未開
「一旦、場所を絞ろうか。一日じゃあ、まだ王都の中にいるよね?」
「うん。でも、人混みに紛れられたらわからないよ」
「じゃあ、犯人の目的地を探ろう」
王都は大陸中心に位置している。
王都に蓋をするように、西から北を通って東までスクード山脈がある。
「山越えは現実的じゃないから、行き先は南じゃない?」
アロガンツァが口を挟んでくる。
「だが、南はラステル公とノーブル公、ヴィリャッコ伯の領地だ。公爵たちは当然失踪した二人を捜索するだろう。ヴィリャッコ伯も王家に従順だから、次期王妃を探さない選択肢はしないはずだ」
「それで見つかるならいいでしょう。私たちは貴族が探しきれていない穴を埋める役割のはずです」
アリサのいうことは正しい。
「じゃあ、穴を探そうか。スクード山脈は一年以上準備をした実力者以外は踏破している人がいないから、ここは考える必要はないだろう。もし犯人が一年以上準備していたら、どのみち私たちが捕まえることはできない」
地図を机に広げて話し合うが、いつの間にかみんな黙ってしまった。
穴が見当たらない。
ノーブル公は実の娘が拐われたわけだから、総力を上げて捜索しているだろう。
かといって、ラステル領もヴィリャッコ領も平地が多く、捜索できない場所がない。
いや、違う。
前提を疑え。
あるじゃないか、ノーブル領に穴が。
私は地図の一地点を指差した。
「ここ、イルコーヴォの森が怪しいです」
全員が驚嘆に顔を染めた。
「……確かに。ノーブル領だから見落としてたけど、ここは怪しいね。王都と隣接していて、かつクァードロ伯の領地とも近い。捜索不能になるまで逃げやすい。そして、そもそもイルコーヴォの森は開拓が進んでいない。ここにいこうか」
「そうだね。どうやって行こう」
「魔導車はご主人様が貸してくれると思うけど、ここに風魔導を使える人はいないよね。どうしようか」
そうか、みんなは知らないのか。
手札は隠した方がいいが、まあいい。
このメンバーと敵対しない未来にするだけだ。
「私、使えるよ」
「ホント!じゃあ、そうしよう」
教室を出る。
フィリオのところに行こうと思ったが、フィリオと共にいるはずのドルチェは一人だった。
「あれ?フィリオは?」
「あいつはもうソーレンのところに行ったよ。要件は?」
「魔導車を貸して欲しいんだ」
「俺のを貸してやる。この塔の入り口に置いてあるやつを使え」
魔導車。
文字通り、魔導で動く車だ。
他の属性で動くものも作られ始めてはいるが、今のところは風属性しか使えない。
ドルチェが持っているものは、それの最高級品だった。
「みんな乗った?じゃあ、行くよ」
私たちは空へと駆け出した。




