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小噺 母たちの想い

今回はお母さん視点による裏話です。

「もしもし、秋子さん?」

「まぁまぁ、恭子さん。どうしたのかしら?」

「さっき椿ちゃんから連絡があって、お友達と1週間旅行に行きたいから保護者役をしろって言われたわ」

「あら……まぁ……」

「ふふ、あの子もようやく……年頃の女の子みたいになったのかしら」

「そう、ですね……本当に……」

「……えぇ」

「……あ、それで恭子さんは大丈夫なのかしら? もし無理なら――」

「大丈夫、無理にでも大丈夫にして見せますよ」

「……ありがとう、ございます」

「いえいえ、私にとっても娘みたいなものですから。やっと――」

「そうですね。やっと――」

「娘に、心の許せる友達ができたみたいですから」

「……ええ、よかった……」

「それじゃ、荷物の整理をし直さないといけないので……何せ2人分の荷物も増えるんだから」

「まぁ! それは大変ね」

「ふふ、まったくですよ。それでは」

「えぇ……恭子さん、本当にありがとう」




 恭子さんと通話を終え、ため息をつく。


 もちろん不快な気持ちからではない。

 椿ちゃんが……ようやく年頃の女の子みたいなことをしたいと言ったから。


 玲のことで頭が一杯になってくれているのは嬉しいけど……あまりにも自分を追い込みすぎていて……。

 私も、お父さんも、恭子さんも親として心配していた。




「お父さん、椿ちゃんが友達と旅行に行きたいんですって」

「な、何だってーっ!?」


 まるで会社が潰れたかのような顔で驚くお父さん。


「それはいい! 行かせてやろう! しかし……相手は女の子か?」

「ええ。その保護者役を恭子さんにお願いしたみたい」

「そうか……私は仕事だしな……恭子さんには申し訳ないが……」

「恭子さんも嬉しそうにしていてくれていたわ。大丈夫」


 お父さんが安心したように、私と同じようにため息をつく。


「それならいい。後は――」

「そうね、後は――」

「お金だな。100万あれば足りるか?」

「相手のご両親ね――は?」


 時々、この人は馬鹿なんじゃないかと思う時があるけど、やっぱり馬鹿なんだと思う。


「そうだな、もし必要なら私達が相手のご両親と話そう」

「……はい」




 結局出発前は恭子さんが話をつけてくれたようで、私達の挨拶は不要とのことだった。


 だけど――。




 後日、とんでもない形でそのご両親と相対することになろうとは……このときはまだ思いもしなかった。

 

お読みくださりありがとうございます!

いつだって親の心子知らず。




もう1つ小説を投稿しています。異世界転生モノです。

そちらもよかったらぜひお願いします!

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