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彼と歩む無限の世界  作者: 睡眠欲
第一章一節 王立学園一年生編
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名目

旅行に行くことが決まった。

旅行で最初に決めることといえば、場所だ。


「みんな、どこ行きたい?」

こういう時に仕切ってくれるオウスクリータの存在はありがたいな。

「発案者はどこ行くつもりだったか、聞かせてもらえるか?」

「いや、そこまでは」

「そうか」

「よし。じゃあ、みんなで案出そうか」

「自分の領地に行きたい奴はいねえだろ。他、この教室の生徒が治めている場所以外で、行きたいところがある人」

少しの間、沈黙が場を支配した。


ソーレンが恐る恐る口を開いた。

「私、竜に会ってみたいです」

「ソーレンがいうなら、俺もそこで」

「竜っていうと、ドゥラーゴ特別自治領か?」

「うん」


竜。

高度な知性を持つ、翼を持った生物。

初代ミナツィオーネ王との契約により、人間とは友好関係が保たれている。

大陸の西の果て、ドゥラーゴ特別自治領に暮らしている。

人間がそこに干渉する事はなく、竜が人間に干渉することもない。

行けないはずだ。


「行けん事は無い。けど、だいぶ厳しいと思うぞ」

だからフィリオはどーなってるんだよ。


「行けるのなら行ったら良いんじゃない?もし行けなかったとしても、その手前にはメディア侯爵領があるから、そこに行けばいいし」

「それもそうだな。他、意見ないか?」


「決まりだな。明日にはここを発つ。準備しとけよ。解散だ」


ドゥラーゴ特別自治領への道は長い。

王都ミナツィオニスから西に行き、少し南下してスクード山脈の周りを通過する。

そこから我がラステル領を通り、さらに西へ進む。

少し北上してメディア侯爵領を通ると、すぐにドゥラーゴ侯爵領が見えてくる。

ここで西に行かずに北上すると、アリサの家のサンゼンイン辺境伯領に辿り着くな。

今回は行かないが。


現代に、竜と会話した人間はいないだろう。

国王も話したことがないはずだ。

初代が当時の龍と契約した目的は、「反乱の芽を摘む為、名目上の人類による大陸統一を成し遂げること」。

それに対する竜の要求は、「領地への未干渉」。

つまり、実際に竜が人類に下ったわけではなく、人類の我儘を竜が聞いてくれたという認識だ。


これからの旅行でもし不敬があれば、竜が怒るかもしれない。

すると、人類側の契約不履行を名目に戦争を仕掛けられる。

人類は負ける。


まあいい。

フィリオが「行けん事はない」と言ったんだ。

一度接触したことがあるということだろう。

なら、大丈夫だ。






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