苦悩、挽回策
「任務だ」
「何なりと、主様」
「娘が学園に入学する。専属使用人として、同行しろ」
「もちろんでございます」
「主な目的は二つ。娘を管理すること、そしてラステル家の娘の情報を集めることだ」
「承知いたしました」
「信頼しているぞ、ヴェドゥーテ」
ふむ。
嬉しいものですな。
国で五指には入る重要人物のノーブル公爵に信頼されているとは。
ソーレンお嬢様の管理。
いつもやっている、いつも通りのこと。
簡単なことです。
食事、睡眠。
読む本の種類、外出場所の限定。
もちろん、性知識は全く触れさせない。
ソーレンお嬢様が活動する全てを制限する。
いつも通りのこと、特に心配はいらないでしょうか。
ラステル家の娘。
公表会の時に見た、あの黒髪。
なぜ国王はあやつを処刑しなかったのかわからない。
見るからに悪魔の生まれ変わりだというのに。
こちらで始末しようとは幾度も思ったが、さすがはラステル家。
情報統制がすごい。
うちの諜報機関がいくら調べても、塵程の情報も出てこなかった。
これはチャンスだ。
学園では好きな時に殺せる。
ラステル公爵家は没落し、ノーブル公爵家が上に立つ。
主様の目標の実現にも後一歩まで近づく。
主様の目的は国を裏から掌握すること。
娘と国王を結婚させることは大前提として、その後に王族を傀儡にし、我らノーブル公爵家が支配者と成り代わる。
ノーブル家に代々続く悲願だ。
気合を入れて臨んだ一日目。
早速、ヴェドゥーテの予想外の事態が起こった。
ソーレンお嬢様が、天使に囲い込まれた。
まずい。
国王と結婚させるという主様の計画の大前提が揺らぐ。
かといって、天使から引き剥がすことはできない。
天使を殺すしかない。
責任を公爵家が被ってはいけない。
特級クラスの中で最も位が低く、トカゲの尻尾切りに最適な者。
デヴォツィオーネ伯の次男。
コイツだ。
儂は部屋を訪れた。
「ソーレン・ノーブルの専属使用人の、ヴェドゥーテと申します。まず、端的に目的を。天使抹殺に協力して欲しいのです」




