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有相執著

翌日。

教室に着くと、二人がいちゃついていた。


ドルチェが座っている、その上にソーレンが座っている。

後ろからドルチェが抱きしめている。

お熱いことで。


「あ、人きちゃった……。そろそろ戻るわね、ダーリン♡」

「なんで?別に見られてもいいでしょ。逆に見せつけちゃおうよ」

「ええ、恥ずかしいわよ……。もう、仕方ないわね」


お熱いことで!

それにしても、ソーレンは人が変わりすぎじゃないか?

全く、昨日何があったんだか……。

まあ、何があったかはわかってるんだけどな。

それにしても、十二歳でって……。


「朝っぱらから何してるんですかねぇ」

背後には、いつの間にかフィリオとオウスクリータがいた。

「おはよう。フィリオ、オウスクリータ」

「おはようさん」

「おはよっ!レーゲン!」


授業までの時間はフィリオとオウスクリータの二人組と話していた。

話しながら教室の雰囲気を探ると、主に三つのグループに分類できることがわかった。

一つ目は、同級生と談笑する者。

私とフィリオとオウスクリータ、ドルチェとソーレン。

一番、この時間を謳歌しているだろう。

二つ目、自ら進んで孤独でいる者。

アリサやアロガンツァだな。

本を読んでいる。

勉強熱心なことだ。

わざわざ授業時間外のこの時間を使ってまですることだろうか。

真面目な奴の考えはわからないな。

最後に、みんなと話したいが、輪に入れないもの。

イントゥリーゴ・デヴォツィオーネただ一人だ。

羨ましそうにドルチェたちを見ている。

あそこの中に入るのは無粋だろうに。

まあ、こちらから声をかける価値はないだろう。

単純にめんどくさい。


そんなことを考えているうちに、先生が教室にやってきた。

「授業を始める。今日は魔力の源泉についてだ」


さてさて、授業が始まってもいちゃついているドルチェ達と、変わらず談笑しているフィリオ達。

授業崩壊か?


ドルチェ達はまだいい。

静かに授業を聞いているから。

問題はフィリオ達だ。

たまに先生の声が聞こえないくらいの大きな笑い声をあげる。

授業崩壊だな。


「フィリオ、静かにしろ」

先生が注意した。

なぜだろう。

フィリオが大人しく従う姿が想像できない。


「なぜ?」

ほら、やっぱり。

「逆になぜお前達は騒ぐんだ?」

「いや、間違った理論を自慢げに話している教師見てるとな」

間違っているのか?

今話していた理論は魔力の所在について。

髪の毛に魔力は宿るから、魔力で体を強化した時は神に近いほど効果が高くなる。

火属性の魔導士が敵の攻撃魔導から身を守るために自分の体を燃やす時、頭は業火が立ち上るが足のつま先はほとんど火が出ないと言うことだ。

魔力の移動の話はこの後でするだろうし、どこが間違っているのだろう。


「どこが間違っている」

「魔力は髪から移動させられるっつう話だよ」

ん?

どう言うことだ?

それを今から言うんじゃないのか?


「どう言うことだ」

「んなことも知らねえのかよ。魔力を任意の場所へ移動させると、そこが中心になる」

先生は驚いていた。

まさか、知らなかったんだろうか。

私は、ずいぶん前から知っているが。


数年前、剣に興味を持ち始めた時のことだ。

リコンペンスさんの部下が言っていた。


──まず、髪の毛に魔力が宿っていることは知っていますね。その魔力を、体内に移動させるんです。やってみましょうか──


これだ。

あたかも当たり前のように言っていたが、もしかして常識じゃないのか?


「今日の授業は終わりだ。急いでそれを試さねばならん」

足早に出て行こうとした。

これを検証して、あわよくば自分の手柄にしようと言う魂胆だろう。

汚い大人だな。


「待て」

「なんだ?」

「これをお前の手柄にしてもいいが、代わりにこの教室にはもう来るな。安心しろ、こいつらは立派に育ててやる」


「……了解した」


先生は、いや、カーネは立ち去った。


入学二日でこの教室はフィリオのものになってしまった。



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