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彼と歩む無限の世界  作者: 睡眠欲
第一章一節 王立学園一年生編
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威風の間

いつも通りの学園生活が戻ってきた。

いつも通りのメンバー。

いつも通りの教室。

レアルタと教室前で別れて、席に着く。


やがて、全員が教室に着いた頃。

「筋トレするか」

フィリオが唐突に口に出す。


「全員、立て」

言われるがままに全員立つ。

大半は困惑しているが、みんなやる気はありそうだ。

「まずはスクワット。優勝者が決まったら終わりだ。はい、1、2、……」

みんな黙々とスクワットを始める。

最初の頃は静かで、フィリオの回数を数える声だけが響いていた。

だが、回数が増えるにつれて次第に息を吐く音が強くなってきた。


最初に脱落したのはアリサ。

記録は三十回。

息切れして倒れる形だった。

「アリサ体力無いね〜」

「ハァ、ハァ、私、初めてだよ!?みんなが異常なだけだって!なんで貴族がスクワットするんだよ!」

少しキレ気味だな。

勉強ばかりしているからそうなるんだ。


次はソーレン、三十五回。

少し余裕がある状態で席についた。

「ドルチェ、頑張って!」

黄色い声援を浴びせる。


次は同時だった。

アロガンツァとオウスクリータ。

「アロガンツァと同時とは思ってなかったんだけど」

「舐められたものだな」

「だって全く運動してなさそうじゃん」

「それもそうか」


残ったのは三人。

私と、ドルチェと、フィリオ。

私とドルチェは息切れしてきているが、フィリオは全くだ。

絶対にフィリオには勝ちたい!


負けた。

私の記録は七十五回。

その直後にドルチェが七十六回でやめた。

「流石に女の子に負けるのは男としてダサいよね」

「素直に負けとけよ!」

「だって恋人の前だよ?」

ため息が出る。

まあ、ドルチェはそう言うやつだ。


「次何やる?」

フィリオはスクワットしながら答えた。

体力の限界がきている。

正直、もうやりたくない。

「やりたく無い人の方が多いんじゃない?」

「そうか?もうやりたく無いやつ、何人いる?」

手を挙げたのはアリサ、ソーレン、ドルチェ、アロガンツァ、私。

過半数を超えた。

「そうかそうか。なら、終わるか。いつも通り自習だ」


そう言っておきながら、フィリオはずっとスクワットしている。

一時間が経っても。

昼ごはんの時がやってきても。

みんなが帰っても。

フィリオはずっと続けていた。


「レーゲン」

「何?」

「帰らねえの?」

「フィリオがスクワット終わったら帰るよ」

「じゃあ帰れねえぞ?やろうと思えば一生できるからな」

「はぁ!?」

「嘘じゃねえぞ。現に、汗ひとつかいてねえだろ?」

「そうだけど……」

「わかったら帰れ。んで、剣の鍛錬でもしてろ」

「はいはい」


寮に戻って。

「レアルタ」

「何でしょうか?」

「フィリオがさ、一生スクワットしてたんだ」

「一生、と言うのは?」

「ずうっとやってて、多分二千回くらいは余裕で超えてるんだけど、それでも息切れひとつしてないの」

「ええっ?それは……人間ですか?」

「人間でしょ」

「人間にそんなこと可能なのでしょうか……」


フィリオへの疑問が、全て解決する日はないだろう。

フィリオが答えてくれると言う異常事態が起きない限り。

そう確信してしまえるほどに、フィリオは謎に包み込まれている。


知りたい。




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