幾重の謎
「絶景だね〜!」
「言ってる場合じゃないでしょ」
でも、確かに絶景だった。
空から見る王都、平原。
なかなかに見ていて心地が良い。
下に見える人々より上の立場にいるという自覚。
なかなかに心地がいい。
スクード山脈の方を見る。
空を飛んでいると登れそうな気がするが、その考えは驕りだと自覚させられる。
スクード山脈は雲まで突き抜け、山頂が見えない。
届かない。
届くわけが無い。
雲。
またの名を、天国の大地。
大陸の空の先に広がる、黄金を纏った天使の棲家。
雲の上には天使たちが住んでいる。
そこから雲を隔てて、私たちが暮らすグライヒ大陸。
大陸の下には、悪魔が過ごす地獄が広がっている。
天使はいつでも雲を通って大陸に降りられるが、悪魔はそうはいかない。
アリサの家、サンゼンイン辺境伯領にある地獄の大穴以外に道はないからな。
そんなことを考えていると、目的地についた。
イルコーヴォの森。
巨大な針葉樹林が広がるこの森は、直接魔導車を着地させることができない。
私たちは入り口に着地した。
「蒸し暑いね〜」
「ね。上着脱ごっかな」
「脱いじゃおっか」
私とオウスクリータは上着を脱いだ。
アロガンツァとアリサは脱がない。
どうせ規律がどーの格式がどーの言うんだろう。
まあいい。
文句を言うメリットがないからな。
「何かあるよ!」
「どこ?」
オウスクリータは見えているらしいが、私には何も見えない。
私だって平均程度の視力はあるのに。
「どこ?」
「正面だよ!三人ぐらい人がいる!」
オウスクリータは走り出した。
つられて、全員走り出す。
そこには、オウスクリータが言った通り三人の人間がいた。
ソーレン。
イントゥリーゴ。
ソーレンは布で縛られ、箱の中に入れられている。
今は眠っているようだ。
そして、ソーレンの使用人。
犯人と目星をつけていた教師はいない。
ここにいるのは、被害者二人と使用人。
消去法で使用人が犯人ということになるが、どういうことだ?
ありえない。
「正解、よくやった」
いつの間にか、フィリオが後ろに立っていた。
「これ、どういうこと?犯人は誰?」
「今から正解発表の時間だ」
そう言ってフィリオはイントゥリーゴに近づき、言った。
「残念だったな。俺からは逃げられねえよ、クズ」
フィリオはイントゥリーゴの鳩尾を殴った。
イントゥリーゴは倒れる。
続け様に、ソーレンの使用人にも一撃。
どういうことだ?
犯人は二人?
なぜ?
わからないことだらけだ。




