苦痛
二つ返事で了承してくれた。
ありがたい。
計画はすぐに決まった。
一週間後、夜。
天使は大抵護衛に囲まれていて直接殺すことはできないため、ソーレンお嬢様を誘拐し、釣る。
誘拐した後は南東のイルコーヴォの森に入り、一夜を明かす。
その後、準備か終わり次第、北上してデヴォツィオーネ伯爵領まで移動する。
長い旅だが、ノーブル公爵の書簡があれば通れない場所などない。
無事に移動できたら、本格的に天使を殺す。
イントゥリーゴ殿が個人で所有している別荘で、天使を釣る。
天使を殺し、その責任はイントゥリーゴに押し付ける。
我ながら完璧な作戦のはずだった。
事実、最初の方はうまくいっていたのだ。
夜に寮を出てきたお嬢様に、いつものように近づく。
お嬢様には幼少期から専属で接している。
警戒心などあるはずもない。
後ろから睡眠薬を飲ませ、攫う。
あらかじめ用意してある馬車にのせ、八時間ほど走ってイルコーヴォの森に入った。
そこまでは、良かった。
森に入った頃にはもう朝だったが、少しだけ交代で仮眠をとった。
その後、ソーレンお嬢様への睡眠薬を追加して、いよいよ北上しようとした頃。
悪魔どもがやってきた。
灰髪のガキ。
黒髪の女二人。
その他、特級クラスの生徒。
灰髪のガキが近づいてきた後からは記憶がない。
目が覚めると、私は縛られていた。
目の前にはあのガキと天使。
「フィリオ、こいつが首謀者?」
「ああ。好きにしろ」
儂が首謀者!?
バカ言うな、首謀者はイントゥリーゴだ!
儂ではない!
主様に迷惑がかかってしまうではないか!
「お待ちください!私は……」
「誰が発言を許可したんだよ」
口が切られた。
何が起こった?
刃はない。
魔導ではこんなことは起こらない。
予備動作がないなんて、ありえないからだ。
右腕。
左腕。
陰部。
足の指を全て、足首、膝。
生物としての格が違う。
最後に首を落とされ、儂の人生は幕を閉じた。




