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上手くいく気がする

一週間の時が過ぎた。

生後一ヶ月と七日の今日、私は初めて親に抗う。

会談が始まるのは今日の午後だ。

つまり、昼ごはんを爆速で食べてすぐに応接室へ向かわなくてはいけない。

まあ、そんなことは問題ではないが。

応接室には行けるとして、そこからどう忍び込むかが問題だ。

私の身長の二倍もあるこの黒髪は隠しきれない。

どう足掻いても目立ってしまう。

なら、服の中に入れてしまうのはどうだろう。

髪の毛を全身に纏わせる感じで……。

よし、できた。

これで前よりは目立たなくなっただろう。


「昼ごはんです」

扉が開き、メイドがご飯を運んできた。

仕方ないことだがメイドにしては無愛想だな。

ノックすらせずに入るとは。

そして、すぐに立ち去っていく。

この好きに私は本を扉の間に滑り込ませる。

計画通りだ。

職務放棄せずにメイドが来てくれたことに感謝しかない。

さてさて、今日のご飯はパンとコンソメスープ。

当たりだ!

パンにスープを吸わせると大幅な時短になる!


食べ終わった!

私は本を乗り越え、廊下に出る。

人生二回目の部屋の外だ。

特に感動はしない。

する暇もないからな。

壁際の地図を見る。

ここから応接室までは、三階下に下がらなくてはいけないようだ。

階段は近いし、思ったよりも時間がかからなそうだな。

よかった。

急いで移動しよう。

廊下を直進。

十字路では人がいないか確認してから曲がる。

階段を急いで、でも静かに降りる。

特になんの問題もなく応接室にたどり着くことが出来た。

ラッキーだ!

応接室の扉が開いてる!

だが、部屋の中は警備がたくさんいるな。

入れそうにない。

ここから会談を盗み聞きできるか……。


「本日はラステル領にお越しいただき、ありがとうございます」

「いえいえ、ここは魔導産業が発達していて素晴らしいですね。特に、その量産体制には目を見張るものがあります」

「ありがとうございます。では、早速ですが、本題に入ってもよろしいでしょうか」

「ええ、もちろん。数刻後にはお迎えが来てしまうでしょうから、こちらとしてもその方がありがたいです」

「わかりました。使用人、お迎えの方が来られたら即刻知らせよ」

「「「了解しました!」」」

そうか、迎えが来るのか。

ここにいても部屋には入れなさそうだし、迎えが来るだろう玄関門に待ち伏せしてもいいかも知れない。

よし、そうするか。

確か、ここから玄関への道は、階段まで戻って一階まで下り、そこから直進でいけるはずだ。

玄関までは送迎でラステル家の者が着くはずだから、最低でも会うのは玄関の外。

迎えの人に紛れ込む必要がある。

ラステル家の者は無理なのが確定しているが、外部の、それも人間ではない種族であるエルフなら交渉の余地があるかも知れない。

今から私は、迎えの者に接触してシグノール商会のエルフに面会を求める。


階段まではすぐに向かうことができた。

玄関の門番の目を掻い潜るのは苦労したが、幸い一人だったので、お花を摘みにいくタイミングを三十分ほど待った。

その隙に私は家の敷地の外へ出ることができた!


待つこと二時間三十分。

ついに、迎えの者であろう翁が馬に乗ってやってきた。

紫色の髪をハーフアップにした、優しそうな爺さんだ。

後ろにもう一匹の馬を連れている。

あのエルフ用だろう。


「すみません、ちょっといいですか」

「おや、どこからか声がしたような気がしますが、どこにいるのでしょう?」

「下です、下です」

「下……ほんとだ。しかも、そこにいるのは黒髪の幼女と来ましたか。気難しいお嬢様を迎えにいくだけかと思いきや、面白い展開ですね」

やった!

この人はあまり黒髪を差別していなさそうだ。

「話を聞いてくれますか」

「いいでしょうひとまずは乗りなさい」

私は、翁の乗る馬に乗せられた。

「それで、話というのは?」

「シグノール紹介のトップの方に、交渉をしたいのです」

「なんの信用もない子供にはできないですね」

うわっマジか!

「……と言いたいところですが、いいでしょう。私から掛け合ってあげます」

いいのか!

嬉しいが……なぜだ?

「理由を聞いてもいいですか?」

「主に二つ。一つは、まだ生まれて間もない赤子がそんなにハキハキ喋っているのが不思議だということ。赤子が大人と同じ食事を取ったり、生まれてすぐから話せることは常識ですが、意思を持って膝下っりと喋れる赤子はみtことがないからです。二つ目は、お嬢様はいつも、黒髪には親切にしろ、とおっしゃっているもので」

おお!

これはいい展開だ。

お嬢様というのは、シグノール商会のトップだろう。

今応接室にいるあのエルフだ。

エルフが黒髪の味方なら、おそらく交渉はうまくいく!


「ただし、私は掛け合うだけです。交渉は自分一人で行うのですよ」

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます!」


前提条件はクリアした。

あとは交渉だけだ!


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