第51話 少年と保護者
――橋の除霊を終えた翌日。
「何か飲み物飲む?」
「ううん、大丈夫!」
今日はつばきちゃんやキラちゃんと駅前でお買い物!
キラちゃんが何やら買いたいものがあったんだって。
「つーちゃんも聞いてみなよ! この人の歌、すっごくいいんだよっ!」
「私はいいわ」
何でも世界的歌姫さんのCDが発売する日だったんだとか。
「それにしても、今時CDだなんて珍しいわね」
最近ははあれだってね、さぶすぷってやつ?
僕の好きなアニメもスマホで見放題!
「ふっふー! よくぞ聞いてくれましたっ! なんとCD版にはね――」
「ところで、何か飲み物飲む?」
……さっきからずっとこうだよ。
何でか知らないけど、つばきちゃんが僕に飲み物を進めてくるんだ……。
「僕はいいよ――」
あ、そういうことか!
気が付かなくってごめんね。
「つばきちゃんが飲みたいんだよね? だったらそこのレストランに――」
「私はいいの。飲み物、コンビニで買ってあげるから飲んだらどう?」
残念ながら違ったみたいだ。
「……まさかと思うけどさ……」
「何よ。あなたはもう体験したんだからいいじゃない」
どういうことだ……?
「やっぱり! もぅっ、これから私んち行ってCD聞くんでしょっ! 着替える時間なんてないんだからっ!」
「着替える必要もないわ。あなたと違ってね」
「……変態っ!」
な、何を言ってるのかわからないと思うけど……僕もわからないッッ!
「私には『覚悟』がある。さぁレイくん、歩けなくなったら私がおんぶするから、何か飲み物飲む?」
「もはやその言葉がホラーよっ!」
おんぶ……おんぶかぁ。
おんぶにはちょっとだけ嫌な思い出が――あ?
「つばきちゃんに近寄るなっ!」
「へっ!?」
霊力を込めて軽くにらみつける。
つばきちゃんに近づく黒いもやもやに向かって!
「あ〜、いけないんだぁ~! 弱い者イジメはダメなんだよぉ~?」
「えっ!? えっ!?」
すると、もやもやと入れ替わるようにひらひらした服の女の子がいた。
髪の毛が白くてくるくるで…ここまではっきり見える霊は初めてかも?
「ゴスロリ……ニアさんと気があいそうね」
「わぁ~かわいい幽霊さんねっ! お人形さんみたいっ!」
人形……?
ルナたんともいっちゃんとも似てないけど……。
「ふふふ、かわいいでしょ~! 最近のお気に入りなのよ~? うふふ!」
くるくる回ってみる女の子。ぼくと同じくらいの大きさ?
何だか敵意は感じられないけど……。
「で、何の用かしら」
「え~? もう少し楽しくお話ししましょうよ~。うふふ!」
「こっちはデート中なの、用事があるなら早く言ってちょうだい」
デート……うふふ!
「ふーん……まぁいっか。あなたたちでしょぉ? この前この子たちを払っちゃったの……」
「わわっ!」
この子たちって言った瞬間、小さな霊が集まってきた!
さっき来たもやもやも……!
それと同時に敵意も感じられる!
「私たちはねぇ~、うふふ、ほんのちょっと仕返しをしただけなんだよ~? ちょっと体調が悪くなるくらいでぇ~、それなのに払っちゃうなんてぇひどいよね~?
口調はゆっくりだけど、すごく怒ってる!
けど、何のことだ? 子どもと言えば昨日のだけど違うっぽいし……。
子ども……?
「悪さをしたのだから文句は言えないのでは?」
「だからぁ~、ちょっとだけって言ってるじゃない。あなただって悪戯するでしょお? それと同じくらいだよ?」
確かに……するけども!
「レイくんの悪戯は……ちょっと驚くくらいよっ! 泣きそうになるけどっ!」
「輝蘭羅さんはお漏らしもするけどね」
……。
ごめん……。
「同じよぉ? おなかが痛くなるくらいだもの」
「……仮にそうだとして、何のお話しかしら? あなたに見覚えはないわ」
「だからぁ……この子たちっていってるじゃないっ!」
黒いもやもやが集まって女の子の周りを激しく回りだした!
「かわいそうに……みっくんはもうすぐ成仏できそうだったのにねぇ~」
「みっくん……?」
誰?
「あら、るぅちゃんが最初に行ってくれるのぉ? うふふ、あなたたち仲が良かったものね~」
渦のようになってるもやもやから、1つの小さな塊が飛び出てきて――。
「――!? くっ!」
霊弾で弾き返そうとして、やめる。
「ごめっ、つばきちゃ――」
「わかったわ」
つばきちゃんがキラちゃんを引っ張って走り出す。
「きゃっ!? 逃げるのっ?」
「ええ、こんな町中で戦う訳にはいかないもの。それに――」
そう、気付いてしまったんだ。
あの子の正体に!
「あれは――」
「水子の霊、たくさん集まってるっ!」
お読みくださりありがとうございます!
ゴスロリ系幽霊少女。




