空中の楼閣
入試の教科は主に四つある。
一つ目は、世界地理。
ラステル領は魔導産業が発達していることなど、世界の領とその特色についてだ。
まあ、全部常識だから特に追加で勉強しなくていいだろう。
二つ目、魔導。
髪色によって違うテストが出される。
それぞれの属性のエキスパートとも言える教員が作成した問題を解く。
黒髪のテストはないだろうが、まあ、好きな属性を希望させてもらえるだろう。
三つ目、宗教。
主に天使教、というか全て天使教の問題だ。
これはまだあまり勉強できていないから、当面はこれを勉強しよう。
最後に、特殊問題。
他のテストとは一線を画す問題が出される。
他のテストが原点方式であるのに対して、このテストだけは加点方式だ。
だが、満点はどう足掻いても取れない。
なぜなら、出題されるのは最近発見された理論や、まだ解決していない未解決問題だからだ。
他のテストで満点を取ったとして、このテストは一問十点の五十点。
満点で三百五十点だ。
まあ、三百点取れたら上出来だろう。
勉強するだけ無駄な教科だ。
宗教。
このテストは、主に聖書から出題される。
だが、聖書は「この世界の全貌」より太い。
それが何十冊にもわたって存在するのだ。
一周するだけでも半年はかかる。
そして、他の生徒は一周するだけで終わってしまうのが殆どだ。
なら、四周やろう。
そうすれば絶対に百点が取れるくらいの難易度の問題が出題されるはずだ。
それで満点が取れないなら、問題の難易度設定が間違っている。
そんなテストの点数はいらない。
一周が終わった。
隅々まで読んだが、眉唾すぎて信じられない。
「天使は人類が生まれる千年前には居た」とか、「天使が大陸に住んでいる時代があった」とか。
誰も知らないだろう、そんなの。
二周目。
飽きてきた。
信じられないことをあたかも信じているように答案しなければならないのに。
それには、もう信じてしまうのが手っ取り早いな。
でも、それができないほど違和感に溢れた本だ。
天使の頭脳が知れるな。
三周目。
もう聖書がなくても音読できるようになった。
もう読み込みは必要ないかもしれない。
だが、他の教科は絶対に満点が取れる。
これくらいしかやることがない。
四周目。
聖書の中の悪魔は、絶対悪として描かれている。
「悪魔は凶暴で、絶対に味方してはならない」とか。
人獄大戦を沈めた後、天使が人類に読むことを矯正した(人獄大戦の後に天使は人類の人数分の聖書を大陸にばら撒いた)本の中に、そんな内容が入っている。
悪魔は悪だということを刷り込みにきているようにしか思えない。
そんなことを考えているから信じられないんだな。
やめておこう。
だって、受験はもう一年後に迫っている。




