蠢く闇
「ドルチェ」
「……」
「お前には残酷だが、これはいい機会だ」
「……」
「二人の捜索を、俺とドルチェ以外のメンバーに任せようと思う」
はい?
私とオウスクリータとアロガンツァとアリサで探せと言うことか?
無理だろう、いくらなんでも。
「は?なんだよ、それ!黙って聞いていれば、都合のいいこと言いやがって!」
「ああ、都合のいいことだ。だが、お前もわかっているだろう?これは既定路線だと言うことを」
言っている意味がわからないが、ドルチェはハッとした顔をしていた。
「わかったよ。ただし、そっちも譲歩しろよ」
「もちろん。俺はソーレンの居場所を知っている。その身が危うくなれば助けることを誓う」
「それでいい。じゃ、みんな。俺の嫁をがんばって探してね」
ドルチェはいつの間にか泣き止んでいた。
ドルチェとフィリオが教室を出た。
捜索メンバーで話し合い、探さなくてはならない。
攫われたのは昨日の夜。
今はまだ学園付近にいるはずだ。
「犯人、誰だと思う?」
オウスクリータが問いかけた。
アリサが答える。
「学園には大陸最上級の警備が敷かれています。その上、一年塔は学園の比較的内側にあるため、犯人はこの警備を突破できる相当な実力者、もしくは……考えたくありませんが、学園内部の者の可能性もあるかと」
その通りだ。
「これ以上絞れる?」
ああ、絞れるだろう。
「攫われたのは二人、どちらも高位貴族だね。でも、ただ身代金が目的で攫うならアロガンツァとソーレンの方が効果的。なんでイントゥリーゴを狙ったのかわからない。少なくとも、犯人は身代金目的ではないと思う」
「そうだね。犯人は、相当な実力者もしくは学園内部の者。そして、財産目当てではない。じゃあ、この流れで攫った理由を考えようか」
「その前に、少しだけ」
「何、アリサ」
「学園内部の者の犯行であれば、犯人を確定させられると思います。先生に、昨日まで学園内に居たけど今日はいない人がいるか、聞いてきます」
そう言って、アリサは足早に教室を出た。
「ありがたいね。じゃあ、理由を絞っていこう」
「ソーレンを狙った理由はわかるかもしれない」
アロガンツァが口を出した。
「言って」
「公爵令嬢という点から肩書に注目しがちだが、ソーレン自身の特徴もあるだろう?あの美貌は男なら欲しいと思うものだ。無論、天使が手をつけたからそんな発想はしないが、身の程知らずがいてもおかしくない。あと、あの長い金髪。多くの魔力を含んでいるだろう。人身売買を生業とする闇商人の目に止まってもおかしくない」
その通りだな。
ソーレンはわかる。
だが、イントゥリーゴは?
それがわからない。
「こんなものかな。次、どうやって、攫ったか」
こんなもの一択だろう。
相変わらず、イントゥリーゴはわからないが、ソーレンはわかる。
「ソーレンとドルチェ、毎夜盛ってるじゃん。確か、昨日もソーレンがドルチェの部屋行ってたでしょ?だから、男子寮から女子寮までの間の道で攫われたんじゃないかな」
「それっぽいね。イントゥリーゴは相変わらず絞れないけど、ソーレンはだいぶ絞れたかな」
アリサが帰ってきた。
「今日から行方不明の職員は二人。風魔導士のイノチェンテ・トリステ子爵と、毒魔導士のファルサ・デリット男爵です」
疑いが集中する。




