第40話 少年と補償
シリアス展開は終わりなの!
「ふぅ……これでひと段落、といったところかしら」
江ノ島ママだよ!
いろいろとあったけど今はこうして仲良く旅行に……じゃなくて、例の事件の後処理のために事件のあった場所に戻ってきたところ。
数日かけて警察やらなんやらと話をして、ひと段落ついたらしい。
「……本当に神宮さんの仕業じゃないんですよね……?」
江ノ島パパが……最初の頃の僕のような顔をして恭子さんに話しかける。
仕業というのは……あの男たちが全員死んじゃったってこと。
「もちろんですよ」
「あはは、ですよねー!」
「ただ……久しぶりに降霊術を使ったり、近くに霊力を高める道具を落としたりしちゃいましたけどね。うふふ」
……それ、かつての被害者の女の人たちの霊を使って……。
ぼく、わかんなぁいっ!
「あら、それは残念ね! おーっほっほっほっ!」
「そそそ、そうだねぇ~……ははっ」
江ノ島ママは楽しそうに、江ノ島パパはやっぱり怖そうに笑ってる。
笑顔って、たくさんの種類があるんだねっ!
「さて、せっかくこんな遠くまで来たのだから……みんなで観光でもしましょうかね」
「あら、いいですね~」
「私おいしいものが食べたいっ!」
「……い、いいねぇ~!」
「……そ、そうですねぇ~!」
江ノ島ママとうちのお母さんとさくらが和やかに話す。
パパたちは……何とも言えない顔をしてる。
「わぁーいっ! 私たちも行こうよっ!」
「……そうね」
キラちゃんは楽しそうに、つーちゃんは顔を逸らしながら……。
僕知ってるよ、恥ずかしいんでしょ?
この前『大切な人』って言ってたもんね、キラちゃんのこと!
「……ふふっ!」
「……子どもじゃないんだから、手を繋ぐなんて……」
でも今回は何も問題は起こらなさそう。
だって……ちゃんと通じ合ってるから。
何だか、僕まで嬉しくなってきた!
「へへっ! さぁ、みんなでどこに行こっかぁーっ!」
「レイくんは私と一緒に別行動よ」
ふえぇぇ……?
▼▼▼
「まさか……こんなことができるなんて」
僕は今、恭子さんと2人きりで車に乗っている。
そう、つばきちゃんはいない。
「うん、うまく機能してて安心したわ」
というのも、恭子さんお手製の霊具、その名も『依り代人形椿ちゃん』!
その名の通り、特製の人形につばきちゃんの髪の毛を入れるとあら不思議!
つばきちゃんにするように、憑依ができるのだっ!
それを知った時のつばきちゃんの顔と言ったら……。
本当にごめん……けど――。
「恐らく長時間は無理ね。その間にお手伝いを終わらせなさい」
「はい……」
恭子さんには……逆らえません。
「さ、着いたわ」
「ここは……」
何もない、だだっぴろい原っぱ。
……いや、すごく薄いけど何だか嫌な気配がする。
「お手伝いというのはね、放棄せざるを得なかった私の仕事の補償ね」
「なるほど?」
わからん。
「……例の件があって仕事をキャンセルじゃない? 仕事仲間に代わりを頼んだりしたんだけど、ここは無理だって」
「どうして?」
「単純にね、数が多いの」
「何の?」
「そりゃあ……あなたのご飯?」
ご飯って悪霊のこと……?
「今回の私の仕事は、各地に封印されてる霊とかを鎮めることだったんだけど……ここは特に強力なのよ」
恭子さんでも、僕に助けを求めるくらいってことだもんね……。
「かつてここを治めていたお殿様がさらにその上の偉い人に裏切られ、ここにあった城のなかで死ぬことを選んだ、と言われているわ。お城はその時に燃え落ちたんですって」
「お、お殿様の幽霊……」
何だか怖いな……たまにキラちゃんやゴーのスマホで見るけど、織田信長ってやつはビーム出したり世界征服しようとしたり、魔王って言われてるし。
「いいえ、お殿様の幽霊だけじゃないわ」
「へ?」
「一族郎党領民含め、というやつね。1000じゃきかないわ」
わ、わぁ~。
まさに一騎当千になれってことかぁ~……。
「それじゃ、行くわよ」
「ちょっ! 待ってよぉっ!」
恭子さんが何か言いながら、ポケットから出したお札を破る。
すると、周囲の空気が変わった。
「――来るっ! すごく多い……!」
敵は多そうだけど、一緒に頑張ろうねっ!
「あ、私は戦えないから。『玲壁』よろしくね」
どうしてっ、どうしてなのぉっ!?
お読みくださりありがとうございます!
第六天魔王様は別格ですからね……。
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