第42話 少年と事案
「コォォォ……」
「……いけっ!」
禍断天剣を飛ばして切りつける!
「――ガガッ!」
「弾かれたっ!?」
霊力の強さでは剣の方が強いのに……!
「生前培った剣術は死んでも健在という事ね。」
剣術!
そうだ、この人は僕よりもずっと戦い慣れているんだ!
「むむっ!」
「……!」
何度も剣を飛ばすけど、全て防がれてる……!
この人、強い!
「勢いを殺す、軌道を逸らす。力が強いだけではダメという事ね」
「……それなら!」
もっと強い力で!
「はぁぁぁっ! 『玲銃』!」
「あっ! ちょっと!」
「――っ!?」
強いだけじゃだめといなら、もっと強くて速い攻撃ならどう!?
「ガァァァッ!?」
「――よしっ!」
玲銃の光に頭を貫かれ、強そうなサムライは消滅した。
「……まぁいいわ。さ、残りも終わらせて」
「承知の助!」
▼▼▼
「……ムネン……」
ようやく……ようやく最後の1体を倒すことができた。
味は……うん、まぁまぁ!
「裏切られた思いが長年蓄積され悪霊となってしまったけれど、生前はいいお殿様だったのね。死んでも付いて来てくれる部下がこんなにいたのだから」
「……うん」
そう思うと、なんだか悲しいね。
だけどビームとか打ってこなくて助かった……黒いオーラは出てたけど。
「恭子さんが無事でよかったよ! 囲まれた時は本当に……」
「ふふ、私が危ないと思ったから、あの剣が作れた。違う?」
それは……まぁ。
……って、もしかして!
「そうだけど……もしかして、わざと?」
「ふふっ」
やっぱりだっ!
わざと敵に囲まれたりしたんだっ!
「……心配したんだから!」
「そう」
恭子さん……僕のことが嫌いなのは知ってるけどっ!
なんかズルいっ!
「先に言った通り、あなたには弱点があった。対多数……持久力が必要な戦いであなたの取れる手段はない」
「……」
「そういう時は霊力を放出したりせず、道具や体に纏った方が効率的。それを学んで欲しかったの。あんな剣が作り出せたのは予想外だったけれどね」
「……どうして……」
ここまでしてくれるのだろうか。
1歩間違えれば、恭子さんだって無事じゃすまなかったはず。
「勘違いしないでね。椿ちゃんや輝蘭羅ちゃんが危ない目にあっても大丈夫なように、よ」
「……」
そりゃそうだ!
僕のためにありがとう、なんて言わなくてよかったっ!
「……うん、絶対守るからねっ!」
「ええ、そこだけは期待してるわ」
僕たちは、同じ人たちを守りたいと思っている仲間なんだ!
だから、きっと仲良くなれるはず!
「……恭ちゃん、って……呼んでいい?」
「……気安く呼ばないでちょうだい」
ぴえん――ってあれっ!?
「何だか体が透けて――わわっ!? うわぁぁぁぁ~……」
すっごい勢いで!
どっかに飛ばされるぅぅぅ!?
「……作るのに3か月、効果は3時間か。割に合わないわね、『依り代人形』……」
▽▽▽
「ねー、今からでもどこか行こうよ~……」
「……レイくんがいないのに、どこに行こうって言うのよ……」
「もぉ~っ! ってあれ? レイくんじゃんっ!」
「うぅぅ……あ、あれ? つばきちゃんにキラちゃん! よかった、戻ってきたんだぁ……」
何だかわからないけど、つばきちゃんのところに戻ってきたみたいっ!
「レ、レイくん! ああああっ! レイくぅ~んっ!」
「わわっ!?」
つばきちゃんが泣きながら抱き着いてきたので急いで実体化っ!。
「つ、つばきちゃ――!?」
「ああああん、うわぁぁあああんっ!」
もしかして何かあったんじゃっ!?
「……はぁ。ちょっと離れてたくらいで大げさな……鼻もたれてるしっ!」
「らってぇっ! らってぇぇぇぇっ!!!」
あぁ、そういことかぁ。
「つばきちゃん、寂しい思いをさせちゃってごめんね?」
「ううんっ! わたしっ……わたしこそっ! ごめんなさぁぃああああんっ!」
『依り代人形椿ちゃん』は……しばらく使わない方がいいね。
「離れていても、ずっと一緒だよっ! けど『依り代人形椿ちゃん』使わないようにしようね!」
「……うん……ぐすっ……」
よしよし、ふふ。
いつもクールなつばきちゃんのこんな姿、他の人が知ったら驚くだろうなぁ~。
「……子どもに泣きつくJK。事案だわ……」
お読みくださりありがとうございます!
他の家族は観光を楽しんでいたようです。
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