7 結婚式
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疲れていたらしく、深く眠れた。
見覚えの無い寝室で目覚めた。
覚醒してランデガルド王国に来ているのだと理解した。
朝食は軽く済ませた。食欲はわかない。
気乗りせずに支度して王都の大聖堂に向かった。レティシア様も今日は笑顔はない。
自分の結婚式か。溜め息がでる。
大聖堂に到着した。
教会の神殿関係者達が私を見て息を飲む。次々膝を折り頭を下げていった。
神官達からは悪意は見当たらない。
ルドガシア王国もランデガルド王国も、魔力を持つ人間は3割程度。魔力量が多く魔術師と呼ばれる程の人間は僅かだ。
私は魔力量がかなり多い。
王族はほぼ、魔力量が高い。
神官達は魔力を感じる者しかなれない。だから、私の魔力を感じて頭を下げた。
さらに、この容姿はルドガシア王家のものだから。
彼らは私に膝を折ったのではない。
王族並みの魔力量、ルドガシア王家の色に頭を下げている。
ルドガシア王家は神に愛されていると伝えられている。神から特別な恩寵を頂いていると広く伝わる。
神殿奥に迎え入れられた。
「ランデガルド王より仔細を承っております。今日の式を恙無く執り行うこと、精進致します。
ルドガシア王家の髪色と瞳、正しくウィンダム公爵の嫡子様であらせられますな」
神父がしみじみ言った。
神父の頭上には好意、尊敬の煙がある。
さらに付け加えられた。
「お顔立ちがお父上にそっくりでございますな」嬉しくない。
「ランデガルド王国正教会はジェラルド・ウィンダム様をウィンダム公爵家の正統な後継者として祝福致します」
神父が宣言した。
ここでも神殿の書類に署名した。
神父と書類を整えてたり、式の打ち合わせをしていた。
その間に花嫁の一行が来て準備していたらしい。
レティシア様が来て、一緒に花婿の交代を伝えに行こうとした時。
血相を変えたラッセル侯爵がやって来た。尋常な事態ではないと察せられた。
レティシア様に、慌てふためいた侯爵が話をし始めた。
、、、花嫁も交代することになった。
体調不良など嘘だろう。逃げたな。
とりあえず代役で式を行いましょうと言う。
こちらも、花婿交代を伝えた。
ラッセル侯爵は花婿交代の話をポカンとして聞いていた。
「この人は誰?でもルドガシア王国王家の色だし???」と侯爵の顔に出ていた。
私の出自を侯爵に説明し、既に嫡子として王家に届けた事を伝えた。その説明のため、時間が過ぎて、式の時間になった。
「式の始まりの時間でございます」
花婿控え室の扉がノックされた。
「肝心の花嫁に伝えられず、良いのですか?」
と、侯爵に聞いた。
「姪はジェラール様にすら、会ったこと無いですし。誰でも同じでしょう。もう時間ですし。後で話をします」
ラッセル侯爵。嘘はなかった。
花嫁も代役か。
どうなっているんだ。
この結婚式は呪われているのか。
馬鹿馬鹿しくなった。
神父が来た。
花嫁の交代を聞いたらしく、目が泳いでいる。
花嫁のアメリとか言う女、後からノコノコ来そうだ。そうはさせるか。
「神父様、花嫁の名前は当人の名前でお願いします。神の前で嘘の誓いはしたくありません。
私は今日の花嫁と結婚致します。ジェラールが回復したら、アメリ嬢と結婚なさるでしょう。本来結婚する二人の邪魔をしたくありません」言ってやった。
「そう、ですな。神の前での誓いは神聖なる誓い。そういたします」善良な神父だ。
と言うわけで。
私は神の祭壇前に立っていた。
アメリ嬢よりかはマシな令嬢なら、誰でもいい。やけくそ感は否めない。
ドアが開いた。パイプオルガンの音楽が流れた。
私はそちらを向いた。
令嬢が前ラッセル侯爵と入場してきた。スラリとした姿勢の良い令嬢だ。
参列の両家親族、ジェラールとアメリ嬢の友人たちが驚いている。
新郎が別人なのだから、当然だな。視線が痛い。さっさと式を終わらせたいものだ。
ハートがビシバシ飛んで来てうっとうしい。若い女性が多いからか。
悪意の矢もチラホラ来る。殺意ほどはないから、無視で良い。
ゆっくりバージンロードを進む令嬢。
さて、どんな令嬢だろうか?
ふとルドガシア王国の生徒会にいた留学生を思い出した。
可愛らしい、大人しい令嬢だった。
口数が少ない、人の話をニコニコ聞くばかりの令嬢。
それでいて、誰かが誰かの悪口を言い始めそうになると、話を別方向に向けるのが上手かった。
気がつくと、その子はよく人に親切にしていた。
彼女からは優しい感情ばかり煙りたった。それは心地よい香りが漂うようで、私はとてつもなく、彼女に癒された。
この子はイイコだな、と印象に残った。
いつの間にか、視線はその子を追うようになった。既に恋に落ちていた。
伝えることは出来なかった。思うだけの恋。
姿を見るだけで心が弾んだ。
少し話せた時は心が歓喜に満ちた。
あの子の胸からハートが飛び出して私にフワフワ向かってきた時。私の生きてきた中で一番の幸福を感じた。泣きそうになるほど嬉しかった。
あの子から好感を持たれている。それは幸せな時間だった。
あの子は婚約者がいたから、今頃人妻だろう。優しい妻を得た相手がうらやましい。
何故あの子を思い出したのだろう?
あの子がこの令嬢なら良いな、と思ったのだろうか?
到着した令嬢の手を受け取り。祭壇に並んだ。しっとりしたキレイな手だ。
神父の祝詞を受けた。
「神の名の元に、ジェラルド・ウィンダムとアメリア・ラッセルを夫婦と認め祝福致します」神父。
花嫁はアメリアという名前だったのか。ジェラルドは少し驚いた。
「誓いのしるしを」
神父が言った。キスをと言わなかったのは、初対面の私達に配慮したのだろう。
ジェラルドは新婦のベールをそっと上げた。
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