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累卵より産声

昼。

いつもは寝ている時間、私は起きた。

父親との交渉に臨むためだ。


私の髪は一メートルある。

身長よりも髪の方が長い。

いつもは憎んでいるこの髪だが、今は利用させてもらおう。

剣を鞘に納めた状態で、髪を纏わせる。

側から見れば太いポニーテールにしか見えないはずだ。

それ風魔導を使って維持する。

楽な仕事だな。


部屋を出る。

ちょうど、昼飯を置きに来たメイドがいた。

「キャアッ!?」

「仮にも次期公爵にその口の聞き方はなんだ。次やったら斬首な」

「すっすみません!」

悲しいなあ。

初対面でこれか。


父の部屋までは長かった。

そして、その中でメイドや兵士に会うたびにさっきのような反応をされた。

兵士なら黒髪の不審者を捕えろよ、と思うが、どうやら私の存在は屋敷中の人間が知っているらしい。

そして、私を傷つけてはいけないとも言われているらしい。

思ったより私に配慮してくれているのだろうか。

いや、違うな。

私がどんな災いをもたらすかわからないから、刺激しないようにしているだけだ。

そんなことを考えていると、父の部屋についた。

「父に話したいことがある。通せ」

「公爵に確認する。少し待て」

さすが近衛兵。

私に物怖じせずに話せるとは。


「公爵、急ぎ確認したいことが」

執務中。

私の部屋に近衛兵が入ってきた。

「なんだ?」

「レーゲン嬢様が部屋を脱走。父に話がある、と言って部屋の前に待機しています」

「何っ!?」

「いかがなさいますか」

「通せ!今すぐに!」

あの忌み子め……。

ようやくポヴェイロの死から立ち直るところだったのに……。

今更なんのようだ!

いや、要件はわかっている。

そして、こちらに断る選択肢はないことも!

だが、タイミングが早すぎる。

もっと遅ければ国王に殺させられたのに!

想定していたよりも早く近衛兵が戻ってきて、部屋の中に通された。

「お初にお目に……ではないですね。お久しぶりです、父上」

「余計な挨拶はいい。本題は何だ」

「おっと、では、単刀直入に。六歳の時にある公表会にて、私が殺されぬよう嘆願して欲しいのです」

「ああ、だろうな。そんなことはわかっている」

あらら、そうなのか。

なら、向こうの答えを待つだけだな。

「では、了承してくれるということで……」

「答えは否だ!お前も黒髪差別の深刻さは理解しているだろう」

残念、これで私の人生も終わりだな。

なんて言うつもりは無い。

ここで粘らなければ先はない。

「では、何を成せば認めていただけますか?」

「チッ。そこまで考えていたか」

いや、考えてないケド。

今咄嗟に思い浮かんだだけだケド。

「そうだ。何もなしに推薦しては私の信用が落ちる。つまり家の信用が落ちる。それだけは避けねばならん」

「では、実績を残せば良いと」

「ああ。何をするかは自分で考えろ。屋敷のものにはお前の質問には答えるよう命じておく」

「ありがとうございます。父上」

こうして、私は屋敷を後にした。


実の娘にお前って言ったか?

あのクソ親父が。


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