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18,

 


「じゃあ私は先生に呼ばれてるから、今日は先に帰ってて」


「うん、後でフランカの部屋に行くね」



 ―――はぁ、何だかもう……つまんない。



 向こうがゴタゴタして面倒だから姉さんと入れ替わったけど、こう何も無いのも退屈だわ。 良い子でいるのも飽きたし、疲れる。



「あれ? リリアナ、フランカは?」


「先生の所に行ってるわ」


「そうか」



 フランカの婚約者、ルドワード……か。


 見た目はまあまあね。 でもレオーネに比べたら平凡で、性格も真面目でなんかこう……色気が無い。

 やっぱりレオーネは良かったなぁ。 アレを見ちゃうと他が……



 ―――まてよ?



 でも、姉さんの親友の婚約者、っていうのはスパイスよね。 それをエルマ(わたし)に靡かせて、姉さんと生活を戻した時―――



「ルドワード」


「ん?」


「フランカは先に帰っててって言ってたよ」



 それは……――――面白そう。



「そうなのか? 結構長い話になりそうってこと――っ!?」



 突然手を繋がれ、驚いたルドワードの肩が跳ねる。



「たまには私と帰りましょ?」


「いやっ、でも」



 ああ、この感覚……。


 悪戯も恋も、最初が一番楽しいのよね。 でもそれは段々と味が薄くなってきて、気がつけばめちゃくちゃに絡まり過ぎて面倒になっちゃう。


 でも今回は大丈夫。 だってどうせ、



「少し熱っぽいの、一人で帰るのは心細くて……」



 あとは、入れ替わった姉さんが処理するんだから―――。






 ◆◇◆






 ……授業がまったく頭に入ってこなかった。



 今、私の頭の中は占領されている。 あの夜からずっと――――






「だ、だって、レオーネは『ジータは大丈夫』、エルマに『もう現れるな』……って言ったんでしょ?」


「そうだけど、それがどうして……」



 レイアの言うことが理解出来ない。 どうしてそれをジータに言わなくて良かったのか。



「か、確信は無いけど、レオーネはジータを守って、それでメリッサ様に何か条件を出された……じゃないかな」


「……ごめん、よく分からない」



 素直に教えを乞うと、レイアは私にも分かるように説明してくれた。



「ええと、レオーネが密告してメリッサ様の婚約者の座を狙ってたなら、エルマにもう現れるな、って言う必要無い、よね。も、もう別れたんだし、レオーネが望んで婚約者になったのなら」



 なるほど。 じゃあ、何でそうな事言ったのか、それは……



「その、出された条件が『現れるな』、ってこと?」


「そうかな、って。 そうなると、ジ、ジータが足枷みたいになるから……」



 条件はジータを庇ったから出された、ってことね。 だからジータに話さなくて良かったのか。 彼女が自分のせいでって気にしちゃうから。


 ――ん? でも、この話って根本的におかしいんじゃ……



「それ、メリッサ様が私の事を邪魔だと思ってるって事?」


「……うん」



 そんなの……だって、



「私とレオーネはそんな関係じゃないのに、あんなキレイな公爵令嬢が気にするのはおかしいわ」



 そうは言いながらも、脳裏には抱きしめられた記憶がチラチラと顔を出す。 まるで『邪魔な存在』を肯定するように。


 そして、それをどこか喜んでいる自分と、『あれは何だったの?』、とレオーネに聞いている自分が居る。



「お、おかしいとは思わない。 だって……」



 その後レイアが言った言葉が、私のそれにまた拍車をかけた。



「わ、私にはね、二人は始まったばかり……に見えてた、よ」


「………」






 ――――あの日からレオーネとは会ってない。 この前の週末、レオーネはパーティーに来てなかったらしいし、もう学生のパーティーには来ないのかも。


 もう、このまま会えずに元の生活に戻るのかな。



 せめて、私がエルマじゃなくリリアナ(自分)だったら……



「……だったら、どうするのよ……」



 寮への帰り道、一人立ち止まり呟いた。


 目の前に―――、



「初めまして、エルマ」


「――っ」



 その人が居るのに気づかずに。




「メリッサ・ストレイロードです。 良かったら、これから私のお邸に来ませんか?」





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