第30話 少年と壁
「1階の階段までやってきましたが……特に変化ないですね……」
「そうね」
「昼よりも何倍も怖いってこと以外……」
「そうかしら?」
<怖い話スキー:昼のまだ見れてない!>
<豚バラ炒飯:同じく。学生はいいね、いろんな意味で>
<ギギギギギギギ:夏休みサイコーっす!w>
真っ暗で見えないからね。
でも、僕にははっきり見えてるよっ!
「そこ、いるよ」
「「ひぃっ!?」」
と言っても、とびら開けるおじさんだけど。
「コチラ……ドウゾ……」
「しゃべ――っ!?」
今度は階段案内おじさんになったのかな?
まぁいいや。
「えいっ!」
「アッ……サヨナラァ……」
<きらリン推し:なんか癒されるわぁ……>
<霊感少女型おいたん:いやキモくない?>
霊力を当てるとそれだけで消えてしまう。
吸収してみるけど、やっぱり美味しくない。
「で、では……登って行きまぁ~す……ひぃぃ……」
2階までは何もなかった。
問題は3階。
「お、お昼はこの上に警備員さんの幽霊がいたんだよね……
「ええ。でももう帰ったんじゃないかしら? こんな時間だし」
カエルって言ってたもんね。
<怖い話スキー:警備員? 滅さなかったの?>
<ギギギギギギギ:つーちゃんがビビって逃げてたよw>
「逃げてないわ」
そうだよ!
<ギギギギギギギ:え? だって……>
<aaaa:ギギギさん、過去動画見てみw>
<きらリン推し:過去の動画に何があるのだろうか。我々はつーちゃんの秘密を知るべく、アーカイブを漁った>
「そうよ、逃げてないわっ! あれは立ち向かうための布石っ! さぁ、今こそ過去を乗り越えるっ!」
そう言ってキラちゃんは僕を見る。
そうだ、過去を乗り越えるんだっ!
「行ってらっしゃいっ!」
「へっ? ええええ? きゃぁあああっ!? やめてレイくんホントにっ!?」
念動力でキラちゃんを前に押し出すっ!
<aaaa:鬼畜すぎわろたwww>
<紳士的なお兄さん:わかってるじゃあないか。我々が見たいのは美少女のグチョ(>
「レイくんのバカぁぁ……あ? あ、れ? ……誰もいない……」
「へへっ!」
もちろんわかってたよっ!
「もぅっ! レイくんひどいよっ! いくらいないからって――」
<怖い話スキー:あれ、奥になんかいるくない?>
<豚バラ炒飯:いるね>
「――え?」
「……」
そう、いる。
そしてキラちゃんをここに連れてきたのは――あ、よく考えたらひどいことしたかも。
「……カエレ……」
「ひぐぅっ!? 何で? 何でこんなひどいことするのレイくんっ!?」
大丈夫!
「僕が守るからっ!」
「そんなこと言ったってぇっ! 無理やりここに連れてきたのレイくんじゃないっ!」
それは――ごめん。
「……カエレ……イヤダ……」
「――っ、何か……嫌がってるの……?」
「残業……イヤダッ! カエレッ!!!」
<怖い話スキー:ヒィィッ!?>
<豚バラ炒飯:ヤメテッ残業はイヤッ!>
<闇より井出氏:最恐の敵現る……>
「カエレーーーッッ!!!」
「いやぁぁぁぁっ!」
警備員がダッシュでキラちゃんに飛び掛かったところ――。
バチン!
という音を立てて、警備員が透明な壁に弾かれた。
「『玲壁』……何だか言いにくいなぁ」
「た、助かった……」
<闇より井出氏:ほう、『防壁』か……>
「あ、ししょうっ! 技名を考えてくださいっ!」
「今っ!? そんな場合じゃ――っ!」
<aaaa:あっ()>
<闇より井出氏:――っ、いいだろう>
よかった、『玲壁』って何だかかっこ悪いし、言いにくいし。
警備員はこっちに来ることが全然できないみたいで、壁に張り付いている。
だから今のうちに!
<闇より井出氏:――彼の悪鬼を前にしても、まるで王のように堂々と佇む佇まい――>
<豚バラ炒飯:佇みすぎでは>
<きらリン推し:『玲壁』でレイウォールで! これでいこう!>
「おぉっ! レイウォール、何だか言いやすい! これにしようっ!」
<闇より井出氏:――王霊不可侵絶対領域――でどうだっ!>
<イマスグモドレーヌ:1歩遅かったわね>
「『玲壁』……壁に張り付かれるのは怖いけど、何だか安心する、かも」
「あ、多分キラちゃんはすり抜けちゃうから気を付けてね!」
「へ? わっ、ほんとだっ!」
警備員とは別の場所から手を出してみるキラちゃん。
霊力を弾くように、って思ってるからね!
<闇より井出氏:――ふむ、まだ甘いな>
お読みくださりありがとうございます!
師匠は何も特別な力はありません。ありませんが、常日頃備えています。
もう1つ小説を投稿しています。異世界転生モノです。
そちらもよかったらぜひお願いします!




