苦学力行
「邪魔な教師も退散したことだし」
そう言って、フィリオは教壇に立った。
「今日から一年間、授業はすべて自習だ!ご飯の後の授業はなくす!」
喜びの拍手喝采がドルチェとオウスクリータから、少し遅れて私とソーレン、アロガンツァから巻き起こった。
怒りに震えている人物が一人。
「なぜですか!」
声の主は、アリサである。
「何にそんなに怒ってるんだ?」
「なんで、世界最高の教師の授業が受けられないんですか!私はカーネ教授の授業を受けにここまできたんですよ!」
いや、おかしいだろ。
いくら前評判が良かったと言えど、目の前で間違えを指摘されたんだぞ。
指摘したフィリオの方が優れているのは明白だろうに。
「あなたは今自習といいましたよね!つまり、授業が受けられないということでしょう!なら、ここにきた意味はないじゃ無いですか!」
「そうか。なら、わからないことがあったら質問してこい。全部答えてやる」
「そんなことは家でだってできます!」
「じゃ、家出はされないようなことをしよう。まず、なんでアリサはそんなに勉強してるんだ?目的は?」
アリサは黙ってしまった。
わからないのか、それともみんなの前では言いたく無いのか。
「ちなみに言うが、俺は知っている。アリサの目的も、サンゼンイン家の宿命も」
いや、家の宿命なんてないだろう。
とは思ったが、アリサはハッとした顔で硬直している。
サンゼンイン家に代々続く運命でもあるのか。
それが正しいとして、なぜフィリオはそれを知っているのか。
わからないことだらけだな。
「わかった。毎日昼ご飯の時間に俺はこの教室に残る。その時間、俺に関すること以外はなんの質問をしても答えてやる。それでどうだ、アリサ。この条件なら他のやつには聞かれねえだろ」
「わかりました。それで我慢します」
我慢とは。
何があろうとも上から目線だな。
私は声を発した。
「フィリオ」
「なんだ?」
「それはアリサ以外も質問していいの?」
「ああ、いいぞ」
やった。
これはでかい。
「えっ、いいの!」
驚きの声を上げたのはオウスクリータだ。
「いいぞ」
「私には許さなかったくせに、他の子達には許すんだ」
「言うて俺のこと以外は答えてただろ」
「フィリオのことが知りたいの!」
「それはダメだ」
「ちぇ〜〜」
その日は全て雑談をして過ごした。
アリサとアロガンツァは真面目に本を読んでいたが、まあそれはいつも通りだ。
人生楽しいのだろうか。
今日の昼。
早速聞いてみる事にした。
ご飯中はアリサに質問攻めされていたので、ご飯の後だったが。
教室に入る。
「フィリオ」
「おー、レーゲンか。アリサに続いて二人目だな」
「お腹空かない?」
「俺に関する事だから答えられないな」
「残念」
ほんとに残念だ。
なんで食事を摂らないのかわからない。
「他に質問は?」
「いや、特にないよ」
「なんのために来たんだよ」
いや、今日はこれぐらいしか聞くことが思いつかなかったから仕方ない。
「バイバイ。また明日」
「また明日」
私は教室を後にした。




