じて~、見逃してあげるっ」
「……うん」
きっとランランも優しい子なんだよね。
みんなに名前を付けて、大切に思ってるのが伝わって来る。
「それじゃあ――」
「待ちなさい」
あれぇ?
「な、何よぉ~……」
「ごめんなさい、は?」
「……えぇ~」
確かに!
悪いことしたらごめんなさい、だ!
「……」
「……」
「……なさい」
言えたね、偉いねぇ!
「ふふ、いい子ね」
「――何よっ! 私はあんたなんかより……ずっと年上なんだからぁーっ!!!」
「あ、行っちゃった」
泣きながらすごい勢いで飛んでっちゃった。
「バイバ~イ!」
「マタネ~……」
「うん、またねっ!」
ゆっちゃんやみぃくん、るぅちゃんたちに手を振る。
みんな……元気でね!
「……行っちゃった……」
「人違いで襲われるなんて災難だったわね」
それほどみぃくんのことが大切だったんだよね。
「結局、着替えが必要になったのはあなたの方だったわね」
「あ、あはは~……着替え、持ってないよね……?」
「持ってる訳が――」
おや、いつの間にか足元に袋が落ちてる。
「何これ?」
「えっ? ――あれっ!? 私の服だっ!」
「メモも入ってるわね。『お嬢様のお着替え係のルナたんより』ですって」
……。
いるんだ……。
どこか、近くに……。
「……こわっ!」
「ありがたいじゃない、これならいつでも漏らせるわね。ところでレイくん――」
お漏らしなんてしたくないと思います!
「――何か飲み物飲む?」
「……」
そういう、ことか……。
お読みくださりありがとうございます!
飲み物、飲む?(意味深)




