19 番外編 王太子バーナードの悩み
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我が国に良い人材を得た。
ぜひ側近に欲しい。
あちらも我が国に腰を据えたいのだろう。強力な地盤が必要だろう。
だから、あちらから手を差し出してきた。私はその手を取った。
アイツは忠臣となると言ったが。
ハリボテの忠臣顔だった。
それもそうだ。
お互いに会ったばかり。
お互いを知らない。
私達には信頼関係がない。
アレを私の信頼する臣下にするには、本心で誠実に相対するしか手はない。
ウィンダム公爵家新嫡子ジェラルド。
端正な顔立ちの貴公子に見えた。
ただ、目は冷ややかさがあった。奥方を見る目は穏やかであったが、、、。
ウィンダム公爵家か、、、。
ジェラルドの祖母レティシア殿がウィンダム公爵家の要だ。
レティシア殿がルドガシアから輿入れなさったのは40年ほど前だ。
当時、ルドガシア王家から王女が輿入れするのは数十年ぶりだったと聞く。
ジェラルドの祖母レティシア王女がランデガルド王国に来てくれたのは僥倖だった。
ルドガシアのお家騒動で避難の嫁入りだったから、急な事だったらしい。
当時の王も王太子も結婚していてレティシア王女を娶れなかった。
婚約がダメになったばかりのウィンダム公爵が、幸運にもレティシア王女と結婚した。
ルドガシア王国の恩寵の瞳を持つ王女。
残念ながら、レティシア王女は男児1人しか生まなかった。
しかも残念な男に育った。孫も輪をかけた残念男になった。
これからウィンダム公爵家は沈んでいく。そう思って傍観を決めていた。
しかし、新たな嫡子が立った。しかもソイツはルドガシア王家の恩寵の瞳を持つ。頭も切れそうだ。
なんとしても、私の側近に欲しい。ただの側近ではなく、忠実な信頼しあえる側近として、欲しい。
過去にルドガシア王家と婚姻を結び、恩寵の瞳を持った王がランデガルド王国にもいた。
彼らは皆、名君・賢王として名を残した。
私は愚王にはなりたくない。
名君には遠くても、善政を敷きたい。民の暮らしを守りたい。
バーナードは頻繁にジェラルドを王宮に呼んだ。
歓談し、バーナードの側近にも紹介した。側近になるよう勧誘したが、ウィンダム公爵家が落ち着くまではと断られた。
それでも、バーナードが呼べばジェラルドは王宮に来た。執務を軽く補佐し、歓談して帰った。
レティシア殿がウィンダム公爵となり、ジェラルドが後継者として安定した頃。
ジェラルドはバーナードの側近になることを承諾した。
元々レティシア殿がリカルドの為に優秀な領主補佐を数名育てていた。
レティシア殿が国政の中枢に行って来いと後押しして下さったそうだ。
ジェラルドにはウィンダム公爵家の仕事もある。不定期に登城してバーナードの執務の相談、補助をすることになった。
特に、ジェラルドはバーナードが官吏や貴族に会う時にバーナードに付き従った。
会談後、誰を信用して良いか、ダメかをバーナードに進言した。
バーナードはジェラルドを重用した。
バーナードの私室で。
バーナードは王太子妃フローラに相談していた。
「しかし、ジェラルドはいまいち掴み所がないんだよなー」
テーブルに肘を尽き、紅茶を飲みつつ言うバーナード。
「壁がある。取っ払いたい」
優雅な所作で紅茶のカップを手に取り微笑みながらフローラは言った。
「急いで仲を進めるものではありませんわ。
私達もそうでしたでしょ?
時間をかけて、信頼は積み上げるものですから。
それより、私は奥様に興味ありますわ」
バーナードは27歳。フローラは25歳。結婚して7年になる。
2人には既に1男1女の子がいる。
「ジェラルドはルドガシアで育ったし。奥方のアメリア夫人は留学していて社交界に出てなかったな。見たことの無い夫人だった」バーナード。
「しばらく夜会はないでしょう?落ち着いてお話しをしたいし。
側近の奥方様たちと、私とで、お茶会をするのはどうかしら?」フローラが提案した。
「良いけど。
私がジェラルドと仲良くなりたい話をしていたんだが、、、」バーナード。
フローラは構わず、お茶会の日程を決めて招待状の準備を始めた。
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